つくろう、島の未来

2024年10月14日 月曜日

つくろう、島の未来

9月30日、日本が誇る秘島群・トカラ列島(十島村(としまむら|鹿児島県))の7島をめぐる「トカラ列島マラソン」が開催されました。17回目を数える今大会には、なんとリトケイの西田双太が出場。島の人口動態やニュースを追いかけるリサーチ担当であり、プライベートでは狩猟や革細工の腕を磨く二児の父・西田が、その模様をお届けします。

※この記事は『季刊ritokei』44号(2023年11月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

鹿児島市を出発して口之島(くちのしま)から宝島(たからじま)までの「トカラ列島島めぐりマラソン大会」のコース

9月29日、鹿児島市に到着。つ、ついにこの日がやってきました!

トカラ列島に向かうフェリーは、種子島(たねがしま)や屋久島(やくしま)、三島村(みしまむら)、奄美群島(あまみぐんとう)を行き交う船が大集合する鹿児島港から出航するのであります。

まずは船の待合所でマラソン大会の説明を受けました。

十島村の島々へ渡るフェリーは通常、鹿児島市と奄美大島(あまみおおしま)の間を週2便往復しています。が、トカラ列島マラソンの日は臨時便が運行。特別な日なのです。

いよいよ乗船。一般公募の枠はたったの120人。

狭き門をくぐり抜けてマラソンチケットを手にした参加者がぞくぞくと船に乗り込んでいきます。私は二等船室で横になり、23時の消灯を迎えました。

1島目の口之島に到着したのは早朝5時前。

真っ暗闇のなか開会式が行われ、村長の挨拶や選手宣誓を経てすぐにスタート!早朝からたくさんの住民が応援に集まり、島の人とも交流できて楽しい!

2島目は中之島(なかのしま)。走っていると温泉たまごの匂いがしたように思ったので、あとで聞いてみたら御岳から噴煙があがっていたとのこと。

早いランナーは走り終えたあとに港の側の温泉につかった人もいるとな?!

どの島でも港周辺にたくさんの人が集まり、ランナーを歓迎してくれます。

太鼓が披露されたり、島の特産品を買えるコーナーがあったり。私は走る前に「吐噶喇列島Tシャツ」を取り置きして、乗船前に購入。

ウルトラマン姿のランナーは鹿児島で活動するYouTuberとのこと。

ランナーは10代の若者から外国人や年配者など。いろんな人がやってくるマラソン大会の日は、島の人にとっても楽しみなんだろうな。

3島目の諏訪之瀬島(すわのせじま)では空港の滑走路もマラソンコースに!

「このまま飛行機で帰りたい」と笑うランナーも。途中、宝島の留学生だったという女の子に出会い、いろんな人の思いが詰まったマラソンなんだと実感しました。

4島目の平島(たいらじま)はジグザグの坂道を登るコース。

路肩の声援で「あと少し」と言われながら「あと少しが何回あるのだろう」とつぶやく私。港に戻り、島の生き物が描かれたオリジナルバンダナを購入して次の島へ。

平島を走り終えたところでお待ちかねのランチタイムに!

奄美名物の鶏飯に、トカラの竹で編まれた竹籠弁当はどれもおいしい(けど、一度で食べると次の島で走りきれないので少しずつ味わいました)。

5島目の悪石島(あくせきじま)はかの有名な来訪神「ボゼ」の島。

しかし私がおそろしいのはボゼではなくトカラ列島で「最もキツイ」といわれる急勾配の坂道。船のデッキから島を眺めた時には分からなかったけど、実際は…..。

とにかく登った悪石島。

登りを意識しすぎないよう、道とはもともと登るものなのだと自分に言い聞かせながら走った坂の途中、小学校低学年くらいの子どもにすいすいと追い抜かれました。島の子の脚力、半端ない。

船から眺める6島目の小宝島(こだからじま)は、トカラ列島の有人離島では最も小さい島。

右側を頭にして妊婦さんが寝ているようにも見えることから「子宝に恵まれる」という言い伝えも。マラソンもゴールまであと2島!

小宝島は平坦だし2キロしかないから楽だろうなと思っていたら、悪石島からの船で身体が冷えてしまった。

「あと1キロ」「あと500メートル」と声援を受けながらも、疲労がたまった私には想像以上の道のりでした。

ついに7島目、ゴール地点の宝島に到着。島の皆さんの声援に助けられ、ゴールしたあとの温泉はこの上なく最高でした。

夜の交流会では、表彰式に島の人々による演奏、抽選会などを満喫し、フェリーで休みました。

翌朝5時に宝島を出発。

ランナーを乗せたフェリーは、昨日走り抜けた島々を逆順でたどって鹿児島市内に戻ります。南北160キロメートルに浮かぶトカラ列島を最短で往復できるのも、このマラソンの醍醐味。

途中、フェリーが寄る島ではどの島でも歌や太鼓で私たちを見送ってくれました。

写真は諏訪之瀬島の子どもたちによるソーラン節。人口100人に満たない島でも、子どもたちの笑顔があふれているのがトカラなのでしょう。

最北端の口之島でフェリーから手を降るランナーたち。

え?この写真どうやって撮ったのって?実は私、本土に戻らず口之島で下船したのです。だってトカラ列島に来れるなんて貴重な機会ではありませんか。

こちらは口之島に下船した私(仲良くなったランナーが撮ってくれました)。

私はここから10日間に渡ってトカラワーケーションを体験。絶海の秘島ではどんなワーケーション体験ができたのか。その模様は次号をお楽しみに!

     

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