つくろう、島の未来

2019年11月13日 水曜日

2019年7月吉日、に鹿児島でスタートした「鹿児島離島文化経済圏(通称:リトラボ)」(離島地域おこし団体連携支援事業)のレポート(#01 #02はこちらから)。プロジェクトを牽引する上甑島の山下賢太さんの挨拶につづき、開催されたプレゼンテーションとワークショップの模様をお届けする。

(写真・鹿児島離島文化圏 文・鯨本あつこ)

宝島・種子島・竹島で活動する3人のリアルな想い

続いて、鹿児島離島の地域おこし事例として、トカラ列島の宝島、三島村の竹島、種子島で地域おこしに携わる3人が登場。その活動や想いを発表した。

日本の秘境とも称されるトカラ列島・宝島(たからじま)に暮らす、一般社団法人宝島の本名一竹さんは、魚屋、人材派遣、アパレル、農産品加工、土木工事、観光、チャーター船、ワークショップ、カフェなど、数々の仕事をこなしている。

人口は128人。郵便局と、1日3時間だけ営業する売店、診療所をのぞくと「なにもない」とも言える宝島に移住したきっかけは、「鹿児島の地図から一番名前のよいところに移住しようと考えたこと」。

そんな宝島で暮らす本名さんは、「事業をしていくうえでは『選択と集中』とよくいいますが、宝島で生きていくには『非選択と分散』。そうすれば、宝島で食っていくのは簡単。人口も増えてほしいから、みんな気軽に移住してはどうですか?」と語り、その飾らない発表に、会場は笑いに包まれた。

種子島(たねがしま)で「泊まれる植物園 あずまや」を経営する株式会社 studio KANROの内野康平さんは、一級建築士として種子島、福岡、広島の3拠点で暮らしている。

母方のルーツである種子島で、実母の縁から島外に暮らす家主の物件を「10年後に返してね」という条件で借り、宿に改修。

「10年後に帰ってきたくなる場所になるように」「10年のなかで利益になる形になるように」と、種子島の伝統工芸・本種子鋏の鍛冶屋や陶芸家などに協力を仰ぎ、種子島の素材をつかった宿泊施設を完成させた。

「その土地のものを使い『ちょっと違う、本当にいいもの』をつくれば、島内だけでもまわると気づいた」と内野さん。宿には一般的な金額も設定しているが、島の住民に対しては、親戚が島に帰ってきた時の宿泊や、公民館利用のイメージで割安な別料金を設定。結果、宿泊施設として稼働6割。当初見込んでいた3割を大幅に超えたという。

多拠点居住という言葉が流行る今、「島に住んでいるからできることがあるように、住んでいないからこそできることもある」という内野さんの言葉に、新たな島との「関わりしろ」が見えてくる。

続く山崎晋作さんは、人口70人の竹島(たけしま|三島村)で「NPO法人みしまですよ」を立ち上げ、三島村のブログ『GO!MISHIMA』での情報発信や、竹島では20年ぶりとなる商店の経営を担い、若き村議会議員としても活躍している。

三島村は約380人の村民が3つの島に暮らし、かつ村役場が鹿児島市にあるという稀有な自治体である。竹島で生まれ育ち、中学卒業後に東京や鹿児島を転々としてUターンした山崎さんにとって「帰る場所」。そこにある島の人と原風景を守るため、活動しているが人口わずかな島には逃げ場がない。

「大変だったのは、島内の摩擦」と語る山崎さんだが、「絶対に無理」と言われながらも商店を立ち上げたことで、畜産と民宿しかなかった島で新たな事業を興す可能性を見出したという。

人口規模や本土との距離、自治体の構成、お店の有無など、島によってその個性は異なるが、それぞれの島に、それぞれの島の課題に向き合い、未来を展望する人が存在する。

3人の活動内容に耳を傾ける参加者は、我が島との「違い」を知り、その「アイデア」にハッとし、「想い」に共感したはずだ。

島を支える当事者たちが額を集め、未来を展望

セイルミーティングの後半は、参加者一同が「島の未来」を展望しながら、交流を図るダイアローグが行われた。

テーマは、鹿児島離島における教育、移動交通インフラ、文化芸能、自然環境、医療福祉、観光(宿泊/飲食/アクティビティ)、産業(第一次産業/小売・流通/製造)、情報通信(ICT)、エネルギー、住民自治、防災、金融、地域連携。

これらテーマを「思いのある有志の人たちが集まりつづける熱量の高いチーム」で追い続けたとき、「2030年の時点で実現できていたら良い理想の状況」を言語化するのが、ダイアローグのお題だ。

セイルミーティングの前半で基調講演や事例紹介のプレゼンテーションを聞き、熱の高まった参加者は、興味のあるテーマを選び、チームを形成。始めましての挨拶からすぐに本題へ入っていた。

各チームで参加者の想いが掛け合わされてゆき、議論は白熱。さまざまなアイデアが会場を埋め尽くし、50分のダイアローグは一瞬のうちに終了した。

セイルミーティングの後もその熱は冷めず会場を移動して番外編の交流会がスタート。奄美大島(あまみおおしま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)、硫黄島(いおうじま)のプレゼンターが島を語り、ラストは喜界島(きかいじま)出身の唄者によるシマ唄も披露された。

鹿児島最北端の島・獅子島(ししじま)にUターンしたという山下城さんは、「ここに来て明日へのモチベーションが生まれた」と笑顔を見せた。

この日、帆をあげたリトラボは9月18日に種子島で行われる合宿型フィールドワーク「種子島トレセン」へと続く。鹿児島離島の熱はどこへ向かうのか、#04に続く。

特集記事 目次

鹿児島離島文化経済圏(PR)
有人離島を擁する都道県のうち、離島に暮らす人の数が最も多い鹿児島県では、島を支える地域おこし団体が、自立的・安定的に活動を継続できるよう支援すべく、2016年度より離島地域おこし団体事業化推進事業を実施。この流れから新たに生まれたプロジェクト「鹿児島離島文化経済圏(リトラボ)」の動きをレポートする。

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