つくろう、島の未来

2022年06月30日 木曜日

つくろう、島の未来

佐渡島(さどがしま|新潟県)の新潟県立佐渡総合高等学校では、2020年度の授業で、高校1年生(当時)の生徒たちが島で働く大人96人にインタビュー取材を行い、それらを収録したインタビュー集『佐渡に暮らす私は』(3710Lab発行)を出版。初版で印刷した500部は、佐渡島内の商店やイベント販売をはじめ、新潟、仙台などの書店でも販売され発売から2カ月ほどで完売。今年12月14日に書籍が再販されるなど好評を得ています。

ウェブメディア『ritokei』でも『佐渡に暮らす私は』に掲載された高校生のインタビューを抜粋し連載でご紹介していきます。連載スタートを記念し、授業を企画・担当した教育学者の田口康大さん(3710Lab、東京大学特任講師)と、授業の撮影を担当した小倉快子さん(元BOOKS f3、現3710Lab)にお話を伺いました。

島々の高校生と取り組んだメディアづくり

教育学者の田口康大さんは、これまで人と教育の関係についての研究や、教育を軸としたさまざまなプロジェクトを実施し、新たな教育のあり方を探求してきました。

2017年からは雑誌『島へ』(海風舎)と協力し、気仙沼大島(けせんぬまおおしま|宮城県)、宇久島(うくじま|長崎県)、小豆島(しょうどしま|香川県)で、島の高校生たちが島内を取材して記事を書くメディアづくりの授業を実施。2019年度と2020年度に与論島(よろんじま|鹿児島県)の子どもたちと島を表現する書籍や島を発信するメディア制作に取り組むなど、近年、島々を舞台に学びの活動を展開しています。

与論島の小学生が独自の視点で島の魅力を紹介するタブロイド紙『YORON JOURNAL』(2021年)

田口さんのライフワークは、人と対話すること(※)。島々でメディアづくりを進めるにあたっても、高校生から島の大人へのインタビューなど、”対話”の機会を多く取り入れる工夫をしてきました。「対話を通して浮かび上がる人の暮らしや日常が、それぞれの島の魅力を浮き彫りにすると考えました」(田口さん)。

※誰かに何かを聞くことをきっかけに、お互いの間に「対話」を生み出す場づくりを目指す「対話インタビュー」プロジェクト
https://www.mudai83.com/

島内を取材する宇久島の高校生

3710Lab(みなとラボ)の活動は「総合的な探究」授業の実施内容を検討していた新潟県立佐渡総合高等学校の目に留まり、田口さんは同校からカリキュラム開発の依頼を受け「産業社会と人間」という科目の授業内容を企画することに。

当初、学校では一部の生徒だけが、社会で華々しく活躍している職業人を取材するような限定的な活動を想定していたといいますが、田口さんは「身近な人に話を聞くことを、全員でやりましょう」と学校に提案。さまざまな地域で高校生たちと活動してきた経験を生かし、学力にかかわらずそれぞれの生徒に意味がある内容にしたいと、1学年全員(当時)が参加する書籍づくりがスタートしました。

授業では、島の将来を担う高校生が自己の将来の生き方や進路について考えることを目的とし、取材テーマを「働くこと」に設定。生徒1人ひとりが話を聞いてみたいと思う大人に取材を依頼し、仕事や島の暮らしについて話を聞きました。その多くが親子間での取材だったことから、普段は真面目なことを話す機会がなかった親子が、対話を通じて真摯に向き合う機会にもなったそうです。

完成した書籍『佐渡に暮らす私は』に記された96組ものインタビューには、島で暮らす大人たちから未来を担う子どもたちへ向けた、多様なメッセージが収録されています。『佐渡に暮らす私は』に収録されたインタビューの一部をウェブメディア『ritokei』で月に1回連載していきます。どうぞご注目ください。


【書籍情報】
『佐渡に暮らす私は』
定価 2,200円(税込)
撮影・執筆 新潟県立佐渡総合高等学校
企画・監修 田口康大
アートディレクション・デザイン 伊藤裕
撮影 小倉快子(BOOKS f3)
サイズ W156mm×H231mm
発行 3710Lab
助成 日本財団
みなとラボ『佐渡に暮らす私は』販売ページ

【販売店一覧】
【佐渡島】
丸屋書店(両津)/池田屋商店(真野)/ニカラ (羽茂大崎)
【新潟県】
北書店 (新潟市)/ブックスはせがわ(長岡市)
【宮城県】
曲線(仙台市)
【神奈川県】
本屋・生活綴方(横浜市)
【長野県】
mountain bookcase(富士見町)/栞日(松本市)
【京都府】
恵文社一乗寺店(京都市)
【大阪府】
スタンダードブックストア(大阪市)
【兵庫県】
1003(神戸市)/ASOBU KAPPAN(淡路島)
【愛知県】
ON READING(名古屋市)
【広島県】
READAN DEAT (広島市)/本屋 UNLEARN(福山市)
【鳥取県】
汽水空港(湯梨浜町)
【熊本県】
橙書店(熊本市)

離島経済新聞 目次

【寄稿|佐渡に暮らす私は】

新潟県立佐渡総合高校1年生の「産業社会と人間」という授業で制作されたインタビュー集『佐渡に暮らす私は』より、記事を抜粋して掲載します。
自己の将来の生き方や進路について考えることを目的に、佐渡島の高校生が島で働く大人たちに話を聞いた96組のインタビューからは、とても多様な「佐渡に暮らす私」がいることの豊かさを感じられます。

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