つくろう、島の未来

2021年01月20日 水曜日

島々で育まれた価値観や暮らしの知恵、島の医療や教育、文化の火を灯す人々の挑戦、海に囲まれた環境で発達した文化など島に向ける視野を広げてくれる6冊をご紹介。

(文・石原みどり)

※この記事は『季刊ritokei』33号(2020年11月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

島々を舞台に総合診療医の育成に取り組む
『へき地医療をめぐる旅ー私は何を見てきたのだろうか』

『へき地医療をめぐる旅ー私は何を見てきたのだろうか』
齋藤 学 著

『Dr.コトー診療所』のモデルである鹿児島・下甑島の診療所の新たな所長として活動する齋藤学医師は、「離島へき地研修プログラム」を創設し、地域医療を支える医師の育成にも励む。
そんな齋藤医師が自身の体験を綴る本書には、地域で働く総合診療医を志した契機や徳之島や下甑島で得た自身の学びに、世界各国の医療関係者たちとの交流が綴られる。
(三輪書店/2,800円+税)

島だからできる生きた学びを地域とともに
『高校魅力化&島の仕事図鑑ー地域とつくるこれからの高校教育』

『高校魅力化&島の仕事図鑑ー地域とつくるこれからの高校教育』
編著・大崎海星高校魅力化プロジェクト 文・松見敬彦

「活性化実施に3年、検証期間2年の計5年間」。
学校統廃合の期限を突きつけられた島の高校が取り組んだのは、生徒らが地域の職業人を取材する『島の仕事図鑑』づくりだった。図鑑は発行を重ね、学校と地域のみならず、地域の人同士をもつなぎ一人ひとりの仕事や島への想いが島内で共有された。蘇った学び舎に関わった生徒や教師、島人らの声が、学びの本質とは何かを私たちに教えてくれる。
(学事出版/1,800円+税)

地域と学校の幸せな在り方を島から考える
『小さな地域と小さな学校ー離島、廃校、移住者受け入れから考える』

『小さな地域と小さな学校ー離島、廃校、移住者受け入れから考える』 編著・中島勝住 中島智子

地域に学校があるということは、どういうことなのか。
各地で学校統廃合の経緯を研究してきた著者が、離島地域や中山間地域に暮らす人々と学校の姿を記す。
第1章では、中学校の閉校をきっかけに屋久島で始まった離島留学制度の経緯や、火山噴火による全島避難を機に島づくりへの意識が高まった口永良部島の例を紹介。都市近郊の学校統廃合、国内外の好事例も紹介される。
(明石書店/2,700円+税)

島々の発酵文化に先人たちの知恵を見る
『日本発酵紀行』

『日本発酵紀行』 小倉ヒラク 著

文化人類学とサイエンスの両面から世界の発酵文化を見つめる発酵デザイナー小倉ヒラク氏による、47都道府県の発酵文化紀行。
日本の発酵文化を海・山・街・島の4つに分類し、島という閉鎖環境で生まれた青ヶ島の「あおちゅう」や対馬の「せん団子」、発酵文化を継承する小豆島の木桶づくりなどを紹介。
「発酵は過去から受け継がれ未来へ向かう方舟」と説く著者の視点は示唆に富む。
(D&DEPARTMENT PROJECT/1,800円+税)

島の暮らしに学ぶ、人として生きる知恵
『不便が残してくれたもの 西表島・船浮からのメッセージ』

『不便が残してくれたもの 西表島・船浮からのメッセージ』 池田 卓 著

西表島出身のシンガーソングライター・池田卓は島に戻り「世界一贅沢な暮らしを手に入れた」と語る。
機械化、無人化、効率化が進み、便利なものに取り囲まれた現代生活の影で、人は感謝や思いやる機会を失っていないだろうか。
「不便さを克服する創意工夫」「思いやり助け合う心」「何かを覚えるときは将来誰かに教えるつもりで覚える」池田が綴る島の宝には、大切な事柄が詰まっている。
(ボーダーインク/1,700円+税)

島々で文化の灯りをともす人々の想い
『離島の本屋ふたたび 大きな島と小さな島で本屋の灯りをともす人たち』

『離島の本屋ふたたび 大きな島と小さな島で本屋の灯りをともす人たち』 朴 順梨 著

22の島の書店を訪ねた前作から7年、佐渡島から石垣島まで16の本屋を訪ねた続編。
八重山の歴史や自然、文化を発信する石垣島の本屋に、一度消えてしまった灯りを再びともした喜界島の本屋、本を置かなくなっても書店の看板を掲げる宇久島の老舗と、島のあちこちに本と人が出会う場をつくる屋久島の本屋。
本屋の灯りをともす人と、本を愛する人々の想いそれらに触れるうちに、つい本屋へ足を運びたくなる。
(ころから/1,600円+税)

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