スマホやパソコンなど誰でも簡単に使えるインターネットが身近になった今、ICTという「情報と通信の技術」があることで、島の暮らしがどのように変わるのか? ICTをフル活用しながら奄美大島と本土の2拠点生活を行う、勝眞一郎教授の連載コラムです。
気になる島の恋愛事情
みなさん、恋をしていますか?
恋とは、少し離れた存在に対して、強く惹かれ切なく思うこと。また、叶わぬことを叶えようとする心のこと。恋は、人の想像力を鍛え、人を動かすエネルギーです。そして、恋は大昔から現在まで、私たち人類の歴史をつないできた重要なものでもあるので、みなさん、どんどん恋をして、キュンキュンしましょうね。
さて、今回はそんな恋と島とICTの関係を探ります。島の恋愛事情にインターネットはどんな影響を与えているのか? あるいは影響を与えていないのか? なんて思いながら、私が暮らしている奄美大島の若者たちに聞いた恋話に私の考察をミックスして考えていきたいと思います。
出会いは、ネットを越えて突然に?
「彼女募集しています!」。ツイッターでそんなつぶやきを投稿した若者は、返答をくれた会ったこともない女性とつきあいはじめたとのこと。相手の彼女からすると、会ったことはないけれど、彼のアカウントのタイムラインを見ると、どんなことを考えて、どんな発言をして、どんなことが好きで、どんなことが嫌いなのかが何となく分かる。限られていても、ネット上で確認できる彼の周辺情報を見て、「つきあってみようかな」とは思ったのだそうです。
一方、別の若者は、高校時代の同級生にフェイスブックで誘われ、東京で開かれる同窓会に島から出掛けていったとのこと。そこで久々に再会した同窓生の顔ぶれのなかには、都会に出てキレイになった元カノの姿も。その場でラインのIDを交換して、島と都会の遠距離恋愛が始まったそうです。
インターネットは、多くの情報を瞬時にたくさんの人に届ける技術。その中でもソーシャル・ネットワーク・サービス(以下、SNS)と呼ばれるフェイスブックやツイッター、インスタグラム、ラインは、人と人をつなぐ新しいメディアとして、私たちに出会いの場を提供しています。
遠距離恋愛の強い味方ICT
特に遠距離恋愛には、インターネットは欠かせない存在になっています。
「ネットがなかったら、ぜったい続いていないですね」。そう語ってくれたのは、遠距離恋愛を続ける男性。彼女が島と東京を行ったり来たりする営業の仕事なので、島で会う時間がなかなかとれない。でも、ライン、メッセンジャー、フェイスタイムを使って1日に何度も連絡をとることができるので、さびしくはないそうです。
逆に、彼が都会で働く人で、たまに島にやってくるという女性のパターンも。出会いは彼が仕事で来島した時のこと。メッセンジャーやフェイスタイムで連絡を取り合うようになり、その後、彼から告白。そこからお付き合いがはじまり、先日めでたくゴールインしました。「メッセンジャーやライン、フェイスタイムがなかったら、絶対つながっていなかったと思う」という彼女。SNSは、現代の「赤い糸」なのかも知れません。
事例で見てきたように、コミュニケーションの頻度はもちろん、コストにおいてもインターネットは強力な味方です。SNSが登場するまでは、遠方にいる恋人とのコミュニケーション手段は主に電話でした。
島と都会で電話をすると、あっという間にすごい金額になってしまいます。そのため、恋人たちは電話代が安くなる午後9時を待って用件だけを手短に伝え、相手が残業の時には連絡できない……。
そして連絡が途切れがちになると、気持ちも離れ、関係も薄らぎ、ついには破局……。なんて、恋愛の成就率と通信費が相関関係にあったのは、ひと昔前の恋愛事情ですね。
まずは、メッセージを送ってみよう!
「他の土地と海を隔てて離れている」という島の地理的不利性を、文字によるメッセージやライブ動画ですっきり解消してくれるICTは、島の恋愛を手助けしてくれる大切なツールとなっているようです。もう恋をしなくなってから、どれくらいたつのだろう?というあなた。気になるあの人にメッセージを送ってみませんか? ICTのチカラを借りれば、遠く離れていても恋が実るかもしれません。