つくろう、島の未来

2024年04月20日 土曜日

つくろう、島の未来

美しい自然や人々の共助社会が存在する島には、お金で買えない豊かさが存在しています。しかしながら、現代社会を生き抜くにはお金も大事。お金について学び、上手に付き合っていくために、2022年に改定された学習指導要領では高校での「金融経済教育」も義務化されました。

例えば、鹿児島県は奄美群島・奄美大島(あまみおおしま)では、奄美市が掲げる教育振興基本計画に「これからの変化の激しい社会において、自ら思考し、判断することのできる金銭・金融感覚をもった児童生徒の育成を図ります」と記されています。

島で暮らす高校生は、そのほとんどが卒業後に島を離れます。島には少なかった誘惑や勧誘の多い場所で暮らすために、高校生のうちに金融知識を得てほしい。そんな想いから、奄美大島の高校でアクサ生命「ライフマネジメント®」の出前授業が行われました。

金融経済を学ぶには、お金や投資について学ぶだけではなく、自分がどのような人生を送りたいか? そのためにどのくらいのお金が必要なのか? を考え、自分の人生を自ら管理する「ライフマネジメント®」の方法を習得することが重要だとアクサ生命の担当者は語ります。

さて、一体どんな授業となったのでしょう? 奄美大島在住のライターがレポートします。

文・写真 田中良洋
sponsored by アクサ生命保険株式会社/アクサ・ウェルス・マネジメント株式会社

どんな人生を歩みたいか? 奄美の高校生への問いかけ

12月某日、奄美大島北部にある鹿児島県立大島北高等学校(以下、北高)で、お金について学ぶ授業が行われると聞き、取材に出かけました。

豊かな自然と多様な生物に恵まれた奄美大島は2021年に世界自然遺産に登録され、鹿児島や沖縄とは異なる独自の文化が色濃く残る島です。

北高は、奄美大島北部・笠利地域にある高校です。普通科と情報処理科に分かれ、令和4年度には121人の生徒が在籍。「生徒一人ひとりが主役」をスローガンに掲げ、地域の活動にも積極的に参加しています。

どんな様子の学校なのか、進路指導部の齋藤孝誠(さいとう・こうせい)先生に聞くと「人数が少ないので刺激はあまりありません。地域の方々と関わって貢献し、刺激を受けて将来を考えるきっかけにしてほしいと考えています。笠利地域は、地域の集落の方々が協力的なのでいろんな取り組みができます」と教えてくれました。

今日は、そんな伝統文化の色濃い地域で暮らす高校生がアクサ生命「ライフマネジメント®」の授業で「お金」について学びます。

この授業を受ける11人の生徒に向けて、講師を務めるアクサ生命の大谷さんが「石切り職人」の話を始めました。ある石切り職人たちに「あなたは何のために仕事をしているのか?」とたずねた話です。

ひとりの石切り職人は「お金を得るためだ」と答え、次の石切り職人は「人々が安らげる教会をつくるためだ」と答えました。生徒にどちらの人でありたいか? と聞くと、すべての生徒が後者に手を挙げました。

お金について考える前にまず考えるべきは「目的をもって仕事をすること」「お金を稼ぐためだけではなく、何のためにお金を稼ぐのかを考えることが大切だ」と伝えます。

では、人生の目的とは何でしょうか? 安定した生活をするためなのか? 幸せになることなのか? 社会貢献をすることが目的という人もいます。

続いて、それぞれが「自分の人生の目的とはなにか」「どんな人生を歩みたいか」を考えるためのワークが始まりました。

「挑戦」「安定」「成功」「笑顔」「貢献」などのワードから、自分に当てはまると思う言葉を探し出していきます。そして選んだワードから自分なりの夢や理想像、10年後や20年後になりたい姿を想像していきます。

卒業したら島を離れる高校生たち、島に残る高校生たちは、どんな理想を描くのでしょう。

進路を考える学年だけにどの生徒にもぼんやりとしたイメージがあるようでしたが、言葉にするのは大人でも簡単ではありません。戸惑いながらも真剣にワークに取り組み、自分なりの答えをシートに書いていました。

一生涯に必要なお金や、もしものトラブルに備える知識も

ワークに続きアクサ生命の大谷さんが語り始めたのは具体的な数字の話でした。

「60歳まで働いて得られる生涯賃金は2億円です。しかし、人生100年時代といわれるこれからの時代、一生涯に必要なお金は3億円といわれています。この差を埋めるためには収入以外に運用してお金をふやす必要があります」。

現実的な話に生徒たちはおどろいた様子。そこで、どのような運用方法があるのか? 過去と現在の金利の違いは? 投資と投機、ギャンブルの違いは? と教わっていきます。

最後には「お金のトラブル」についても。クレジットカードやリボ払い、よくある詐欺の実例など、島を離れてひとりで生活するなかで陥る可能性のあるトラブルや、もしもトラブルにあった場合の対処法についても説明がありました。

具体的なお金の運用方法やトラブルの対処法を学ぶことで、「自らの人生を自ら経営すること(=ライフマネジメント®)」ができると大谷さんは言います。

夢や目標を持ち10年後、20年後の未来を見据えて幸せな人生を送るためにはどのくらいのお金が必要なのか? そのお金はどのように手に入れるのか? 自ら考え実践する方法を生徒たちは1時間の授業で学びました。

将来を考えることが今の勉強の意味につながる

「今まで将来のことをじっくり考えることは難しく感じていましたが、今日の授業で理想を考えてみて、すこし想像できた気がします」。そう話すのは、授業を受けた北高3年生の榮愛真音(さかえ・あまね)さんです。

インターネットやスマートフォンからいろんな情報を得られる今の時代。榮さんも日頃からYouTubeの広告で投資について目にすることがあり、将来お金を稼いだら投資にチャレンジしてみようと考えていたとのこと。

授業の内容についても見聞きしたことのある話がありましたが「投資と投機の意味の違いなど、あいまいだった言葉の意味が理解できた」といいます。手軽に情報を得られてしまう今の時代だからこそ、学校で正確な知識をつけることがより必要になるかもしれません。

金融の知識は大人でも正確なことを伝えるのは難しい分野。北高の齋藤先生も「プロに伝えてもらうことで、生徒とともに考えるきっかけになった」と言います。

「高校生は目の前のことばかり考えがちですが、先を見ながら今を過ごすのは重要です。自分が将来どうなりたいかを考えることが今の勉強や行動につながるので、とても有意義な授業だったと思います。今後も教科書の内容だけでなく、時事的なことを取り入れながら生徒の人生に役立つ授業をしていきたいです」(齋藤先生)

卒業を控えた島の高校生へ、エールを込めて

今回の講師を務めたアクサ生命の大谷和広さんにも感想を聞いてみました。

「思っていた以上にワークシートに書き出してくれていたのが印象的でした。なにを書いたかは、恥ずかしがってなかなか見せてくれませんでしたが、彼ら、彼女たちなりに考えているのが分かりました。この機会をきっかけに自分の人生を考えてくれたら嬉しいです」(大谷さん)

春になれば島を離れていく生徒たちが、お金に振り回されることなく、夢を追いかけ、人生を歩んでいけるように。金融経済教育の裏側には島の子どもたちへの熱いエールが込められていました。

離島には、その他の地域、特に、都会にはない大自然や独自のコミュニティ等の魅力があると思います。一方で、他の地域とどのように結びついているのかについては、実感しにくい面があるのかもしれません。

また、投資を行う為には、グローバル経済を学ぶ必要がありますが、その学びを通じて、自分たちが、グローバル経済の一員であることを実感して欲しいと思います。弊社とアクサ生命で推進している出前授業では、自身の人生の目的や夢を考える機会を提供しています。

出前授業を通じ、これからも島で過ごしていく生徒さん、卒業後、島を出る生徒さんご自身が、これからどういう人生を歩んでいくのか主体的に構想する中で、島の魅力を再確認し、島と他の地域との違いを考えるきっかけにしていただけたらとの思いを強くしています。さらに、人生の目的を達成するために必要な手段としてのお金の知識を身につけて、豊かな人生を過ごしていただければ幸いです。

(アクサ・ウェルス・マネジメント株式会社 代表取締役社長 大久保恭博)


アクサ生命では2022年新学習指導要領に基づき、高校生を中心に、大人になるために必要な金融リテラシー向上のための教育活動を行っています。是非、お気軽にお問い合わせください。

>> アクサ生命|金融リテラシー向上のための出前授業 (外部リンク)

※ライフマネジメント®はアクサ生命保険株式会社の登録商標です。

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