離島地域で生きるために必要な「お金」の特集。今回は、読者の皆さんに島暮らしで感じる「お金がかかって大変」なことや「お金がかからない」と感じることなどリアルなお金事情を教えてもらいました。(制作・ritokei編集部)
※この記事は『季刊ritokei』37号(2022年2月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。
>>前回:R島のシマノ家と考える島の「暮らし」にかかるお金【特集|島で生きるために必要なお金の話】はこちら
Q1.島暮らしで「お金がかかって大変」「思ったよりお金がかかる」と感じることは?
●大型家具の仕入れ。そもそも配達圏外のこともある
(おきゃ/会社員) 九州沖縄エリアの島々
●バス代が高い
(まちこ/パート・アルバイト) 九州沖縄エリアの島々
●交際費。お祝いごとが多いのと、渡す範囲が広いために出費がかさむ。また、野菜などをよくもらうが、こちらが畑等をしていない場合は、お土産など買って返すために費用がかさむ
(徳之島の植物お兄さん/自営業) 九州沖縄エリアの島々
●車で本土へ行くときは往復1万円ほどかかります
(とも/会社員) 瀬戸内海エリアの島々
●家を建てる費用が1.5倍かかる、車が必要になり維持費などかかる
(ゆっきー/観光業、小売業) 九州沖縄エリアの島々
●子ども2人が、重病ではないものの持病があり、島外の大きな病院で定期診察を受けるしかないため、その交通費や宿泊代、その間の親の欠勤に伴う収入減など、とてもお金がかかります。行政からの助成金もありますが全額ではなく、陸続きの本土住まいならこれほどは必要のない費用だと思うと、離島苦と思わざるを得ません
(たなか/会社員) 九州沖縄エリアの島々
●ガソリン代と家賃。ガソリンは全国平均の倍くらい。家賃は東京都心とほぼ変わらず1畳あたり1万円くらいでした
(シャシャップ/自営業) 太平洋〜東海道エリアの島々
●結婚を機にUターン。本土と比較して、しばらくは『お金がかかって大変』とは感じなかったが、子どもの大学受験の際の宿泊費や交通費が、予想よりかなりかかって驚いた。大学在学中のアパート代もかなりかかって、3人目が大学に行く時は破産寸前だった
(SUS/会社員) 太平洋〜東海道エリアの島々
●離島から市内に出るための有料道路のETC代(しまなみ海道大島から今治市まで普通車で910円)病院や買い物で用があって、同じ市内に出るにも往復1,800円交通費がかかる。通勤となると、月4万円近く。全額補助の会社などは少なく、バスの定期代しか支給されないところも多い(半額補助程度)
(しゅうへい/自営業) 瀬戸内海エリアの島々
●しまなみ海道沿線の島に住んでいるため、橋代はめちゃくちゃかかります。コロナで休日割りがなくなったのは、生活道路として使っている島民にはひどいことだと思います
[あまぐりポン/公務員(役場・教職員)] 瀬戸内海エリアの島々
●牛乳や卵、ヨーグルトなど、自力で本島から買って持ち帰るのが難しい食材が高い。通院は泊まりがけ。船代往復2,320円、ホテル代安くても3,500円以上、船が欠航すれば延泊。コロナ前は友人宅に気軽に泊めてもらえたけど今は難しいので出費が大きい。往来自粛要請で買い出しにも行けないから取り寄せになるのに、フェリーの船積み運賃も1箱300円以上かかるので、年間でみると大きい。離島民にもう少し補助が欲しい
(マンゴー/自営業) 九州沖縄エリアの島々
●ガス代の高さ。都市ガス地域に住んでいた昔は電気代を安くすべくガス調理が多かったが、島はプロパンガスなのでガス代が高い。冬に煮込み料理をすると1回あたり1,000円程度でガス代があがるので、圧力鍋は必須。オーブンレンジを駆使するようになりました
(ちょこ♪/無職・その他) 太平洋〜東海道エリアの島々
※交通費やガソリン代などの価格は島によって大きく異なります。
Q2.反対に「お金がかからない」と感じることは?
●誘惑が少ないので出費が減った(カナメ/農業) 九州沖縄エリアの島々
●島民割りがあり船代がお得(オナガ/会社員) 九州沖縄エリアの島々
●家賃、玄関に置いていかれるお裾分け、ちょっとした修理費や人手(Sawa/観光業) 日本海エリアの島々
●家賃が安い、土地が安いので居住費はかからない、デパートなどがないのでウインドウショッピングで余計な買い物をすることがない
(さどっこ/会社員) 日本海エリアの島々
●畑で作物を作るので、米、よく使う野菜は自給自足でき、おすそわけもあるので、その分お金はかかりません。電車やバスなど交通機関が無く、夜に飲み歩くことが減るのでその分の飲食費がかかりません
(ヨーコ/医療、自営業) 九州沖縄エリアの島々
●温暖な気候のおかげで、あまり服装にお金を掛けなくなり被服費は少なくなった。また、購入できる店舗も少なく華美に装う必要もない
(gogotanegashima/観光業) 九州沖縄エリアの島々
●友人、知人や地域のネットワーク関係があるので、魚・野菜・米は低価格で購入できたりする。家庭菜園、釣りで食料も自給できる
(ボブ/自営業) 九州沖縄エリアの島々
●日々の暮らし。商店がないので、島の中でお金を使うのは自販機だけ
[momen/公務員(役場・教職員)] 九州沖縄エリアの島々
●野菜はもらえる機会が多い(が、シーズンで偏る上になぜか頂くタイミングが被るので無駄になってしまうことも…)。お金を出して遊ぶ施設がないので、子連れで遊ぶのに余計なお金出さなくて良い。夏は暑いのでクーラーつけっぱなしで電気代が2万円近くいくときもあるが、寒いシーズンが本土ほど寒くないので暖房を使うことがなく、トータルで見るとそこまで電気代の負担は大きくない気がする
[さにーー/公務員(役場・教職員)] 九州沖縄エリアの島々
●野菜や魚をおすそ分けしていただくので食費が浮きます。またインターネット通販をよく利用しますが、ほとんど送料無料で利用しています
(さき/介護・福祉) 日本海エリアの島々
●交際費。橋を渡って出て行くため、無駄に飲み会など出なくなった。家でゆっくり過ごす時間も増え、トータルの出費も少なく、満足度も高くなる
(しゅうへい/自営業) 瀬戸内海エリアの島々
●余計なお金を使わない。計画的にお金が使える。カフェ、土日の交通費などに意外にお金をかけていたことがわかる
[なれうとか/公務員(役場・教職員)] 太平洋〜東海道エリアの島々
●気軽に買い物ができるコンビニなどが無いため、意識すれば無駄遣いしないですむ
(シロハラクイナ/自営業) 九州沖縄エリアの島々
●全てはライフスタイルにもよりますが、都会のモードに合わせる必要もない(そもそも買えない)ため服飾費がそれほどかからないこと、子どもの遊興にお金のかからないこと(有料の遊び場があるわけでもなく、夏場はとりあえず海に放り込んでおけばよい等)
(たなか/会社員) 九州沖縄エリアの島々
Q3.島暮らしで感じる「必要最低限のお金」とは?
燃料費
●島内移動にかかるガソリン代
●お風呂の灯油代
通信費
●携帯電話代やインターネットなどの費用
車の維持費
●電車が無いのでマイカーは必須
●修理代や車検代。少しの傷でも潮風にあたるとすぐに錆びてしまうので、修理は早く行う必要がある
●船での車両運搬費
●車両代が高いのでボロボロになるまで乗る
●免許証更新手数料
食費
●海産物、農作物を除く食料を買うお金
●ある程度の食料や日用品の備蓄をできるお金(船の欠航などでスーパーが空になることがあり、そもそも開いている時間も短い)
島外に出る交通費
●本土の実家に帰省するための交通費
●年に数回島外で好きなことをする余裕を持っておくと、心の余裕ができる(都会に住んでいた時の海外旅行に行きたい感覚と似ている)
教育にかかるお金
●教育にかかる費用は収入の割に高くなる
●高校がない島は寮費も必要
●子どもが大学や専門学校に進むと、学費や一人暮らし費用がかかる。離島には大学がないので必須
●部活の遠征費
地域内交流にかかるお金
●地域住民との交流や交際にかかる費用。島で生きるには大事
●冠婚葬祭にかかるお金
●自治会費や社協会費
医療にかかるお金
●診療にかかる費用だけじゃなく病院に行くまでの交通費や宿泊費がかかる
●診療所のみで眼科や皮膚科や産婦人科などが常時ないので、本土に渡る場合、一度の受診で数万円かかることがある(町から補助が出る場合もある)
住まいにかかるお金
●家賃。持ち家の場合は固定資産税
●電気、ガス、水道など
島暮らしに興味のある読者にも聞きました!
Q.移住やUターンで島に住むことをイメージした時に、最も気になるお金は?
●「賃金などの稼ぎの面で一般的にどの職種でどれくらい稼げるのか。また、移住者向けの金銭的支援があったりするのか」(長崎のよっちゃん/学生)
●「生きていくために必要な収入を得られるかどうか」(おかやん/観光業、自営業)
●「生活消耗品の物価」(ととへい/会社員)
●「学費や交際費など、どこに住んでいても価格の変わらない出費に島の収入で対応できるかどうか(まみ/会社員)
●「銀行が無い」(あかりん/会社員)
●「安定した収入があることを前提とすると、気になるのは本島とのお金の価値観の違い」(橋本浩/自営業)
●「家賃、光熱費など毎月必ず出て行くお金」(ヤマネマイコ/自営業)
●「南の島の場合、不動産が関東周辺の自然がいっぱいの移住促進地域と比べても、極端に高いイメージ。役場が、移住者に対して、金銭以外のケアをしてくれるのか?それも気になります」(はぅ/会社員)
●「引っ越しから生活を始めるまでの費用」(むーさん/会社員)
●「定期的な収入を得られる仕事が見つかるかどうか」(S.Y/会社員)
この企画は2021年12月にオンラインで実施したアンケートへの回答を元に制作しています。ご協力いただいた皆さまに感謝申し上げます。
>>離島振興の専門家に聞く島の「社会」を維持するお金【特集|島で生きるために必要なお金の話】に続く