つくろう、島の未来

2021年08月05日 木曜日

広く深い海にひそむ魚たちの味わい方は島それぞれ。日本の島々に存在する魚食と魚食を支える背景に迫るべく、伊豆諸島・家島諸島・対馬島・五島市・沖永良部島の編集者5組と島の方々に協力いただき現地取材を敢行!島の住民目線の魚食ネタをお楽しみください。

ここでは、家島諸島(いえしましょとう|兵庫県)のおいしい魚食 BEST3、魚の背景、魚食にまつわるユニークな活動をお届けします。

※この記事は『季刊ritokei』35号』(2021年5月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

うちの島のおいしい魚食 BEST3

①さば寿司
刺身でも食べられる家島諸島の活さばを使ったさば寿司。家島では祭りやお祝いの時によく食べられます。賞味期限が限られるので通販はできません。現地でしか味わえない味はぜひとも現地でご賞味あれ!

ぼうぜ鯖(マサバ)。坊勢漁協では、初夏に巻き網船で漁獲した小型のマサバを海上の生簀で育て、ぼうぜ鯖として販売しています。刺身で食べると、程よい脂のりは絶品です。

②牡蠣ごはん
島人愛用の醤油で、ネギやニンジン、油揚げなどとお好みの野菜類を家島で育った牡蠣と一緒に炊き込んだ牡蠣ごはん。冬の日常のちょっとしたご馳走です。大ぶりの牡蠣をそのまま使う方法と、細かく刻み込む方法があるようです。

牡蠣(真牡蠣)。家島近海の牡蠣は、4月の種付けから11月の収穫まで豊富な海の栄養をうけて育ち、3月頃まで味わえます。殻いっぱいに身がつまりクセが少なく、旨味たっぷり!

③えびカレー
殻ごと茹でた小エビの出汁で野菜を煮て、むき身を入れるえびカレーは家島の一般的な家庭料理です。濃厚なエビの風味が楽しめる一方、日を置くとえぐみがでるため非常に賞味期限の短い特別なカレーです。

小エビ。底引き網漁で夏に多く捕れる体長5~7センチほどのアカエビやトラエビを島では「小エビ」と呼びます。傷みやすいため干しエビにして素麺の出汁としても使われます。

瀬戸内海の東端。採石業や海運業で栄えた家島諸島(家島、坊勢島、西島、男鹿島)は漁業も盛んで、「死んだ魚はネコも食わない」と言われています。なぜなら、魚屋さんの店先には大きな水槽が置かれ、生きた魚が泳いでいるから。魚屋で指差した魚は店の人が包丁で締めて、新聞紙に包んでくれます。そして家に持ち帰った数時間以内に食べるのが家島スタンダード!おいしくないわけありません。

さらに四季折々、いろんな旬の魚が食べられるので、ここでとりあげる3品を選ぶのにとても苦労しました。紹介できなかったワタリガニ、サワラ、サーモンなどはもちろん、島でつくられている海苔や塩も抜群。姫路駅からたった1時間という抜群のアクセスのおさかな天国には、魚のおいしさに惹かれて観光客も移住者も増えています。これだけの鮮魚、いや、活魚はやはり現地で味わってほしい!

そのおいしい魚どこからきたの?

島々で味わえるおいしい魚たちは一体どこからきているのでしょう。ここではおいしい魚の背景で活躍する、漁師の仕事や想いに迫ります。


ぼうぜ鯖

魚種
坊勢漁協のブランドサバであるぼうぜ鯖は、甘みのあるしつこくない脂と、しっかりとした身が特徴です。

棲み家
ぼうぜ鯖の元であるマサバが捕れるのは、瀬戸内海東部に位置する播磨灘です。太平洋との海面差で生まれる強い海流により、魚たちの身は締まり、味良く育ちます。まさに海の幸の宝庫なのです!


漁法
5~6月に巻き網漁で捕れたマサバを、海上の生簀で育て養殖しています。一方的に漁獲するだけでなく、自然の恵みを利用しつつ人の手で育てることで、計画的に生産でき、安定した量を出荷することができます。

漁業者情報
現在会社として、ぼうぜ鯖を出荷しているのは、一栄丸水産、清丸水産、磯丸水産、大漁丸水産の4社です。大漁丸水産では、ぼうぜ鯖の養殖のほかに、巻き網漁でイワシなどの回遊魚を捕ったり、ボラの卵巣を使った珍味・カラスミの加工などを行っています。

漁業の喜び
漁業は毎日毎日が修行であり、1日1日が勝負の世界です。ぼうぜ鯖の養殖に関して言えば、夏は鯖が病気にかかってしまう危険性があったり、冬は寒すぎて凍死してしまう可能性があります。それだけ、毎日の管理が大変なのです。しかし、その分、大漁だったときや、たくさんの出荷があったときの喜びはひとしおです!


お話を伺った人
小林春光(こばやし・はるみつ)さん
初期のころから、ぼうぜ鯖の養殖に取り組む大漁丸水産の代表取締役。坊勢生まれ・坊勢育ちで、中学を卒業してから50年余り、家業でもあった漁業に携わっている。「まるでトロのような脂ののったぼうぜ鯖。特に刺身は絶品です!」

魚食にまつわるHOT TOPIC

食べるだけじゃない!島々の魚食文化を守るため展開されている島々の取り組みや、ユニークな活動を紹介します♪

楽しみながら海に親しむ。家島諸島の海洋教育

家島小学校では、令和2年度より独自の海洋教育授業「家島うみの時間」が始まりました。カヌーやSUPなどのマリンアクティビティ体験のほか、坊勢漁業協同組合の漁業見学船に乗って実際の漁業を見学したり、アジをさばいてムニエルにする魚さばき体験を実施するなど、海が近い島ならではの充実した授業内容です。

また、坊勢漁業協同組合では一般の方向けにも漁業見学&体験ツアーを行っています。詳細は坊勢漁業協同組合HPからご確認ください。

\ここで味わおう!/島のおいしい魚たち

5つの離島エリアで親しまれているおいしい魚を味わうならここ!担当編集者がおすすめする飲食店やお取り寄せサイトで、おいしい魚を味わいませんか?
※緊急事態宣言等により休業や営業時間に変動がある場合がございます


料理旅館おかべ
「究極さば寿司」や店主考案の「じゃこなべ」が名物(※いずれも要予約)。刺身でも食べられる新鮮な旬の魚をしゃぶしゃぶ鍋で豪快に召し上がれ!
兵庫県姫路市家島町真浦2421
☎079-325-0340
http://ieshima-okabe.travel.coocan.jp/


天晴水産きりん
姫路駅前で坊勢島の天晴水産から直送される鮮魚を楽しめるお店。名物は「鯖の刺身」。昼は海鮮食堂、夜は海鮮居酒屋として営業中!
兵庫県姫路市駅前町188-1フェスタビルB1F
☎079-262-6780
http://www.apparesuisan.co.jp/


島の通販サイト「いえしまーけっと」
大阪からIターン移住して島の魅力を発信するいえしまコンシェルジュが島のおいしいものを集めた通販サイト。手軽に島の味を楽しめる「牡蠣ごはんの素」「家島えびカレー」も購入することができます!
http://ieshimarket.com/

取材を終えて……
家島諸島の編集者からメッセージ


いえしまライフ。
家島の若者らが中心となって結成した任意団体「いえしまライフ。」。自分たちが楽しみながら島内イベントを実施したり、島暮らしの魅力を発信することで島に住む人、島に住もうと思う人を増やす団体です。

さば寿司は島内飲食店で食べられます(詳細は家島観光事業組合のHPへ)。取材協力者の小林さんは「魚をさばく人が減ったけど、本当は丸々食べてほしい。それが一番うまい!」と語っていました。魚食を含めた「島暮らしの魅力」を多くの方に知ってもらいたい家島では、家島空き家対策協議会HPで空き家も紹介しています♪(家島諸島編集担当・中西和也/伊藤真美)

特集記事 目次

おいしい!たのしい!島の魚食図鑑
海に囲まれた島国・日本の近海には約4,000種もの魚が存在し、海と共に生きる人々が多く暮らす島々には、個性豊かな魚食が存在しています。「おいしい!たのしい!島の魚食図鑑」特集では、リトケイ読者が選ぶ「忘れられない島の魚」や、島や魚を愛する人々のインタビュー、5つの離島エリアでの現地取材記事などなど、おいしい海の幸を盛りだくさんに「島の魚食」の魅力をお届けします。

この特集は、日本財団「海と日本PROJECT」の助成を受けて制作しています。

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