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離島経済新聞

 

インタビュー

【語らう】島で育ったきいやま商店と、島で子育てをする俵万智さん

『月刊やいま』とのコラボ企画。石垣島に移り住み子育てをする歌人の俵万智さんと、石垣島で生まれ育ち、沖縄を拠点に全国でライブ活動を展開する兄弟&いとこのユニット「きいやま商店」さん。島に移住したきっかけや、島の教育環境などについて、島への想いとともに語っていただきました。タブロイド紙『季刊リトケイ』8号に掲載されたインタビューをお届けします。

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『月刊やいま』とのコラボ企画。石垣島に移り住み子育てをする歌人の俵万智さんと、石垣島で生まれ育ち、沖縄を拠点に全国でライブ活動を展開する兄弟&いとこのユニット「きいやま商店」さん。島に移住したきっかけや、島の教育環境などについて、島への想いとともに語っていただきました。タブロイド紙『季刊リトケイ』8号に掲載されたインタビューをお届けします。

(聞き手・笹本真純/写真・中西康治)

子どもにとっての一番の教育環境とは?

−−−−−−

まずは最近の活動について教えてください。

きいやま商店

各地のイベントやワンマンライブなどをして石垣の宣伝をしながら全国をまわっています。今は新曲を制作中で、春か夏くらいに発表できそうです。

俵万智さん

8年ぶりの歌集『オレがマリオ』を出版したところです。前半は、震災以降に石垣に移り住んだ後につくった歌が入っています。石垣に住みながら執筆活動をして、必要がある時は内地へ仕事に出ています。

−−−−−−

俵万智さんは現在石垣に移住されておりますが、移住に至るまでの経緯を教えてください。

万智さん

きっかけは2011年の震災でした。当時仙台に住んでいて、余震もひどく、原発もどうなるかわからなくて、とりあえず離れようと思いました。なるべく西へと思って、仙台空港は津波もきて機能していなかったので、山形空港へ向かいました。聞いたら那覇行きが空いていたので、行くことに決めました。那覇のホテルに2週間くらい滞在したのですが、仙台や周辺の状況も変わらないし、テレビをつけても津波の映像ばかり。小学1年生だった息子も指しゃぶりを始めたりで、どうしようと思っていたところ、知り合いが石垣に移住したことを思い出して連絡してみました。「そんなことならおいで」とすぐに言ってくれて、初めて石垣に来ました。友達の家に居候させてもらい、2、3日気晴らしできればと思っていました。でも息子が劇的に元気になっていって。海に行ってモズクを採ったり、近所の子どもたちと砂浜で遊んだり。むしろ、震災前よりも元気なくらい。それ以来、好きで住んでます。きっかけはたまたまだったけれど、もうすぐ3年になるので、偶然ではないなと思っています。

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−−−−−−

島では子育てもされていますが、島の暮らしや教育環境についてはどんなことを感じますか?

万智さん

まずは圧倒的な自然ですね。仙台では自然に触れさせようと思うともわざわざ出掛けないといけなかったんです。子どもは遊んでなんぼって思ってるんだけど、子ども同士が無意味に遊ぶ時間というのがない。それを一番苦労してつくってました。でも石垣に来たら、子どもがみんな暇そうで。約束することなくわーわー遊んでる。仙台では、同級生の親に連絡して「来週の水曜日の何時から何時まで空いてますか」とか、マネージャーみたいでした。
 今の小学生っていうのは遊ぶのがこんなに大変なのかと思っていました。今、住んでいるところは、町から少し離れていて、島の中でも昭和っぽさがあるのかも。地域の人が子どもをみんな呼び捨てにして、悪いことしたら近所のおじさんに怒られたり。東京と仙台で子育てをしていて足りないと思ったものがたまたま島にありました。
 やっぱり子どもにとっての一番の教育環境って、自然と、子ども同士が遊べることに尽きると思う。それが石垣にはあるから素晴らしい。今、東京などで仕事ができているのは、地域の人が順番で子どもを預かってくれるから。それを東京の人に言うとすごくびっくりされて。「石垣でもシッターさんいるんですか?」とか聞かれますからね。

マスト

ヘー!(驚)。そういうことがなくても泊まり歩いてるよね。

大ちゃん

子どもの頃は友達の家に泊まりにいくのがめちゃくちゃ楽しかった。

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リョーサ

帰されそうな気配がしたら、おれらは寝たふりして。「もう寝てるよー。起こさんでー」って雰囲気を出して、親が帰った瞬間に起きだして「なにするかー!」って(笑)。

万智さん

近所の子たちも幼稚園児から中学生まで我が家に泊まりに来ているし。特にウチは母子家庭だしひとりっ子だから、地域みんなで子どもをみてくれる環境はありがたい。兄弟姉妹みたいな違う年の子が仲良く遊んでるのはいいなと思う。でも、全国一斉テストで、沖縄ってぶっちぎりで最下位だったりブービー賞だったり。

一同

爆笑

リョーサ

ぶっちぎってる分、違うものを学んでると思う。

万智さん

子どもの時間割も、音楽の発表会が近いからっていうのもあるんだけど、午後は全部音楽だったり。運動会のエイサーとかすごい気合入ってるしね。

マスト

勉強ができないせいでの劣等感とかはなかったかな。

大ちゃん

そうだね。

万智さん

そこが素晴らしいよね。もちろん勉強も生きていく上で必要なことではあるけれど、都会ではそれが100%になってるから気の毒に感じるというか……。

−−−−−−

確かに。きいやま商店さんは島を出たいと思っていた事がありますか?

大ちゃん

それは常に思ってた。

マスト

思うっていうか、1回は島を出るのが当たり前だった。

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リョーサ

親も出したいんだろうね。「あんたはどこにいくの?」って感じだよね。

大ちゃん

専門学校も大学もないからね。

マスト

1学年で島に残る人って10人もいないはず。おれらの時は。

リョーサ

出たほうがいいと思う。出たらもっと島の良さがわかる。

大ちゃん

良いところももちろんだけど、島の悪いところもわかる。

リョーサ

でも子どもを育てるのは島がいいだろうね。

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大ちゃん

そりゃそうさ。絶対島がいい。近くにじいちゃんばあちゃんがいる環境がいいよね。

マスト

自分たちみたいになってほしいな!

島には先祖を大事に思う気持ちが生きている

−−−−−−

良いですね。万智さんは、きいやま商店の皆さんをはじめ、島で育った方々についてどんな印象を持っていますか?

万智さん

音楽とともに育ったんだなと、日常のものとして音楽があるのがとても素敵だと思います。あと、すごく先祖を大事にするっていう感覚がとても自然にあるのが最近やっと腑に落ちるようになりました。はじめ、リョーサが「(長男だから)仏壇をみんといけん」ていうのを普通に言ってたのが、ものすごくカルチャーショックで!

リョーサ

え!

万智さん

ほら、今も驚いてるでしょ!島の人たちにとっては自然なことなんだよね。実際おじいちゃんおばあちゃんに会わせてもらったり、アンガマ(八重山地方に伝わる旧盆行事)や行事とかをいろいろ見て、先祖を大事に思う気持ちが生きてるのが本当にわかる。自分が今あるのは先祖のおかげっていう気持ちがあるのは、つまり、未来のことにも目がいってるっていうことだよね。多分100年前の人をありがたく思える人は、100年後のことを考えられる人。きいやまの歌でも、叔父さんの歌とかばあちゃんの歌とかあるけど、J-popでなかなかないよ(笑)。すごい貴重ですごく素敵。

−−−−−−

最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

リョーサ

石垣にぜひ遊びに来てほしいです。近くの島々もそれぞれ違っておもしろいです。そして僕もいろんな島に行ってみたいと思っています。

大ちゃん

石垣の人は、生まれた島のことめちゃめちゃ愛してるし、歌と芸能の島って言われるだけあって、豊年祭やアンガマもすごい。離島は景色も全然違うから。昨年、空港も新しくなったことだしぜひ八重山に遊びに来てください。日本であって日本でない感覚になると思います。

マスト

石垣は意外となんでもある島です。なんにもないところに行くのもすぐだし。遊びに来て、そしてぜひ住んでください。まだまだ土地もあります。

万智さん

島っていうのはまわりが海だから、文化がはっきりしてるっていうか、子どもたちと一緒に石垣や宮古の方言を調べたことがあったんだけど、それぞれ違って面白い。アンガマにしても、石垣と竹富では微妙に違うよね。私はきいやま商店の追っかけでいろんな島に行きましたが、なにか窓にして訪れると、より島旅がおもしろくなると思う。自分が島に住むようになるとは思ってなかったけれど、振り返ってみると印象に残ってる土地って島が多いんですよ。島ってそれぞれの歴史がくっきりしてるのも面白いですね。


(お話を聞いた人)

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俵 万智(たわら・まち)さん
代表作に『サラダ記念日』などをもつ歌人。2011年より石垣島に住む。2013年11月に8年ぶりとなる歌集『オレがマリオ』を発行。きいやま商店の楽曲、「がんば」、「八重山アイランドワルツ」の2曲の作詞を手掛ける
♪お知らせ >> 最新歌集『オレがマリオ』は、石垣島に来てゲームに触れなくなった息子の様子をはじめ。3.11以降の不安な日々や、震災以前に描かれた歌など341首を収録

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きいやま商店(きいやましょうてん)
石垣島出身、在住、兄弟といとこのリョーサ(崎枝亮作)、だいちゃん(崎枝大樹)、マスト(崎枝将人)で2008年に結成されたエンタメユニット。沖縄を拠点に、全国でライブ活動をしている。現在沖縄県内で3つのテレビCMに出演、楽曲を提供。最新作は4thアルバム『ダックァーセ!』
♪お知らせ >> 4枚目のアルバム『ダックァーセ!』には、俵万智さんが作詞を手掛けた切なく泣けるLOVE SONG「がんば」や新石垣空港PRソング「おかえり南ぬ島」を収録

離島経済新聞 目次

『季刊ritokei(リトケイ)』インタビュー

離島経済新聞社が発行している 全国418島の有人離島情報専門のタブロイド紙『季刊ritokei(リトケイ)』 本紙の中から選りすぐりのコンテンツをお届けします。 島から受けるさまざまな創作活動のインスピレーションや大切な人との思い出など、 島に縁のある著名人に、島への想いを伺います。

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