つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

伊豆諸島北部に位置する伊豆諸島最大の島、伊豆大島(いずおおしま|東京都)。移住から5年経つ今も、島の魅力発掘の冒険にいそがしいデザインユニット「トウオンデザイン」。彼らが運営しているコミュニティースペース『kichi』での活動や日々の出来事をつれづれに。

■地域の特産品を多くの人に伝えたい

 

皆さん、“明日葉”ってご存知でしょうか?

明日葉(アシタバ)はセリ科の多年草植物。日本原産で、伊豆諸島をはじめ、房総半島から紀伊半島の太平洋岸に自生しています。「今日摘んでも明日にはもう芽が出てくる」と言われるほど、生命力の強い植物です。伊豆大島でも古くから野菜として食べられてきており、天ぷらや炒め物、汁物などさまざまな料理で美味しくいただくことができ、島の特産品に指定されています。

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伊豆大島は一年を通して温暖で雨の多い気候が特徴。
そのため、大地は多くの水を得ることができる上、火山島特有の火山灰を含んだ土地のおかげで水はけがよく、大雨に見舞われても貴重な作物が根崩れを起こすことはありません。

明日葉にとって最適な環境がこの島には整っているのです。環境を考える上でもうひとつ忘れてはならないのが、「ヤシャブシ(通称ハンノキ)」です。ヤシャブシは丘陵地から山地帯の湿地や河筋に生育する落葉高木。そんなヤシャブシが明日葉畑には古くから植えられてきました。

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なぜなら、日差しの強い夏場は葉の茂ったヤシャブシの木陰が明日葉を直射日光から守り、秋から冬にかけてはヤシャブシの落葉が明日葉の肥料となるとともに、明日葉に十分な日光を届けることができるからです。また、ヤシャブシの根には根粒菌が共生しており、この根粒菌が土中に溶け込み、良質な明日葉が育つ肥沃な大地をつくっています。

■明日葉茶のパッケージデザイン

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そんなある日、明日葉を栽培してお茶や粉末等の加工食品を製造されている農事組合法人大島観光農園の代表者である菊池さんより、現在販売中の明日葉茶・粉末のミニサイズ版企画のお話しをいただきました。

菊池さんは明日葉農園を営むかたわら、島の郷土芸能である御神火太鼓(ごじんかだいこ)の体験や保存会の運営・後進指導、椿油搾りや染物などが体験できる「大島ふるさと体験館」という施設も営んでおり、島の重要な文化や観光を担う事業者さんのひとりです。

ミニサイズを企画するにあたって、思い切ってラベルデザインを一新することで、現行商品にはないニーズを引き出し、様々なお客様に明日葉を味わっていただくきっかけとなって欲しい。菊池さんはそう考えていたようで、そのラベルデザインをトウオンデザインが担当することになりました。

それなら、ミニサイズでお手ごろ感も増すし、若者にも手にとってもらえるような、大胆なイメージチェンジを図ろう、ということになりました。

そこで、ラベルデザインの目指すべき姿として以下のテーマを設定しました。

・伊豆大島という地域や明日葉の特徴を表現したもの
・明日葉を愛する生産者の気持ちが伝わるもの
・島の大らかさや素朴さが伝わるもの
・新しさや斬新さを感じさせるもの

それから菊池さんの農園を訪れて明日葉の栽培の様子や収穫から加工までの工程のお話しを伺ったり、伊豆大島における明日葉の歴史を調べてみたりしながら、数々のアイデアがカタチとなっては消えていきました。

ときには出来あがった図案を周囲の方々にお見せしてご意見やご感想を伺ったりしつつ・・・次第に理想のカタチへと近づけていきました。

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最終的には可愛らしいけど、ちょっとクセ(?)のあるデザインに仕上がりました。
まぁ、明日葉にもちょっとした独特なクセ(?)がありますしね。笑

今では、kichiのカフェ営業時には大島観光農園さんの明日葉茶をレギュラーメニューとして提供しています。初めて明日葉茶を飲まれる方はそのほんの〜り甘い風味に驚かれるようです。まさに、“Island Herb Tea”な“すこやかフレーバー”なんです♪

最近、この明日葉茶の魅力に再度ハマりつつあります。自分の中では“当たり前”となっていた明日葉茶。でも、初めて飲まれる観光客の方にとってはとても新鮮な風味のようで、そんな反応を目の当たりにするのはとても勉強になります。そんな発見に出会えるのもkichiという場所があるからこそ。

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また、2013年2月に東京都三鷹のカフェ「Cafe Hi Famiglia Gallery」で開催したイベント『東京大島ベース』でも、Cafe Hi Famigliaさんのご協力により、イベント期間中に明日葉茶と牛乳煎餅のセットで「伊豆大島おやつメニュー」を提供。訪れる方々に明日葉茶を味わっていただきました。今後も“つばきッチン”等で明日葉茶とタイアップさせたイベントをどしどし企画して明日葉茶の魅力を伝えていければと思っています。

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そして、これからも島の魅力そのもの・地域の個性の結晶である特産品をより際立たせるパッケージデザインをたくさん手がけて伝えていきたいと思っています。

 

     

離島経済新聞 目次

【連載】伊豆大島「kichi」で繰り広げられる日々のモノコト

伊豆諸島北部に位置する伊豆諸島最大の島、伊豆大島。移住から5年経つ今も、島の魅力発掘の冒険にいそがしいデザインユニット「トウオンデザイン」。彼らが運営しているコミュニティースペース『kichi』での活動や日々の出来事をつれづれに。

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