つくろう、島の未来

2022年11月29日 火曜日

つくろう、島の未来

離島地域で生きるために必要な「お金」の特集。今回は、特集に登場した有識者の皆さんからいただいた「島を持続可能にするためのお金」のこぼれ話を紹介します。(制作・ritokei編集部)
※ページ下の「特集記事 目次」より関連記事をご覧いただけます。ぜひ併せてお読みください。

※この記事は『季刊ritokei』37号(2022年2月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

>>前回:島の未来を担うU40世代に聞いた持続可能なお金と経済のあり方【特集|島で生きるために必要なお金の話】はこちら

登場人物

 
主人公・シマノミライさん(18)
人口約2,000人のR島に住む18歳。島唯一の高校を卒業して首都圏の大学に通う予定。小学生の頃に大怪我をして入院した経験から、将来は人助けができる看護師になりたいと考えている

 
弟・シマノサチオくん(14)
R島で生まれ育った中学2年生。サッカー好きだが同級生が少ないため、バトミントン部に所属。夢はYouTuberと起業家。早く島を離れたいと思っているが、島の祭りが大好きなお祭り人間でもある

 
父・シマノタダオさん(50)
R島出身。大学進学のため上京し30歳でUターン。役場職員として働く。子どもたちに帰って来て欲しいと言いたいが、過疎が進む島の未来に不安があり言い出せずにいる。少し気弱な性格。趣味は釣り

 
母・シマノユメコさん(45)
千葉出身。結婚を機にR島へ。島唯一のスーパーで働きながら、島の女性たちと未利用食材をつかったお菓子をつくる活動を楽しむ。将来の夢は、島に帰った子どもたちと孫の面倒をみること

 
小島 愛之助(こじま・あいのすけ)さん
東京都出身。公益財団法人日本離島センター専務理事。1976 年慶應義塾大学卒、77 年旧経済企画庁入庁。内閣府大臣官房審議官や政策統括官、国土交通省国土政策局長を経て現職。

 
佐藤優(さとう・まさる)さん
1960年東京生まれ。母は久米島出身。外務省に入省し、在ロシア連邦日本国大使館に勤務。外務本省国際情報局分析第一課で活躍した後に2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。2005年に執行猶予付き有罪判決を受け2013年執行猶予期間を満了。2005年『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』、『新世紀「コロナ後」を生き抜く』など多数。

 
いずたにかつとしさん
大阪出身。ロコネクト合同会社代表。「お金に振り回されないためには、お金の知識を身につけるのが一番」と考え金融業界に就職。全国トップの成績をおさめながらも時間に追われ「自分の求めた理想の暮らしって何だろう」と考え退職。2007年に周防大島へ移住。ファイナンシャルプランナーのほか、総務省地域力創造アドバイザーなど幅広く活躍

こぼれ話① お金は「返す」と終わりになる「返せない」と終わりがなくなる(作家・佐藤 優さん)

いずれ地元に戻ってくれば自治体が返済金を負担する奨学金制度がある地域もありますが、もっと良いのは「給付」にすることです。

帰ってくるだけでお金もらえるってこと?!

すご〜い

ある有名私立高校では、在学中に親の会社が潰れるなどして突如、学費が払えなくなる生徒が時々います。

そんな時、学校側は生徒に知らせずに卒業までの学費を学校の基金から払う。そのお金は卒業生などからの寄付であり、そうした生徒は卒業時に初めて給付を受けていたことを知らされ、将来、稼げるようになった時に母校に寄付するようになる。

これが奨学金なら返して終わりになりますが、給付であれば終わりがなくなるんです。

こぼれ話② 戦闘機1機分のお金で新たな高校をつくり島を持続可能にする方法も(作家・佐藤 優さん)

持続可能な形で島に人が住むことを中長期的に見るなら、分校の体制でもいいので、島に高校をつくる政策が必要ですね。

高校の先生は島のインテリ層になりますから、先生と子どもたちが接触することによって、世界の目が開けるという良さがあります。

また、高校がない島では子どもの進学に合わせて親も島を離れるケースがあり、教育環境が悪くなるだけで一気に過疎が進みます。

今はインターネットも進んでいますから、島の分校に全教科の学習指導要領を理解している教員を数人配置して、ネットや補助教材を使う形にすれば、都市部の高校と変わらない環境がつくれるでしょう。

中学までしかなかった島に、学習指導要領に沿った教育が受けられる高校の分校をなんとかつくっていくという政策は、1つの島を維持するという観点では有効であり、予算としても微々たるもの。

戦闘機1機(120億円)があればいくつもの島を何年か効果的に支援することができます。

せ、せ、せんとうき?!

新しい学校をつくるってこと?!そんな方法もあるなんて……

こぼれ話③ 行政予算をうまく使うには島の人から挙がる声が大事なんです(日本離島センター・小島愛之助さん)

国や行政のお金(予算)を良い形で使うには「このようなことがあれば島の暮らしが良くなる」と、島の人たちから要望が挙がることが大事です。

最近の地域振興では特にソフト事業へのシフトが始まっていますが、これまでは役場担当者が考えていた事業の内容に「こんなものがあったら便利だね」という住民の声が反映され、その事業が現実的に効果を持つと、その後の予算獲得にもつながっていくでしょう。

ミライたちが帰ってくるには役場にもがんばってもらわなくちゃ〜ね、パパ

その通りだな(キリッ)

こぼれ話④ 地域毎に異なる最低賃金や物価は現地でチェック(周防大島・いずたにかつとしさん)

地域によって最低賃金は異なります。例えば、東京都に属する伊豆諸島や小笠原諸島などの最低賃金は1,041円ですが、高知県の島々は820円で、その差は221円になります。

ただし、賃金の高い地域は、低い地域に比べてサービス業に対する支出も高くなりますので、UIターンを検討する際には、現地で実際の物価をチェックすることをおすすめします。

こぼれ話⑤ 東京23区から移住するなら最大300万円がもらえる?!

島に移住したい人や帰りたい人であれば、各都道県がそれぞれ移住支援制度を用意しているので、ホームページ等で確認しましょう。

なかでも内閣府が実施する東京23区からの移住支援制度は手厚く、ほとんどの市町村で使えます。

ただし、人口の東京一極集中を是正するために設けられた制度のため、対象は東京23区に一定期間住んでいるか、仕事をしている方に限定されます。

該当者なら、島に移住して就業すれば最大100万円、起業するなら最大200万円、両制度を活用すれば最大300万円がもらえます。この制度の活用については、市町村より各都道県へのお問い合わせがおすすめです。

詳細>>https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_index.html

>>\教えて!ひとみママ/お金に関する「漠然とした不安」をなくし島で豊かに生きるコツ【特集|島で生きるために必要なお金の話】に続く

特集記事 目次

特集|島で生きるために必要なお金の話

生きていくために必要なものは?そう聞かれて「お金」を思い浮かべる人もいるでしょう。しかしながら、お金とは何か?なぜ必要か?どのくらい必要なのか?と聞かれると、答えに困る人もいるでしょう。

さらにそれが小さな島ならどうでしょう。島で生きるためにはどのくらいのお金が必要なのか?どんなことにどれだけのお金がかかるのか?そのお金はどこから得られるのか?

今回は離島地域で生きるために必要な「お金」を特集。生活のお金や社会を維持するためのお金、島の未来を持続可能にするためのお金の話を中心に、この春、娘が島を旅立つR島のシマノさん一家と考えていきます。

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