つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

離島地域で生きるために必要な「お金」の特集。今回はR島のシマノさん一家が、島暮らしで感じる素朴なギモンについて財務省の渡部晶さんに聞きました。(制作・ritokei編集部)

※この記事は『季刊ritokei』37号(2022年2月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

>>前回:離島振興の専門家に聞く島の「社会」を維持するお金【特集|島で生きるために必要なお金の話】はこちら

登場人物

 
主人公・シマノミライさん(18)
人口約2,000人のR島に住む18歳。島唯一の高校を卒業して首都圏の大学に通う予定。小学生の頃に大怪我をして入院した経験から、将来は人助けができる看護師になりたいと考えている

 
弟・シマノサチオくん(14)
R島で生まれ育った中学2年生。サッカー好きだが同級生が少ないため、バトミントン部に所属。夢はYouTuberと起業家。早く島を離れたいと思っているが、島の祭りが大好きなお祭り人間でもある

 
父・シマノタダオさん(50)
R島出身。大学進学のため上京し30歳でUターン。役場職員として働く。子どもたちに帰って来て欲しいと言いたいが、過疎が進む島の未来に不安があり言い出せずにいる。少し気弱な性格。趣味は釣り

 
母・シマノユメコさん(45)
千葉出身。結婚を機にR島へ。島唯一のスーパーで働きながら、島の女性たちと未利用食材をつかったお菓子をつくる活動を楽しむ。将来の夢は、島に帰った子どもたちと孫の面倒をみること

 
渡部晶(わたべ・あきら)さん
財務省大臣官房公文書監理官兼大臣官房企画調整主幹(企画調整総括官)兼財務総合政策研究所副所長。1963年福島県生まれ。京都大学法学部卒業後、大蔵省(現財務省)に入省。内閣府大臣官房審議官(沖縄政策担当)等を経て現職。『月刊コロンブス』(東方通信社)などでもコラムを寄稿中
 

母・ユメコのギモン。私たちは島に住み続けてもいいの?

島という社会を維持するにはたくさんのお金がかかっているように感じますが、私たちは島に住み続けられるのでしょうか?

有人島の存在は国にとっても非常に重要ですので、私の認識としては島に住んでいただいていることだけでもありがたいです。多様なありようも大切ですから、島の暮らしを維持するために、公共セクターが支援すべきところはしっかり支援しないといけません。

島の方々からはよく「教育費の高さ」が問題だと聞きます。例えば沖縄県では国のお金を使って、離島地域から進学する子どもたちが暮らせる寮を那覇に整備しました。

また、技術の進歩で暮らしの不便さが昔よりも軽減されている面は多くあります。さらに、テレワークの浸透やICTを使った教育などの可能性も生まれています。島のように小さな社会は変革も起きやすいため、新しい可能性を試す場としても期待されています。

弟・サチオのギモン。「予算」ってなあに?

※ 財務省「日本の財政を考える」
https://www.mof.go.jp/zaisei/index.htm

※ 総務省「地方財政白書」
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/index.htm

>>島で生きるために必要なお金とは?【特集|島で生きるために必要なお金の話】に続く

特集記事 目次

特集|島で生きるために必要なお金の話

生きていくために必要なものは?そう聞かれて「お金」を思い浮かべる人もいるでしょう。しかしながら、お金とは何か?なぜ必要か?どのくらい必要なのか?と聞かれると、答えに困る人もいるでしょう。

さらにそれが小さな島ならどうでしょう。島で生きるためにはどのくらいのお金が必要なのか?どんなことにどれだけのお金がかかるのか?そのお金はどこから得られるのか?

今回は離島地域で生きるために必要な「お金」を特集。生活のお金や社会を維持するためのお金、島の未来を持続可能にするためのお金の話を中心に、この春、娘が島を旅立つR島のシマノさん一家と考えていきます。

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