つくろう、島の未来

2020年11月30日 月曜日

有史以前より、日本列島は海を通じて世界とつながり、人や新しい技術、信仰などが海からもたらされ、 なかには、島を起点に次の土地を目指して海から旅立つ者もあった。
星の位置や海鳥の気配をたよりに丸木船で大海原へと漕ぎ出していた古代の旅から、現代の島ガイドまで 島と世界のつながりを感じさせてくれる本や映画を紹介する。

この記事は『季刊リトケイ31号』「島と世界とSDGs」掲載記事です。(文・石原みどり)

Books

島々を経由し海を渡った最初の日本人の歩み『日本人はどこから来たのか?』

『日本人はどこから来たのか?』海部陽介 著

2019年夏、人類史の謎に挑む人類学者や考古学者たちが台湾から与那国島へ至る200kmを丸木舟で航海した。 この3万年前の航海実験を見事成功させた国立科学博物館の海部陽介氏による日本人類史。 世界に展開する初期人類の移動の痕跡を辿り、最初の日本人が、対馬経由と与那国島を入口とする南西諸島経由、北海道経由の3つのルートで日本列島に至ったことを紐解いていく。
(文春文庫/700円+税)

考古学から読み解く小笠原と伊豆諸島の歴史『世界遺産小笠原を発掘する~考古学からみた小笠原諸島の歴史~』

『世界遺産小笠原を発掘する~考古学からみた小笠原諸島の歴史~』小田静夫 著

無人(むにん)島が転じてボニン・アイランズと呼ばれ長い間、無人島であったと思われていた小笠原諸島だが、北硫黄島では線刻画の刻まれた巨石や石器、土器など2,000年前の先住民の遺跡が発見されている。 北硫黄島や父島などの小笠原諸島や、伊豆諸島の八丈島、南方のマリアナ諸島でも同系統の磨製石斧が発見され、マリアナ諸島から小笠原、八丈島へと連なる「もう一つの日本文化」の存在が示される。
(ニューサイエンス社/8,000円+税)

禁教下における受難の肉声を伝える『五島キリシタン史』

『五島キリシタン史』浦川和三郎 著

1951年に初刊行された同名書の新装復刊版。 ポルトガル人ルイス・アルメイダによる五島列島へのキリスト教伝来と幕府の弾圧、長崎の外海地方から五島への潜伏キリシタン移住、明治時代のキリシタン迫害を豊富な資料と証言で綴る。 古代より遣唐使の寄港地とされ、日本と海外を結ぶ海の道でもあった島々で起きた歴史的悲劇の実相がキリシタンたちの声と共に響く。
(国書刊行会/3,000円+税)

カヤックで海を渡る地球紀行『インスピレーションは波間から』

『インスピレーションは波間から』 平田 毅 著

フィジーのカンダブ島やタンザニアのザンジバル島、インド洋のアンダマン・ニコバル諸島など、シーカヤックを足とし、インド洋から太平洋に連なる海洋文化圏を旅しながら、著者は海を通じて世界と緩やかにつながる日本の自然観を知る。 その視点は大海を渡る古代人の眼差しに重なり、激しい海流の中で島々が現れたと記す国産み神話の世界まで読み手を誘う。
(めるくまーる/1,800円+税)

日本全国約1,750島を収録 新版・日本の島ガイド『SHIMADAS(シマダス)』

新版・日本の島ガイド『SHIMADAS(シマダス)』公益財団法人日本離島センター

「島」の総合ガイドブックが15年ぶりに新版を発行。 北海道から沖縄県まで、全有人離島はもちろん語られるべきストーリーを持つ約1,750島を収録。 人口・面積などの基本情報に加え、観光に役立つ情報や学校や医療など移住の参考になる情報も掲載。 地図には段彩が施され、等高線に加え海の深さを示す等深線から島の地理が学べる島好きのための総合島ガイドだ。
(公益財団法人日本離島センター/4,000円+税)

Movie

ニューカレドニア日系移民の足跡を辿る『まぶいぐみ~ニューカレドニア引き裂かれた移民史~』

©ニューカレドニアからのまぶいぐみ映画製作委員会/ 株式会社シネマ沖縄 監督:本郷義明 原作:『空白の移民史 ~沖縄とニューカレドニア~』三木 健

沖縄の言葉で「魂」を指す「まぶい」が込められたドキュメンタリー作品。 戦前、多数の日系移民がニューカレドニアに渡り、鉱山労働に従事した。 太平洋戦争が始まると、日本人移民は追放され現地の妻と子どもたちは一家の大黒柱を失った。 寄る辺なき思いを抱えながら生きる日系人たちが日本人ジャーナリストの取材をきっかけに沖縄の親類と対面し、魂の里帰りを果たす姿を描く。

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