つくろう、島の未来

2024年11月24日 日曜日

つくろう、島の未来

スマホやパソコンなど誰でも簡単に使えるインターネットが身近になった今、ICTという「情報と通信の技術」があることで、島の暮らしがどのように変わるのか? ICTをフル活用しながら奄美大島と本土の2拠点生活を行う、勝眞一郎教授の連載コラムです。

島の商店にもICTの恩恵はあるのか

ICTは、Information and Communication Technologyの略。日本語に訳すと「情報と通信の技術」です。コンピュータとインターネットの技術と考えると分かりやすいですね。このICTという技術のおかげで、わたしたちの島の暮らしはどう変化してきて、これからどう変化するのかを探るのが、このコラムのテーマです。

ちょっと難しそうだけど、島の暮らしに確実に影響を与えているICT。みなさんも一緒に考えてみましょう。

島にいて感じるのは近所の商店での買い物の楽しさ。小さいお店なのにシャープペンシルのBの替え芯があったり、赤い糸があったり、小学校の帽子が売っていたり。探検しがいのあるわくわくスポットです。もちろん、地元のお弁当や野菜、くだもの、そして魚なども並んでいて、季節を感じます。

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都会のスーパーより選択肢は圧倒的に少ないですが、オリーブオイルは1種類あればいいし、カレーも3種類くらいあれば十分です。
こうした島の商店では直接的にコンピュータの活用は少ないのですが、卸元での在庫管理や、輸送管理でのICT活用で間接的な恩恵を受けています。

少し人口規模のある島になるとスーパーが存在します。スーパーのレジで入力された情報はPOSというシステムで売上の集計や在庫管理につながっています。次に何を発注して商品を補充しようかね?というとき短時間で的確な作業を可能にしています。本土側のチェーン店では、島の在庫と売れ行きを考えて本店側で仕入計画を立てている場合もあります。

島内流通で活用したいICT

島には本土とのつながりのない買い物、つまり島内流通というものもあります。海で隔たれた場所と言う特性もあり、台風などで物資が止まっても自給自足できる重要な流通です。島にとってもお金が島外に出ていかないため、経済基盤として整備しておきたい流通です。

しかし、島内流通は物量が多くコストの安い島外からの仕入れに押され、近年衰退しつつあります。「あるときにはある。ないときにはない。」ということが不便に感じられ、便利さ、安さということで人々の足はチェーンのスーパーに向かいがちです。

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ここにICTの活躍の余地があります。IoT(アイ・オー・ティー)という全てのモノをインターネットにつなごうという動きです。島で見かける無人販売所にオンラインカメラが設置してあると、「今日は、あそこの畑の野菜が出ているね。」とスマホで見て、車を走らせることができます。


また、地元の魚屋さんが本日の入荷をLINEで知らせてくれると、購入のきっかけになります。農家のかたが今朝収穫した野菜をフェイスブックでお知らせしてくれるとうれしいですね。インターネットは、買い手と売り手を直接リアルタイムに結び付けてくれる便利なツールなのです。

地元で採れたものを地元で食す。地元の人が作ったものを地元の人が愛用する。そんな島の暮らしにICTの技術がこれから役にたっていくことを期待したいですね。

     

離島経済新聞 目次

【連載】島の暮らしとICT

ICT(Information and Communication Technology)技術で、島の暮らしはどう変化してきて、これからどう変化するのかを探る、サイバー大学教授の島×ICTコラム。

勝眞一郎(かつ・しんいちろう)
1964年生。奄美市名瀬出身。NPO法人離島経済新聞社理事、サイバー大学IT総合学部教授、奄美市産業創出プロデューサー、バローレ総合研究所代表。著書に『カレーで学ぶプロジェクトマネジメント』。現在は奄美大島と神奈川県の藤沢の二地域居住。

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