つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

【島田選書38〜42「旅する巨匠・宮本常一」編】島ファンの間で根強い人気を誇る、民俗学者の宮本常一さんに関する書籍を集めました。生涯のうち4000日以上を民俗調査に充て、3000を超える地域を訪ね、あらゆるものにレンズを向けてきた彼が、日本の離島を通して解き明かす日本の文化。

島田選書038

「旅の鉄人」が歩いて感じた日本の原風景。

『宮本常一 旅の手帖〈愛しき島々〉』宮本常一
八坂書房/2011年11月

《旅の手帖シリーズ》第4弾。日本の島々は入ってきた文化を警戒せずに吸収した。それは日本という国が平和であったからにほかならない…。一種の極限の世界ともいうべき、小さな島での生活のたて方を見ると、考えさせられることが実に多い。日本を知るには、大陸から切り離された「離島」の成り立ちやその島独自の優れた文化を知ることだと宮本は述べる。「旅の鉄人」が歩いて感じた日本の原風景。貴重な紀行文、調査記録を収載。

作者紹介

宮本常一(みやもと・つねいち)1907年山口県周防大島生。16歳の時に大阪に出て逓信講習所で学び、天王寺師範学校を卒業後、小学校教師となるも病を得て帰郷。療養中に柳田国男の『旅と伝説』を手にしたことがきっかけで、柳田、渋沢敬三という生涯の師と出会う。39年に渋沢の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、57歳で武蔵野美術大学に奉職するまで在野の民俗学者として日本全国を歩く。66年日本観光文化研究所を設立し、後進の育成に努めた。著書に「日本人を考える」「忘れられた日本人」「民具学の提唱」「日本文化の形成」など。1981年没。

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島田選書039

宮本常一の思い出の島「真宮島」のルポ

『旅の原景―なぎさの記憶2』宮本常一
みずのわ出版/2005年7月

通しタイトルにもなった「なぎさの記憶」は周防大島と陸続きの無人島、真宮島のルポ。宮本常一にとっては郷里にほど近い思い出の島で、「森に風のあたる音と波の音―それは私の気象台でもあった」(「私のふるさと」)と書きのこしている。しかし、このなぎさが里人の仕事の場、遊びの場であった時代は今は昔のことである。

島本の作り手

田中慎二(たなか・しんじ)1957年広島市生。中国新聞写真記者/荒木肇(あらき・はじめ)1971年広島市生。中国新聞写真記者/佐田尾信作(さたお・しんさく)1957年島根県出雲市生。中国新聞記者

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島田選書040

写真約200点から読み解く瀬戸内の島の暮らし

『宮本常一写真図録第1集 瀬戸内海の島と町―広島・周防・松山付近』
みずのわ出版/2007年8月

宮本常一の写真約200点から読み解く広島湾、愛媛県忽那諸島、山口県岩国・柳井近辺の島々の暮らし。「ここに掲載された写真を一見してわかるのは、写し込まれた情報量のおびただしさである。宮本は家並みや屋根の形、洗濯物が干された風景や道の曲がり具合からさえ、そこに暮らす民衆の暮らし向きと、意思を読み取っている」(ノンフィクション作家・佐野眞一の解説より)。

島本の作り手

周防大島文化交流センター(すおうおおしまぶんかこうりゅうせんたー)山口県周防大島町に2004年5月開館した体験学習施設。周防大島出身の民俗学者・宮本常一が遺した膨大なフィールドノートや写真等の資料群を収蔵。「宮本常一・農漁村再訪録」などを刊行している。

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島田選書041

旅する巨人がレンズを向けた、激しく変貌した日本の「いま」

『旅する巨人宮本常一―にっぽんの記憶』読売新聞西部本社 ほか
みずのわ出版/2006年07月

生涯のうち4000日以上を民俗調査に充て、3000を超える地域を訪ね、あらゆるものにレンズを向けてきた宮本常一。周防大島文化交流センターが保管している写真のうち77点から、激しく変貌した日本の「いま」を描く。

版元紹介

みずのわ出版/1997年、柳原一徳(やなぎはら・いっとく)の一人出版社として神戸で創業。人文・社会科学書を中心に、15年で手掛けた書籍およそ120点。2007年から2010年まで林哲夫(画家・装幀家)編集による文芸誌「spin」発行(8号で終刊)。2011年9月、周防大島の亡祖父母宅に移転。〒742-2806山口県大島郡周防大島町西安下庄、庄北2845

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島田選書042

そこには「見たことのない日本」の姿がある―

『灘渡る古層の響き―平島放送速記録を読む』 稲垣尚友(いながき・なおとも)
みずのわ出版/2011年7月

1974年6月から9月にかけての、トカラ諸島・平島の部落内放送記録から島の古層、そして現代を読み解く。たとえば第1章「人のヤギの耳を切らないでください」。放牧ヤギの所有者を表す「耳切り」をめぐるトラブルが部落内で放送されること、すなわち社会化されることの意味、放送に至る背景、そして島の精神史へと書き手は分け入っていく。書き手と同時期に平島に住みこんだ写真家・大島洋の作品約80点を収録。

島本の作り手

稲垣尚友(いながき・なおとも)1942年生。トカラ諸島での最初の暮らしは臥蛇島であった。その島が無人になってからは、ひとつ南の平島へ移る。「おじいさん、50年前の島の暮らしを教えてください」という民俗採集者が島に来た。それを聞いて、それなら、わたしは不確かな50年前よりも、確かな〈いま〉を記録して、50年後にやってくる人の資料を準備しようと決めた。著書の半分は孔版(ガリ版)印刷本である。生業は竹細工。ひとむかし前の職種名だと、カゴ屋。

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