つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

有人離島専門フリーペーパー『季刊ritokei』41号「きれいな島をいつまでも ごみについて考えよう」発行

2月27日に有人離島専門フリーペーパー『季刊ritokei』41号「きれいな島をいつまでも ごみについて考えよう」を発行しました。3月上旬より全国約1,200カ所の公式設置ポイントに設置され、配布閲覧がスタート、ウェブでも順次記事を公開していきます。41号の目次や見どころをご紹介します。

最近、島に「ごみ」が増えていると感じませんか?

あちこちの海辺や、人が立ち寄らない隠れた場所に、もう、どうにも隠れきれなくなったと言わんばかりに佇むごみ。
島の人たちは口々に「昔はそんなになかった」と言います。
ごみと呼ばれるものが自然界に存在しないとすれば、それはすべて、人の営みと価値観から生まれたものといえるでしょう。

この特集では、「きれいな島をいつまでも」という願いを込めて、島のごみについて考えていきます。

本特集では、「自然界の掃除屋」との異名をもつカラスのキャラクター「シマノカラス」が、皆さんをナビゲート。

「昔はぼく、ごみじゃなかったんだよ。」(流木ごみさん)「わしら、島の外に運ぶにも手間がかかるからなあ。」(粗大ごみくん)

特集冒頭では、シマノカラスが「生ごみくん」「プラごみくん」「ストローごみさん」など、島でも身近に目にするごみたちと出会いながら、ごみにまつわる疑問を大きな島の姿をした「シマノ博士」に問いかけます。

離島地域にお住まいの読者の皆さんからアンケートで集めた、気になる「島のごみ」の現状もお伝えします。さあ、シマノカラスと一緒にごみについて学んでいきましょう。

「まずは知りたい!ごみのキホン」では、ごみ問題を考えるための基礎知識として、「一般廃棄物」「産業廃棄物」「海洋ごみ」の説明とそれぞれの処理方法を紹介。

「島特有のごみ問題と静脈物流」は、離島地位のごみ問題を考えるのに欠かせない「コスト」と「物流」がテーマ。都市部に比べてごみ処理手数料が4〜5倍ものコスト高になってしまう離島地域ならではの背景や、不要になったものが回収・廃棄・リサイクルされるまでの流れ「静脈物流」について解説します。

島々でごみが目立ち始めたのはいつ頃からなのか。竹富島(たけとみじま|沖縄県)、沖永良部島(おきのえらぶじま|鹿児島県)、知夫里島(ちぶりしま|島根県)のお年寄りに話を聞く「いつから増えたの?島のごみ」では、ごみを出さない昔ながらの暮らしの工夫も教えていただきました。

大量廃棄社会を変えるための重要なキーワードのひとつが、持続可能なかたちで資源を利用する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」という考え方です。

「そもそも『捨てない』社会をつくるには?島も、ごみも、世界も救う循環経済とは」では、硫黄島(いおうじま|鹿児島県)に暮らす環境学博士の大岩根尚さんと、屋久島(やくしま|鹿児島県)と島外を結び、不要品のリユース・リサイクルの実証実験に取り組む ECOMMITの川野輝之さんに取材。離島地域が目指すべき循環経済の在り方について、ヒントをいただきました。

続くキーワードは「ゼロ・ウェイスト」。無駄や浪費をなくして、できるだけごみを生み出さないようにしようという考え方です。

2020年に沖縄県で初のゼロ・ウェイスト認証を取得した石垣島(いしがきじま|沖縄県)のユーグレナガーデン、屋久島のエコビレッジ「aperuy(アペルイ)」、実際に島でゼロ・ウェイストを進めている、ふたつの取り組みを紹介します。

対馬島(つしまじま|長崎県)は、リアス式の地形や海流の影響から、国内でも有数の海洋ごみが流れ着く地域。ごみのない美しい島を目指そうと、対馬市は2022年に「ごみゼロアイランド対馬宣言」を掲げ、市民の間でも「ごみをゼロにしよう!」という機運が高まっています。

行政としてごみの課題に取り組む対馬市環境対策課とSDGs推進室、行政と協力しながら民間で活動する岸良広大さんに話を聞きました。対馬市民が挙げるごみを減らすためのアイデアは、離島に限らずさまざまな地域で参考になりそうです。

離島経済新聞社は2022年、日本財団「海と日本PROJECT」と共同で、人口概ね500人未満の小規模離島地域における海ごみ問題の実態を把握するため101島へのアンケート調査と10地域の現地調査を実施。その結果、人手や資金の不足、島内で処理できないごみの搬出費用など、さまざまな問題が浮き上がってきました。

そこで、2022年11月、知恵を持ち寄り小規模離島の海洋ごみ問題を考えるオンラインコミュニティ「小規模離島の海ごみ問題を考える会」を設立。オンライン勉強会を開催し、小規模離島の海ごみ対策の現状や先進的な取り組みを共有しました。10島調査の報告と併せてご覧ください。

海洋ごみの問題に対し、「楽しくごみ拾いをしながら身近な環境問題を学ぶイベント」「プラスチックごみのアップサイクル」など、島々でさまざまな動きが生まれています。「海洋ごみに立ち向かう島々のアイデア」では、小値賀島(おぢかじま|長崎県)、大崎上島(おおさきかみじま|広島県)、高見島(たかみじま|香川県)、上天草市(かみあまくさし|熊本県)、与論島(よろんじま|鹿児島県)、竹富町(たけとみちょう|沖縄県)、島内外と連携し海洋ごみ問題に立ち向かう6地域の取り組みを紹介します。

人が日常的に立ち入りにくい海岸にも、海洋ごみは流れ着きます。2022年秋、島内の力だけでは回収・処理が難しい海洋ごみに悩む阿多田島(あたたじま|広島県)で、海洋ごみ対策の実証実験が行われました。巨大なフロート(発泡スチロール製の浮き)を圧縮する装置や、砂とごみを分ける風力分別機を船で運び、約1.2トンの海洋ごみを一掃した実証実験の様子をお伝えします。

定番のインタビューページでは、漫画家の山田貴敏さんにインタビュー。離島の診療所で奮闘する医師の日々を描く代表作『Dr.コトー診療所』は累計12,000部発行、ドラマ版も人気を博し、2022年に映画化されて話題となっています。

「描いてきたのは島で生きること」と語る山田さんに、主人公のモデルとなった離島の医師との出会いや、島々の未来へ向ける思いを伺いました。

島々に携わる仕事人の想いを紹介する「島々仕事人」には、“お手伝い”をしに“旅する”サービス「おてつたび」を運営する株式会社おてつたびの永岡里菜さんが登場。「手伝いと旅」を掛け合わせ「うちの地域には来ないよ」と言われる場所に関係人口を増やす「おてつたび」について話を聞きました。

「有人離島の人口変動」ページでは、平成27年・令和2年の国勢調査および、直近半年間の人口変動を3カ月ごとに掲載。離島留学や移住の参考にしていただける小学校・中学校・高校の設置状況も島ごとに掲載しています。ウェブ版『ritokei』有人離島一覧にも、同内容を掲載します。(3月下旬更新予定)

島にまつわる本や映画などを紹介する「島Books & Culture」欄、今回は沖縄本島で「CAFE UNIZON」を営む編集者・著述家の三枝克之さんが選書を担当。「夢と現実の間に浮かぶ、儚き島々の記」と題し、実在する辺境の島々を地図で詳細に描くビジュアルブックや、海図上にあっても実在が確認できない島々「疑存島」にまつわる歴史の本など、心に島を描く5冊をご紹介します。

400島あれば400通りある島の文化を島に暮らす文化人にご紹介いただく「島から島へ紹介したい島文化」、今回のテーマは「島四国へんろ」です。しまなみ海道の端に位置する大島(おおしま|愛媛県今治市)で本と珈琲のお店「こりおり舎」を営む千々木涼子さんに、「島四国へんろ」と毎年4月に催される縁日について寄稿いただきました。

島に暮らす人の想いを届ける「島人コラム」欄。今回は、それぞれ島への想いを形にして活動する3人の方に寄稿していただきました。種子島(たねがしま|鹿児島県)の高校在校時に制服をおさがりできるアプリをつくった廣濱葵さん、新潟市にUターンし、佐渡島(さどがしま|新潟県)のファンクラブを設立、書籍も発行した渋谷研一さん、八丈島(はちじょうじま|東京都)出身で、島言葉の展示を企画している菊池心音さんら、3人のコラムを掲載します。

詳しくは『季刊ritokei』41号または、3月上旬よりウェブ版『ritokei』に掲載される特集記事をご覧ください。下記目次のリンクより、ウェブ版の記事をご覧いただけます(随時更新)。

ー きれいな島をいつまでも ごみについて考えよう ー

●あなたの島は、ごみが増えていませんか?島とごみの今
島で暮らす人が気になる「島のごみ」(読者アンケート)
まずは知りたい!ごみのキホン
いつから増えたの?「島のごみ」(竹富島、沖永良部島、知夫里島)
\カラスは伝えたい/島特有のごみ問題と静脈物流
そもそも「捨てない」社会を作るには?島も、ごみも、世界も救う循環経済とは(環境博士 大岩根尚さん、ECOMMIT 川野輝之さん)
そもそも「ごみを出さない」ゼロ・ウェイスト推進中(石垣島 ユーグレナガーデン、屋久島 aperuy)
日本一多くのごみが集まる島の挑戦 ごみゼロアイランド対馬宣言(対馬島)
小さな島の海洋ごみ問題 101島+10地域調査で見えてきたこと(飛島、網地島、菅島、千振島、魚島、高井神島、浮島、地島、高島、野甫島・伊平屋島)
小規模離島の海ごみ問題を考える勉強会(プロジェクト・マナティ 金城由希乃さん、村おこし法人ECOFF 宮坂大智さん、合同会社とびしま 松本友哉さん、宗像市元気な島づくり課 内野由太さん、愛媛県上島町地域おこし協力隊 佐藤滉治さん、周防大島町生活衛生課 大谷快さん、屋代島さとうみネットワーク 田中貞徳さん)
海洋ごみ問題に立ち向かう島々のアイデア(小値賀島、大崎上島、高見島、上天草市、与論島、竹富町)
人口の立ち入りにくい海岸の巨大ゴミを一掃!阿多田島の実証実験(阿多田島)
●島のごみが増え始めて50年 一人ひとりにできることを(鯨本あつこ)

ー インタビュー ー

「描いてきたのは島で生きること」山田貴敏さん
「島々仕事人」株式会社おてつたび 永岡里菜さん

ー 定番企画 ー

●有人離島の人口変動|島々の人口変動を3カ月毎にチェック!
島Books & Culture|夢と現実の間に浮かぶ、儚き島々の記(編集者・文筆家 三枝克之さん)
島から島へ紹介したい島文化(今治大島 こりおり舎 千々木涼子さん)
●島人コラム|種子島佐渡島八丈島

ー 特別企画 ー

●手をつなぎ、拓く持続可能な島の未来(大和リース株式会社・北哲弥 社長、座間味村・宮里哲 村長)(前編)(中編)(後編
\うがみやぶら!(こんにちは)/沖永良部島知名町で働きませんか?
お金に困らない大人になろう。奄美大島の高校生が学んだ金融経済教育(アクサ生命保険株式会社、アクサ・ウェルネス・マネジメント株式会社、鹿児島県立大島北高等学校)

【お詫びと訂正】
以下、新聞内表記に誤りがありました。正しくは以下の通りです。

▼P6 「インタビュー」内表記
[誤]撮影・渡邊和弘
[正]撮影・石津裕介


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