つくろう、島の未来

2024年04月27日 土曜日

つくろう、島の未来

島にまつわる音楽や映画、本を紹介する島Books。今回は、京都市・哲学の道からほど近い住宅街にある書店「ホホホ座」座長の山下賢二さんが選ぶ5作品を紹介します。

※この記事は『季刊ritokei』43号(2023年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

Books

どんな場所でも人間の暮らしがあった『軍艦島の生活<1952/1970>』

『軍艦島の生活<1952/1970>』
NPO西山夘三記念すまい・まちづくり文庫(編)・松本滋(編者代表)

住宅学者、西山夘三が戦後二度にわたり「軍艦島」こと長崎県・端島を訪問調査した記録。注目すべきは、そのほとんどがカラー写真ということ、また、他の写真集と違い、廃墟になる前の時代、つまりそこで人々が生き生きと生活していた黄金期を捉えた写真集だということ。
当時、高密・高層炭鉱住宅群で暮らしていた「幻」のような人々の痕跡は人間の生活力を再考させる。
(創元社/税込2,750円)

理想の領域『IMPERFECT UTOPIA』

『IMPERFECT UTOPIA』
Toru Morimoto&Tina Bague・著

2014年から正式に始まった男女ユニットによる離島を巡るプロジェクト。60以上の島を巡り、そこで感じたユートピアな光景を記録した写真集。
トマス・モアの500年以上前の著書「ユートピア」には“半島の一部を大陸から人工的に切り離した三日月型の離島にこそ、理想社会が存在した”と記されている。「人」と「自然」の密度バランスの一つの理想郷がこの写真集には収められている。
(Akashi Photos/税込7,800円)

大人も子どもも警察官も泥だらけ『パーントゥ』

『パーントゥ』
奥村達也・著

宮古島(みやこじま|沖縄県)・島尻地区で秋に開催される神事「パーントゥ」。ンマリガー(生まれ井戸)と呼ばれる井戸の底の泥を身にまとい、シイノキカズラの蔓草を巻きつけた3体の仮装神が出現。
奇声を発しながら家々を回り、出会った人々に泥を塗りつけながら、新築の家のお祓いや子どもの無病息災を祈願する。なお、開催時期は直前まで公表されない。
(株式会社七雲/税込3,080円)

Music

その場で行ける脳内リゾート『A LONG VACATION 40th Anniversary Edition』

『A LONG VACATION 40th Anniversary Edition』
大滝詠一

言わずと知れた1981年の名盤。3曲目の「カナリヤ諸島にて」は、作詞を担当した松本隆が想像で描いた風景。後年、実際に行ってみて、現実との合致に本人が一番ビックリしたとか。
優雅な大滝メロディとそのドリーミンな編曲は、例え大都会のど真ん中で聴いていようと私たちをいつでもトリップ気分にさせ、令和・平成・昭和、区別のない時代に誘う。
(ソニー・ミュージックレコーズ/税込2,750円)
© THE NIAGARA ENTERPRISES INC.

Movie

島で開催された格闘技トーナメント『燃えよドラゴン』

『燃えよドラゴン』
監督ロバート・クローズ

カンフーブームの火付け役ブルース・リーの代表作。少林寺出身ながら悪の道に手を染め、破門となったハンが所有する島で開催された武術トーナメントに参加するリー。
その目的は島の内偵と殺された妹の敵討ちであった。隔離された島に体一つで乗り込むリーのアクションは世界中を熱狂させたが、その存在が知られた時にはすでに彼はこの世にいなかった。
(ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント/税込8,980円)
【初回限定生産】4K ULTRA HD&ブルーレイセット(2枚組/ペーパープレミアム付)
発売日:2023年9月20日
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
© 1973,1998 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


紹介者

山下賢二さん
書店「ホホホ座」座長。著書に『ガケ書房の頃完全版』、『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』、『やましたくんはしゃべらない』、共著に『ホホホ座の反省文』、編著に『わたしがカフェをはじめた日。』など


ウェブメディア『ritokei』掲載記事のまとめやリトケイからのお知らせを、メールマガジン『リトケイ通信』でお届けします。配信を希望される方は以下のフォームよりお申し込みください。
>>メールマガジン配信お申し込みフォーム

NPOリトケイは日本の島々に存在する「小さくても大切な課題の解決に必要な活動」や「島の宝を未来につなげるために必要な活動」を、中長期的に展開することを目的に活動しています。

ウェブメディア『ritokei』およびフリーペーパー『季刊ritokei』は、活動に賛同してくださるサポーターや寄付者の皆さまからお寄せいただく支援により発行しています。

リトケイは島を想う皆さまの応援(寄付・協賛・サポーター)を心よりお待ちしております。

離島経済新聞 目次

島Books&Culture

関連する記事

ritokei特集