つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

【新連載】長崎県五島列島で一番大きな島、福江島(ふくえじま|長崎県五島市)のとある集落にできたコミュニティスペース・ソトノマ。島記者ありかわが綴るソトノマ開店から今までのこと、島の暮らし、ソトノマにまつわる人々、日々の出来事。

島活の開始と壁。

我が家の島への移住活動、略して「島活」のスタートは、
移住する約1年前の2010年の春でした。

子育て真っ最中のアラウンド30夫婦の私たち。
子どもの将来もあるし、さすがに後先考えず勢いだけでは移住できません。
移住するにあたっては「お金=仕事」と「住む場所=家」の目処をつけることがまず第一です。
けれど、都会とはちがい、島の仕事や不動産の情報は
インターネットを開いても探すのは難しく、島活は難航していました。

移住についての新鮮な情報を仕入れるため、何か手がかりが欲しいと
まずは、五島市の「五島市心のふるさと市民」に登録したり、
関西の五島出身者の集まり「関西五島人会」に参加したり、
長崎県の大阪での窓口をしている大阪事務所へ行ってみたりしたものの
あまり有力な情報は得られず・・・。
全国の離島には、積極的に魅力的な情報発信をしている島もあるので、
自分のふるさと五島はすこし情報発信不足だなあと感じました。
五島もとても魅力的な場所なので、興味を持った人や移住したい人に
もっとうまく情報を伝えられればいいのに・・・と思いつつ、
この連載が誰かの役に立つといいな、と思いながら綴っています。

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さて、なかなかめぼしい情報が得られないなか、
移住に関してはモヤモヤした日々を送っていましたが、
「他の離島や農村地域がどんな活動をしているか」というのも気になっていました。
そこで、様々な官民一体の取組みでUターン、Iターン者が増え、頑張っている離島として有名になりつつあった島根県の海士町や、都市との交流を深めようと努力していた奈良の吉野などいろいろな場所を訪ね、地域の実情やこれまでの取組みなどのお話を聞いたり、実際に自分の目で見て回ったりしました。

どの地域にも人口減や高齢化、都市との距離など共通した課題がありますが、
その課題に対してどのくらい前向きに取り組めているか、
そしてそこに住む人が楽しんでいるかどうかが、
地域が元気になる根幹の要素だと実感しました。
そして、そこには若い世代が必ず必要ということも改めて感じたことの一つです。

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(海士町/中ノ島にて)

その後、我が家の「島活」はどうなったかを簡単に。
2010年の秋、島での「仕事」をどうにかするべく、
夫は、お金をもらいながらできる農業研修の面接を受けに島に行きました。
(が、あえなく不採用。)

私は、島で今のソトノマのようなコミュニティスペースをつくるという目標を実現すべく、
起業資金を得ようとビジネスコンペに応募。
書類も通り最終プレゼンまで行きました。これは行けるかな?と思いきや・・・
(あえなく不採用。)

なかなか合格通知をもらえない島活レース、最初にゴールしたのは夫でした。
ハローワークでの島の森林組合の求人に応募し、
1人で面接に行き、春からの採用が決まったのです。
自動車の設計をしていた夫は、島で全く畑違いの「林業」の現場に飛び込むことになりました。
そして家族は、何とか島での生活の糧を得る目処がたったのです。

夫は見ず知らずの土地に、1人で3月から、
母と子どもと私は仕事の都合で、遅れること3ヵ月、福江島へと移り住むことになったのです。
住まいは親戚が探してくれた一軒家。
家賃は1万円!
梅雨の時期に移住したので、しょっぱなから島の高い湿度にやられ、
家中の天然のものが拭いても拭いても毎日カビをふくという島の自然の洗礼を浴び、
心が折れそうな散々なスタートでした。笑

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< 次回へつづく >
【ソトノマ/facebook】 https://www.facebook.com/sotonoma

     

離島経済新聞 目次

【連載】島にコミュニティスペースをつくる。福江島のソトノマ

長崎県五島列島で一番大きな島、福江島のとある集落にできたコミュニティスペース・ソトノマ。島記者ありかわが綴るソトノマ開店から今までのこと、島の暮らし、ソトノマにまつわる人々、日々の出来事。

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