つくろう、島の未来

2020年10月29日 木曜日

友人たちや家族と家で過ごす時間のおともに島々の自然や文化、歴史について美しい絵と文章でつづられた本をご紹介。
ページをめくって絵を楽しみ、音読しながら6つの島へ心の旅に出かけよう。
(文・石原みどり)

※この記事は『季刊ritokei』32号(2020年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

海鳥の子育てと人の暮らし『うみどりの島』

『うみどりの島』 文・寺沢孝毅 絵・あべ弘士

北の海に浮かぶ島に、春の訪れを告げるウミネコの声。島の周囲には、雪どけの頃からたくさんの魚が集まり命豊かな海を目指して100万羽もの海鳥がやってくる。
北へ向かう途上で羽を休め、再び旅立つ渡り鳥やそこで新しい命を紡ぐ海鳥にとって、島は楽園だ。海鳥の声が響くなか、人もウニを獲り短い夏を生きる。やがて海鳥の巣立ちとともに、島に秋が訪れる。
めぐる季節の中で、命の営みが煌めいている。
(偕成社/1,400円+税)

江戸時代の実話をもとにした物語
『波浮物語─港ができるまで夢多き男・平六』

『波浮物語─港ができるまで 夢多き男・平六』
原作・来栖良夫 物語版画・平成元年度波浮小学校卒業生

江戸時代、伊豆大島に波浮(はぶ)の港と集落を築いた実在の商人・平六の物語を描いた版画絵本。太平洋に浮かぶ無人島にあこがれ、船の技術を磨き難所を航海する船を救うため、港を開く大工事に挑む平六と、さまざまな協力者との出会いが描かれる。
来栖良夫氏による小説『波浮の平六』を原作に波浮小学校の6年生が卒業記念として制作を始め、中学校の3年間をかけて地域の歴史を描き出した力作。
(花伝社発行・共栄書房発売/1,500円+税)

121種のカタツムリたちが暮らす楽園『カタツムリ小笠原へ』

『カタツムリ小笠原へ』 文・千葉聡絵・コマツシンヤ

東京のカタツムリが、ある日、小笠原にトリップ。小笠原の島々でさまざまなカタツムリの仲間に出会う。
島で暮らすカタツムリは姿かたちも暮らし方も個性豊かで、その数なんと121種にものぼる。その祖先は、流木に乗って1,000キロの大海を渡りたどり着いた島で仲間を増やしてきたという。
カタツムリになった気持ちで小笠原の森を探検しながら生き物の進化の不思議や命の尊さを感じられる絵本。
(福音館書店/1,300円+税)

由利島最後の住人となった夫婦の物語
『タコとミカンの島 瀬戸内の島で暮した夫婦の話』

『タコとミカンの島 瀬戸内の島で暮した夫婦の話』
絵と文・倉掛喜八郎

瀬戸内の人と暮らしを記そうと150島を歩いた絵描きが無人島となった由利島の最後の住人夫婦と知り合う。タコツボ漁とミカンの通い耕作を営む夫婦への訪いは「望んでも望めない運命的な出会い」だったという。
人影をなくした家屋に残された、整理された生活道具やミカン畑、公衆電話の側に絶やさず置かれた10円硬貨。問わず語りに聞いた夫婦の言葉、そこにあった暮らしが美しい絵と文章でしっかりと描き留められている。
(シーズ・プランニング発行・星雲社発売/1,500円+税)

種子島から宇宙へ!人工衛星打ち上げの裏側『ロケット発射場の一日』

『ロケット発射場の一日』いわた慎二郎 著

種子島にある内之浦宇宙空間観測所からロケットで人工衛星を打ち上げるまでを紹介した絵本。
宇宙観測所に設けられたさまざまな設備紹介にはじまりイプシロンロケットのメカニック図解や分割されたロケットのパーツを運ぶ特殊車両の紹介、打ち上げに向けたロケット組み立てのステップ、管制センターで働く人々の様子なども描かれている。
見果てぬ宇宙に憧れる親子におすすめしたい。
(講談社/1,400円+税)

開拓の島を見守る心優しいおんな天狗の物語
『うふあがりじま絵本 健太とおんな天狗』

『うふあがりじま絵本 健太とおんな天狗』 絵と文・佐渡山安博 解説・服部敦

うふあがり島(北大東島)の少年健太は、母を亡くし炭鉱で働く父と二人暮らし。体が小さく、腹を空かせ体の大きな同級生にしょっちゅう投げ飛ばされていた。
ある日、健太の前に相撲の強いおんな天狗が舞い降りる。年に一度の祭の日、天狗と相撲の特訓を重ねた成果は。物語の背景として、「リン鉱の島」復活プロジェクトと八丈島から南北大東島への開拓移民の歴史が当時の写真とともに紹介されている。
(ボーダーインク/1,500円+税)

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