5月26日に有人離島専門フリーペーパー『季刊ritokei』38号「つよく やさしく たのしい地域共同体に学ぶ 島のシマ」が発行されました。ウェブでも順次記事を公開していきます。38号の目次や見どころをご紹介します。
今回の特集タイトルに掲げた「シマ」は、集落・村落・字・区など、多様な呼び名がある地域共同体(特集内ではシマ・集落・コミュニティなどとも表現します)のこと。日本全国のシマには、地域の歴史やそこで生きる人々の個性が織り込まれた独自の文化や暮らしが存在しています。
「島のシマ」特集では、暮らしや文化、社会福祉、子育て、教育、防災、産業振興など幅広いテーマで、つよく・やさしく・たのしいシマをつくる人々の動きや、心豊かなシマを保つためのヒントなどをご紹介します。
特集冒頭では「シマをめぐる島ラジオ あまみエフエムが見た奄美のシマ」と題し、奄美大島(あまみおおしま|鹿児島県)のコミュニティエフエム「あまみエフエム ディ!ウェイヴ」代表の麓憲吾さんと、名物パーソナリティの渡陽子さんに、番組取材を通して出会ったシマの魅力について語っていただきました。
シマの外から人を呼び込む場づくりや、伝統行事の継承、高齢者のさりげない見守りなど、奄美大島のシマで行われている楽しい取り組みにご注目ください。
「ゴリラと屋久島に学ぶシマと島の可能性」では、ゴリラを主たる研究対象に人類の起源を探る霊長類学者・人類学者の山極壽一さんに話を聞きました。
集落を超えて頼り合う関係性を「シマいとこ」と呼び、生活や生業の中で助け合う屋久島(やくしま|鹿児島県)の例を挙げながら、シマの未来を開く外部接触の必要性や、信頼関係を結ぶことのできる人間関係の規模、飲み食いを共にするなど「時間」や「身体性」を伴う人同士のつながりなど、外部と交流する健やかなシマの在り方を紐解きます。
持続可能なシマづくりを説く山極さんのお話は、広く離島地域全体の可能性にまで展開。紙面に掲載しきれなかった記事の全文を、ウェブ版『ritokei』限定記事として前後編に分けて公開します。
「つよく やさしく たのしい3島のシマ」では、人口150〜300人程度の集落単位で行われている素敵な活動をご紹介。島後(どうご|島根県)・阿多田島(あたたじま|広島県)・津堅島(つけんじま|沖縄県)の皆さんに、防災や、高齢者の健康づくり、縁故者の交流機会創出など、シマで日頃取り組んでいることを教えていただきます。
本特集では、全国約400島の有人離島にあまたあるシマに暮らす読者を対象としたアンケートも実施。読者が大切に感じているシマの活動、シマで経験した自慢すべき「支え合い」「助け合い」、シマの中で周囲の人々と心豊かに暮らしていくために「心掛けていること」「大切にしていること」など、シマ暮らしのリアルな実感をお届けします。
住民の少ない集落や小さな島の暮らしが健やかに続くには、地域の支えとなるつながりが重要。「『信頼人口』の六連島で探す心豊かなシマづくりのヒント」では、
大きすぎず、小さすぎない「信頼人口」をキーワードに島内外の人とつながる六連島(むつれじま|山口県)をリトケイ編集長が訪ねました。ウェブでは前後編に分けて記事をお届けします。
「おもしろい共同売店のあるシマはおもしろい」では、『季刊ritokei』の公式設置ポイントであり、「共同売店としては新参者(2011年創立)」という与那国島(よなぐにじま|沖縄県)の比川共同売店を運営する山口京子さんと植埜貴子さんが登場。地域に住む人々が共同出資し運営する共同売店の運営についてお話しいただきます。
毎号、島とゆかりのある人をお招きしているインタビューページには、中ノ島(なかのしま|島根県海士町)で誕生した出版社から3万部を売り上げた大ヒット書籍『進化思考 生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」』の著者・太刀川英輔さんが登場します。「東京防災」や大阪・関西万博日本館基本構想にも携わるデザイナーである太刀川さんが提唱する「進化思考」をもとに、島や世界が持続可能であるためのヒントを伺います。
島々に携わる仕事人の想いを紹介する企画「島々仕事人」には、高島(たかしま|佐賀県)など玄界灘の8島で耕作放棄地を再生、化粧品の原料を生産する「オーガニックアイランドプロジェクト」を進める、リトコスの三田かおりさんが登場。地域課題を解決するNPOと、販売や加工品を手がける地域商社との両輪で取り組む、地域活性化について話を聞きます。
「有人離島の人口動態」ページでは、最新の令和2年と平成27年の国勢調査および、直近半年間の人口変動を3カ月ごとに掲載。離島留学や移住の参考にしていただける小学校・中学校・高校の設置状況も島ごとに掲載しています。ウェブ版『ritokei』有人離島一覧にも、同内容を掲載します(6月上旬更新予定)。
島にまつわる本や映画などを紹介する「島Books & Culture」欄は、竹富島(たけとみじま|沖縄県)で子育て中のライター・片岡由衣さんが「シマで育つ子どもと大人へ」をテーマに、5冊の本をピックアップ。片岡さんの本棚より、島の大人や子どもたちにおすすめしたい本をご紹介します。
新コーナー「島から島へ紹介したい島文化」では、400島あれば400通りある島の文化を島に暮らす文化人にご紹介いただきます。初回は、沖永良部島(おきのえらぶじま|鹿児島県)在住の編集者・ネルソン水嶋さんによる「一重一瓶」です。
「島人コラム」欄では、大崎上島(おおさきかみしま|広島県)で公営塾など教育に携わる高橋喜一さん、大学生の時に出会った利尻島(りしりとう|北海道)に移住し公務員として働く岩垣みなみさん、島野浦島(しまのうらしま|宮崎県)での地域おこし協力隊活動を経て起業、3月に「満月食堂」をオープンさせた岩田大志さんの3人による寄稿コラムを掲載します。
詳しくは『季刊ritokei』38号または、6月下旬よりウェブ版『ritokei』に掲載される特集記事をご覧ください。下記目次のリンクより、ウェブ版の記事をご覧いただけます(随時更新)。
ー 特集 ー
シマ・集落・村落・字・区など、多様な呼び名がある地域共同体(特集内ではシマ・集落・コミュニティなどとも表現します)には、地域の歴史やそこで生きる人々の個性が織り込まれた独自の文化や暮らしが存在しています。
「島のシマ」特集では、暮らしや文化、社会福祉、子育て、教育、防災、産業振興など幅広いテーマで、つよく・やさしく・たのしいシマをつくる人々の動きや、心豊かなシマを保つためのヒントなどをご紹介。あなたのシマを思い浮かべながら、リトケイと一緒に日本の島をのぞいてみませんか?
ー つよく やさしく たのしい地域共同体に学ぶ 島のシマ ー
●シマをめぐる島ラジオ あまみエフエムが見た奄美のシマ(あまみエフエム 麓憲吾さん、渡 陽子さん)
●ゴリラと屋久島に学ぶシマと島の可能性(霊長類学者・人類学者 山極壽一さん)前編・後編
●山際先生も通う口永良部島で商店を始めた夫婦の話(口永良部島 貴舩 森さん)
●つよく やさしく たのしい3島のシマ(道後 西郷中町・阿多田島・津堅島の皆さん)
●島に暮らす読者に聞きました シマを想う島の声(読者アンケート)
●「信頼人口」の六連島で探す心豊かなシマづくりのヒント(六連島の皆さん)前編・後編
●おもしろい共同売店のあるシマはおもしろい(与那国島 比川共同売店)
ー インタビュー ー
●「世界の希望を小さな島から」デザインストラテジスト 太刀川英輔さん
●島々仕事人 リトコス 三田かおりさん
ー 定番企画 ー
●有人離島の人口動態|島々の人口変動を3カ月毎にチェック!
●島Books & Culture|島で育つ子どもと大人へ
●島から島へ紹介したい島文化| 沖永良部島 ネルソン水嶋さん
●島人コラム|大崎上島・利尻島・島野浦島