つくろう、島の未来

2020年09月30日 水曜日

奄美大島南部と加計呂麻島、請島、与路島の4島からなる瀬戸内町の池地小学校が2017年の春、3年ぶりに再開された。

池地小学校のある請島(うけしま|鹿児島県)の人口は約90人。本土から直接アクセスできない二次離島と呼ばれる島だ。

2014年に児童数がゼロになり休校して以来、子どものいない島になった請島に子どもたちが戻ってきた理由は、同町の奄美大島側に住んでいた請島出身者2世帯が子どもの入学を機に、島に戻ることを決めたことだった。

島唯一の学校再開を地域住民は喜び、入学式の前には有志らが学校の清掃を行い、子どもたちを歓迎したという。

2019年度は、在学する児童の兄弟が入学し、児童数は3人となった。運動会などの学校行事には多くの地域住民が参加し、「島に子どもが居ることで地域が元気になり活性化する」と喜んでいる。

※この記事は『ritokei』30号(2019年11月発行号)掲載記事です。

請島「池地小学校」(鹿児島県)

池地小学校の学校便り「うけゆり」の名は、請島が誇る天然記念物「ウケユリ(請ゆり)」に由来する。学校の授業ではウケユリの観察会も開かれており、島の自然を守る住民有志の「請島みのり会」がフィールドワークを担当するなど、地域住民が子どもたちの学びを支えている。

今年6月に実施された観察会では、児童らがみのり会のガイドで請島の自然を学び、自然を守る大人たちの存在や苦労を知り、自ら請島の自然を守り続けていこうとする意識を高めたという。

児童3人の小規模校では、集団で学ぶ機会が乏しいため、隣島・与路島の与路小学校との交流学習や、請島・与路島・加計呂麻島の二次離島3島の児童が学期毎に集まり、一緒に学習する集合学習が実施されている。

また奄美大島側の鎮西・実久地区で毎年実施される2泊3日の集団宿泊学習には、請島の5年も参加。同学年の子どもたちと寝食を共にする体験は、小規模校で学ぶ子どもの成長を補完する役割を担っている。

島ぐるみで小学校を支える請島だが、新たな子育て層が移り住まない限り、8年後には児童数がゼロとなり、再度休校になってしまう状況にある。

瀬戸内町では町内の小規模校に全国から児童生徒を受け入れられるよう、「にほんの里加計呂麻留学」制度を実施している。同制度では、瀬戸内町外の小学1年生から中学3年生までの児童生徒が親と一緒に請島をはじめとする町内に移住した場合、子ども一人につき月額30,000円が助成され、住宅入居後1年間は、家賃の2分の1(上限11,000円)も助成される。

池地小学校では、学校のブログを定期更新するなど情報発信に努めながら、この制度を活用し、UIターン者が増えることを願っている。(取材・武原由里子)

特集記事 目次

特集|島にみる再生復活という希望
台風、噴火、地震、津波、人口減少、人口流出、産業衰退に学校の統廃合etc……。自然の猛威や社会変化により、昨日まであったものが無くなることもあれば、じわじわと姿を消すこともあります。自然災害の多い日本列島では毎年のように台風や豪雨、地震などの被害が起き、地域を支える人口減少にも歯止めはかかりません。 島から無くなろうとしているもの、あるいは無くなってしまったものの中には、人々の生活やつながり、心を支えていたものも含まれます。失ったものが大事であるほど、心に大きな穴があき、寂しさや悲しさ、無力さがその穴を広げてしまいます。 とはいえ、絶望もあれば、希望もある。有人離島専門フリーペーパー『季刊リトケイ』30号と連動する「島にみる再生復活という希望」特集で、島々で実際に起きている希望に目を向けてみませんか?

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