【島Booksプロジェクト】「島の経済を回すものを」と考えてきた「島本棚」の素材。この度、長崎県・対馬の材木業者さんにご協力いただき、檜の木材を使わせていただけることが決定!歴史的に知られてきた上質な対馬の檜を復活させようと取りくむ「石井興産」の石井さんに、対馬の林業の現状についてインタビューしました。
全国の書店に「島本棚」を設置する「島Booksプロジェクト」。
「本棚の素材を何にするか、どうやって入手するか」についてはアイデアの無いところからスタートしたのですが、編集部で「せっかくなら島の経済を回すお手伝いになるものを」と話し合い、離島から木材を入手できないかと考えていたところ、この度、長崎県・対馬の材木業者である「有限会社石井興産」様から、木材提供のご協力をいただけることが決定しました。
対馬といえば、昔から檜の生産で有名な場所。対馬の林業事情について、
代表取締役である石井弘康さんにお聞きしました。
「対馬は、岩石混じりの痩せた土地です。そのため木の成長が遅い。成長が遅いということは、年輪の幅が狭く、密度が高いので、耐久性があり、堅牢な木材が取れるんです。
そのため対馬の檜は、戦前は『対州檜』という名で優れた建材として全国に知られていました。しかし、一どきに伐採したため、木が育たなくなり、『対州檜』ブランドに見合う品質の木材が採れなくなってしまいました。現在は人の入れない山奥にほんのわずかを残すのみとなっています。」
過去に栄光を誇った対馬の檜材。それが採れなくなった後に、失敗から学んで戦後に森に植えられた檜たちが、現在収穫期を迎えているとのこと。
石井さんが育てる新しい檜のブランド『対馬ひのき』は、『対州檜』のDNAを受け継ぎ、色艶が濃く堅く立派な木に育っているそうです。
とはいえ、本州から離れた島の林業には、輸送コストなど、本土の林業にはない課題も。
「島の林業を盛り上げるためにするべきは、素材生産や流通のインフラを整備して、滞り無く出荷できるようにすることですね。対馬の林業を100年先まで続くものにし、『対州檜』を復活させたい。そのために今できることは、もっと『対馬ひのき』の知名度を上げ、ブランド化してゆくことです。
今回は、自慢の『対馬ひのき』を、島外、それも全国で使ってもらえるチャンスということで、『島Booksプロジェクト』に協力することにしました。
“対馬”の名が島外で出まわるだけでも、島内の方々にとっては嬉しいものですし、島出身で今は遠くに住んでいる方々にも、名前を聞いて懐かしんでもらえれば。プロジェクトの成功を祈っています。」(石井さん)
石井さん、ありがとうございます。「離島の木材」という財産をもっと広げてゆくために、リトケイが少しでも貢献できたら嬉しいです。
本屋さん、島本のつくり手たち、島を愛する人々に少しでも喜んでもらえればと始めた「島Books」ですが、決して出版・流通の業界の内側にとどまらず、島の経済にもよい風を送れるような広がりを持ったプロジェクトにしてゆきたいです。
石井さんの対馬ひのきを使った島本棚を手作りする
「島Books工作ワークショップ」は7月21日(土)!
島好き、島人が集まりわいわい楽しく本棚制作ができればと思います。
みなさま、ぜひふるってご参加ください!