長崎・五島列島(ごとうれっとう)で自由な生き方を実践するシングルマザーのひとみママが、昨秋「お金がなくても豊かに生きるコツはこの10年で培ってきたので、これから10年はお金を増やすコツを……」と、つぶやいたSNSをキャッチしたリトケイ編集部。そのコツとは何か?教えてもらいました。(制作・ritokei編集部)
※ページ下の「特集記事 目次」より関連記事をご覧いただけます。ぜひ併せてお読みください。
※この記事は『季刊ritokei』37号(2022年2月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。
>>前回:3人の有識者に聞いた、島とお金のこぼれ話【特集|島で生きるために必要なお金の話】はこちら
お金のことは両@学長の本(※1)とかYouTubeをチェックしています。小3の息子は中田の動画(※2)が大好きなので、動画で得た知識から「ママ、変な保険入ったらダメだよ〜。日本は社会保障がしっかりしているんだから」と言ってきたり。
最近は息子とNISA(※3)を始めましたが、ママたちのLINEでもNISAという単語は聞きますし、みんなお金に興味があるんですよね。
とはいえ、お金については「漠然とした不安」を感じているという人が多いように思います。昨年から五島市の「らしさLabo」(※4)で島の女性の相談にのっていますが、「お金が欲しい」と言う相談者にお金が必要な理由について「なんで?」「なんで?」「なんで?」と3回くらい問い続けていくと、最後は答えに詰まって「分からないからとりあえず、お金が欲しい」と言われるんです。
お金に対して漠然とした不安を感じている人や、お金としっかり向き合いたい人は、「自己分析」や「思考整理」(※5)がおすすめです。
自分自身が何をしたいのか?譲れるものは何か?と、自分自身の望みを分析して、理解して、行動に移せるようになります。私は10年前、息子と二人でお金がなくても豊かに生きるために必要な収入を計算したときに、月12万円あればいいという答えに辿りつきました。
それから息子が0歳から9歳になるまでの10年間は、年の1/3を本業の放射線技師で稼いで、そのほかは子育てと趣味(古家のリノベーション)に使い、島で「手伝って」といわれる仕事があれば手伝ったりしていきました。
最近、家計簿を見直したら必要な金額が年間160万円くらいに変わっていましたが(もちろん年金や保険も含まれています)、収入も色々合わせて200万円くらいになっていて、必要最低限の160万円に旅行代とかお洒落代などを加えると、200万円くらいで丁度良い。
自分でリノベした不動産も4件運用していますが、プラスになったのはほんの最近。こうした不動産で得た収入は、生活費に使わずNISAで運用しようと思っています。
ちなみに私はシングルマザーなので子育て給付金(※6)も受給していますが、こうしたお金は全国一律。仮に5万円もらえる人なら、都会の5万円と田舎の5万円は大きく違うので、島に移住してもいいんじゃないかと思います。
これまではお金がなくても豊かに生きる方法を実践してきましたが、加えて「お金を増やすこと」にも興味を持ったのには理由があります。
自分自身もそうですが、まわりのママたちも含めて、月にあと2〜3万稼ぐことができたら、田舎に足りない文化的イベントを増やすことができるから。参加費1,500円だったら出せるけど3,000円は高いというママが、良いものにお金を払えるようになれるといいですよね。島のママたちが幸せになれたら、島の魅力にもつながりますから。
※1 両@学長(りょうがくちょう)。登録者数184万人のYouTubeチャンネルでもお金にまつわる知識を共有。著書『本当の自由を手に入れるお金の大学』など
※2 登録者数434万人を誇るオリエンタルラジオ中田敦彦の人気YouTubeチャンネル
※3 毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度。種類は成年向けの一般NISA、つみたてNISA、未成年向けのジュニアNISAの3つ
※4 コロナ禍により不安や悩みを抱えた女性を支援するため五島市が設置する相談窓口
※5 ひとみママのおすすめ本は『プロの思考整理術』(著・和仁達也/かんき出版)
※6 児童扶養手当。子ども一人に対して月額最大43,160円が支給される国の制度
ひとみママ
芳澤瞳(よしざわ・ひとみ)。福江島出身。高校卒業後、福岡で過ごしたのちに子育てのためUターン。1年の1/3を放射線技師として働き、2/3を自由に過ごす生き方を選択。本業のほか、自らDIYした物件の賃貸や行政の委託業務等を担当する。
>>島とお金を考えるために知っておきたいお金のキホン【特集|島で生きるために必要なお金の話】に続く