WEB版『ritokei』を読むあなたへ。持続可能な島づくりや心豊かに生きる方法、奥深い離島の世界が知れる 「次の一冊」 を紹介します。
※この記事は『季刊ritokei』46号(2024年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。
『限界集落の経営学 活性化でも撤退でもない第三の道、 粗放農業と地域ビジネス』斉藤俊幸・著
地域再生マネージャーとして自ら地域に住み込み、活動したことが総務省の「地域おこし協力隊」創設のモデルのひとつとなった筆者による新著。全国各地に担い手を失った農地が増え続けるなか筆者は、農地を長老組織から引き継ぐことのできる「土地利用型地域ビジネス」を提唱。限界集落の可能性をひらく大きなビジネス領域はきっと離島地域にも存在している。
(学芸出版社/税込2,420円)
『美術館ができるまで なぜ今、豊島なのか?』佐々木良・著
瀬戸内国際芸術祭の舞台のひとつ、豊島。昭和の時代におきた国内最大級の産業廃棄物の不法投棄事件を乗り越えた豊島が、アートの島として注目されるようになるまでの記録。豊島美術館の設立メンバーである著者が、島の歴史、芸術、建築、自然、食物、社会問題から美術館設立までの軌跡を記す本著は瀬戸芸で豊島を訪れる前に読みたい一冊。
(啓文社書房/税込2,530円)
『砦の上に —南方新社本づくり 30年—』向原祥隆・著
日本で最も多くの離島人口を有する鹿児島。奄美群島、種子島、屋久島、トカラ列島など、鹿児島離島に関する著書も多く発行してきた南方新社を営む著者による30年史。本づくりを通じてさまざまな地域を訪れ、著者の目に映る「崩れゆく田舎と崩れゆく日本」への憂いと共に、折々で出会ってきた人々との交流や愛しき島の風景が鮮やかに映し出される。
(南方新社/税込2,200円)
『島はどうしてできるのか 火山噴火と、島の誕生から消滅まで』前野深・著
日本列島には110もの活火山が存在し、離島地域にも多くの火山が分布する。時折、噴煙をあげる火山は、地球そのものが生きていることを実感させてくれる。そんな火山島が誕生し、消滅するまでの過程を短期間でみることのできる例として、著者は2013年に小笠原諸島沖合に誕生した西之島に注目。国内外の事例もふくめ生きた火山島を知る一冊。
(講談社/税込 1,320円 )
『武器としての土着思考 僕たちが「資本の原理」 から逃れて「移住との格闘」 に希望を見出した理由』青木真兵・著
奈良県東吉野村にある人文系施設図書館「ルチャリブロ」には『季刊 ritokei』 が設置され、店主の青木さんが山地での生活を考察した著書『山學ノオト』には離島地域のファンも多い。そんな青木さんの新著には、自分の価値を失わず生き抜くための思考法や土着論がたっぷり。「島の「土着」に生きる人におすすめしたい。
(東洋経済新報社/税込1,980円)
日本の島全図『Shima-zu(シマーズ)』公益財団法人日本離島センター・著
『日本の島ガイド SHIMADAS (シマダス)』を発行する日本離島センターによる離島地図。四六全判に500万分の195万分の1、40万分の1という縮尺で『季刊 ritokei』掲載の有人離島はもちろん、日本の自然や歴史、文化などを語る上で大切と思われる無人島など総計約1,750島を掲載。島国日本を構成する「島」 の仔細にふれる地図の詳細は離島センターのホームページへ。
(公益財団法人日本離島センター/税込770円)