つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

【連載】長崎県五島列島で一番大きな島、福江島(ふくえじま|長崎県五島市)のとある集落にできたコミュニティスペース・ソトノマ。島記者ありかわが綴るソトノマ開店から今までのこと、島の暮らし、ソトノマにまつわる人々、日々の出来事。

母、島で働く、島で動く。

今回は、2011年の6月に五島列島福江島に移住し、
ソトノマのオープン準備に入るまでの島での暮らしについて少し書きます。
仕事も辞めたし、2歳の息子とゆっくり島暮らしを満喫・・・と思いきや・・・!?

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島に移住してすぐに、ありがたいことに大阪で働いていた頃のつながりから
イラストやデザインの仕事をやりませんか?というお話をいただき、
失業保険をもらう暇もなく、個人事業、ひとり所帯ではありますが、
自宅で事務所を起業することになりました。
屋号は息子の名前「草汰」から1字もらって「草草社」と名付け、
起業にあたって用意したものはパソコンと複合機くらいでした。
そうして、あっけないくらいに移住1ヵ月で事業主になってしまいました。

島には高速の光回線がばっちり通っているので、
今のところ、都会と変わりなく、ほとんどストレスなく仕事ができています。
空を見上げると抜けるような青空や、ため息がでるくらいの星空が疲れを癒してくれるので、個人的には都会にいるよりも精神衛生上まちがいなく良い環境で仕事ができています。自然と美味しいものに囲まれた島での生活は、こんなカタチでのお仕事が可能な方には、声を大にしてお勧めしたいです!

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島にUターンする前から、
島のお土産やパンフレット、WEBなどのさまざまなコンテンツを
もっとたくさんの人に手にしてもらい、
欲しいなあ、島に来たいなあと感じてもらいたいと考えていました。
しかし、島にはデザイナーという職業の人は1人もおらず、
何かをつくったり、デザインしたりする際には、印刷屋さんに頼むか、
長崎や福岡などの本土からわざわざ呼ぶというのが通例。
費用もかかるし、思いを伝えるのにも時間がかかかります。
だから、自分がデザイナーになるのが一番早いと思ったのです。

島のものをデザインするということは、
島の暮らしや風土、文化、そして言葉には言い表せない空気感を理解して、
咀嚼して、わかりやすくカタチにしたり、発信したりすることです。
ここで暮らして、子育てをして、土地のものを食べて、
毎日いろいろな人とのつながりのなかで生きている自分には、
島外からやって来る人が乗り越えられない強みがあると感じたのです。

起業から2年が経ったいま、この仕事を始めて本当に良かったなと思います。
多くの方々との御縁やつながりで、素敵なお仕事にたくさん携わらせていただきました。

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(五島の天然海水塩のバスソルト/とみえ塩工房)

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(奈留島の飴(五島産天然塩、椿油、カンコロ使用)/まんなか奈留)

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(五島産椿油の保湿ミスト「恋するつばき」ポスター/五島市商工会)
GOTO MONO :http://www.goto-mono.com

移住した年の秋、仕事とは別にもうひとつ、島のものづくりに関する活動を始めました。
同じころUターンで島に移住したアーティストのたえちゃんとの出会いをきっかけに。
「島のつくり手と買い手をつなぐ手しごと市『島マルシェ』」という活動です。
島マルシェ:http://shimamarche.blogspot.jp

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島には手づくりでいろいろなモノをつくっている方々がたくさんいるのに、
それをやり取りできる場、交流の場があまりないなあと感じたことから始めた活動です。
この活動は現在も島内外で続けていますが、
島での人とのつながりを大きく広げてくれるきっかけになりました。

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草草社でのお仕事や、島マルシェを通して発見し、生み出された商品は、
いまソトノマに並ぶ島の商品・手しごとのものとして日々多くの方の目に触れ、
その手に渡っています。

大量生産・大量消費が難しく、ふつうの流通に乗りにくい島の商品。
ソトノマは、そんな島の商品や手しごとのものを
少しでも多くの人に知ってもらい、価値を認めてもらう、
島内外の新たなつながりを生むアンテナショップのような役割も担っています。

< 次回へつづく>
【ソトノマ/facebook】 https://www.facebook.com/sotonoma

     

離島経済新聞 目次

【連載】島にコミュニティスペースをつくる。福江島のソトノマ

長崎県五島列島で一番大きな島、福江島のとある集落にできたコミュニティスペース・ソトノマ。島記者ありかわが綴るソトノマ開店から今までのこと、島の暮らし、ソトノマにまつわる人々、日々の出来事。

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