つくろう、島の未来

2021年10月24日 日曜日

つくろう、島の未来

広く深い海にひそむ魚たちの味わい方は島それぞれ。日本の島々に存在する魚食と魚食を支える背景に迫るべく、伊豆諸島・家島諸島・対馬島・五島市・沖永良部島の編集者5組と島の方々に協力いただき現地取材を敢行!島の住民目線の魚食ネタをお楽しみください。

ここでは、対馬島(つしまじま|長崎県)のおいしい魚食 BEST3、魚の背景、魚食にまつわるユニークな活動をお届けします。

※この記事は『季刊ritokei』35号』(2021年5月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

うちの島のおいしい魚食 BEST3

①穴子丼
対馬産アナゴをふんだんに味わえるどんぶり。アナゴ丼を出すお店のひとつ「すし処慎一」では、ごはんの上に海苔と特製のあげがのり、さらに秘伝のタレ・山椒・胡麻をまとったアナゴの蒲焼がのっかります。

日本トップクラスの水揚げ量と旨味を誇る対馬のアナゴは、ふっくら肉厚で脂のりが抜群です!対馬に来たなら刺身で食べることができるのもポイント。ぜひご賞味ください。

②ホシカリの味噌汁
島民が普段から食べているホシカリの味噌汁。この味噌汁をつくるときには、生きているホシカリを素早く締め、熱湯にかけて湯通しすることがおいしさの秘訣です。臭みが取れ、ホシカリの旨味を堪能できます。

対馬ではホシカリと呼ばれるカサゴは、島の食卓ではメジャーな魚。大きいものはお刺身や煮付けに、小ぶりなものは味噌汁に。主役にも脇役にもなるおいしい高級魚です。

③アオリイカの刺身
アオリイカの食べ方といえばやっぱりお刺身。かざり包丁の数だけ歯触りが変わりおいしくなります。急速冷凍で寝かすと甘みが増すので、対馬では寝かしたお刺身を出してくれる飲食店も多数。活魚でももちろん美味!

対馬といえばイカ。その中でもアオリイカはイカの王様と言われています。透明感と厚みのある身は甘味成分がかなり強く、噛むたびにイカの甘みが口いっぱいに広がります。

魚好きの長崎県人が「旨い!」と唸るのは対馬の魚だと聞いて頷きました。今回紹介したお魚料理3品を、取材に協力いただいた「すし処慎一」さんで試食したところ、そのおいしさにびっくり!実は私、以前はアナゴが苦手だったんです。それがびっくり。めちゃくちゃおいしいじゃないですか(笑)。素材の旨みを最大限に引き出す大将の料理はまさに芸術!今ではしょっちゅうアナゴが食べたいと思っています。

すし処慎一さんでは、店主含む3兄弟が漁師〜加工〜飲食店までをすべて行っているそうですが、そこには「対馬のお魚を安くおいしく食べてもらいたい」という気持ちが込められているそうです。対馬にはほかにも熱い想いを持つお店がたくさんあるので、ぜひ対馬のおいしい魚を食べてみてくださいね!

そのおいしい魚どこからきたの?

島々で味わえるおいしい魚たちは一体どこからきているのでしょう。ここではおいしい魚の背景で活躍する、漁師の仕事や想いに迫ります。


マアナゴ

魚種
マアナゴ。アナゴ科の中では最も美味と言われ、蒲焼、天ぷら、寿司などで食べられます。

棲み家
対馬北部の北から西沖を漁場としています。この辺りは対馬暖流と大陸沿岸水が交錯し、好漁場が形成されているため、アナゴのエサとなるイカ、イワシ、甲殻類が豊富。脂ののった良質なアナゴが捕れます。


漁法
アナゴ籠魚法延縄式籠漁。私の場合は1回の漁につき1,000個のカゴを投入します。仕掛けは昼に約1時間で投入し、仕掛けたカゴを夕方に4時間かけて上げていきます。エサはスルメイカで、直接食べないようにカプセルに入れて匂いでかごに誘導します。

漁業者情報
アナゴを漁獲しているのは対馬穴子籠実行組合に所属している許可船で、上対馬町漁協では2船穴子カゴ漁を操業しています。ここで話を伺った幸生丸船長の築城慎一さんも所属しています。築城さんはアナゴ漁の他に飲食店(すし処慎一/島めし家北斗)や加工場を経営。漁獲から販売まで行う6次産業化に取り組んでいます。

漁業の喜び
魚が捕れる喜びはやはり大きいですね。仕掛けたカゴを引き上げるとき、1個目のカゴにアナゴが入っていたら「今日の漁はうまくいくぞ!」とうれしい気持ちになります。他県の料理店にもアナゴを発送していて、そのお店に赴いて自分が捕ったアナゴを食べることも喜びの一つです。島外の方とアナゴや対馬の話をできるのもうれしいですね!


お話を伺った人
築城慎一(ついき・しんいち)さん
1972年1月31日生まれ、対馬出身。父と水産関係の仕事を始めたいと思い、アナゴ漁師へ。アナゴの一夜干し(対生あなご幸生干し)を開発。長崎県知事賞受賞。すし処慎一オーナー。「ぜひ対馬に来て食べてください。安くておいしいものが食べられますよ!」

魚食にまつわるHOT TOPIC

食べるだけじゃない!島々の魚食文化を守るため展開されている島々の取り組みや、ユニークな活動を紹介します♪

海の厄介ものがうま味たっぷりのメンチカツに

イスズミはおいしくないという声が多く、さらには磯焼けの原因の一つとなるため、当時は焼却処分などの方法で駆除されていました。

プロジェクト担当の犬束ゆかりさんは、そんなお話を聞くうちに「もったいない」気持ちと「自分は対馬の海の恵みで育ったから海や地域に貢献しながら生きていこう」という決意が芽生えたと話します。その想いから、おいしく食べるために創意工夫を重ねて「そう介のメンチカツ」が生まれました。

\ここで味わおう!/島のおいしい魚たち

5つの離島エリアで親しまれているおいしい魚を味わうならここ!担当編集者がおすすめする飲食店やお取り寄せサイトで、おいしい魚を味わいませんか?
※緊急事態宣言等により休業や営業時間に変動がある場合がございます


すし処 慎一
使用する魚介類はすべて対馬の海で捕ってきたばかり。信頼できる漁師さんがお届けする鮮度抜群の海の幸でつくったお料理をご堪能ください。長崎県対馬市上対馬町古里13-3
☎0920-86-3749
https://www.sushi-shinichi.com/


肴や えん
漁獲から加工・販売までを自社で行い6次産業化を実現。「Fish-1グランプリ」でグランプリを受賞した「そう介メンチカツ」もご賞味あれ。
長崎県対馬市美津島町雞知乙332-1
☎0920-54-5081
https://www.marutoku-kitchen.com/



対馬良品お取り寄せ「しまひこ」
本物が息づく島から、本物の味を食卓へ。素材のうまみが生きている、対馬のやさしく美味しい特産品を、国境の島から全国へお届けするショッピングサイト。海の幸はもちろん山の幸もお取り寄せできます。
https://tsushimabrand.com/index.html

取材を終えて……
対馬島の編集者からメッセージ

佐久間美紀(さくま・みき)
1992年4月27日生まれ北九州市小倉出身。株式会社ニトリで働いたのち、青年海外協力隊としてアフリカのセネガルへ。新型コロナウイルスの感染拡大により帰国し、現在は対馬市島おこし協働隊として活動中。
(うちの島のおいしい魚食 BEST3を担当)

日常に魚食があったので「対馬の魚食って何があるだろう?」と考えたことがありませんでした。今回の取材で、改めて対馬の魚(魚食)の魅力に気づかされた形です。快く取材を受けてくださった皆さんに感謝しています!すし処慎一さん、肴やえん(丸徳水産)さんは4月に新商品を販売開始したので、そちらも手に取ってみてください!(対馬編集担当・小宮大輔)

特集記事 目次

おいしい!たのしい!島の魚食図鑑

海に囲まれた島国・日本の近海には約4,000種もの魚が存在し、海と共に生きる人々が多く暮らす島々には、個性豊かな魚食が存在しています。「おいしい!たのしい!島の魚食図鑑」特集では、リトケイ読者が選ぶ「忘れられない島の魚」や、島や魚を愛する人々のインタビュー、5つの離島エリアでの現地取材記事などなど、おいしい海の幸を盛りだくさんに「島の魚食」の魅力をお届けします。

この特集は、日本財団「海と日本PROJECT」の助成を受けて制作しています。

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