つくろう、島の未来

2024年12月07日 土曜日

つくろう、島の未来

伊豆諸島北部に位置する伊豆諸島最大の島、伊豆大島。移住から5年経つ今も、島の魅力発掘の冒険にいそがしいデザインユニット「トウオンデザイン」。彼らが運営しているコミュニティースペース『kichi』での活動や日々の出来事をつれづれに。

■「何とかしたい。」

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このたびの台風26号により、伊豆大島において被害を受けられた皆様に対しまして、

心よりお見舞いを申し上げます。

また、お亡くなりになりました方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、

そのご家族、ご友人の皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。

ご存知のとおり、伊豆大島は大きな災害に見舞われました。

台風26号の影響により、800ミリ超というまったく予想だにしなかった雨量がわずか1日のうちに伊豆大島に降り注ぎました。昔から神様と畏れ崇められてきた御神火「三原山」の山肌に大きな傷跡を残し、そして、多くの尊い命が失われました。被害を受けた元町の一部地域は今までの穏やかな島の風景とはまったく異なるものでした。島は張り裂けそうな空気に満ちていました。

あんなに穏やかで美しかった島が、今は災害地域として世の中に伝えられている。

こんなに悲しくて悔しいことはないです。

そんな中でも警視、消防、自衛隊、そしてボランティア等、多くの方々が人命救助、捜索、復旧活動にあたってくださっています。もちろん、島民の方々も。

そして、全国からたくさんの救援物資や義援金やお見舞いのお言葉をいただいています。感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。

小さな島で起こったすべてが想定外の出来事。

「何とかしたい。」

災害が起こる3ヵ月ほど前のこと。

友人が来年のカレンダーをデザイン・制作して展示するカレンダー展の開催を企画したので、トウオンデザインもカレンダー制作に名乗りをあげました。「さて、どんなデザインにしようか?」「もちろん、伊豆大島をテーマにしたものにするよね?」妻とカレンダーについて、いろいろ考えながら日々過ごしている中、もうひとつお話が飛び込んできました。

それは新しいイベントの企画で、作家、林芙美子が伊豆大島岡田港を訪れた際に「ナポリの漁師町に似ている」と称賛した文献が残されていることを受けて、“ナポリまつり”という名前で港周辺の飲食店や商店、団体がナポリにちなんだ限定メニューを考案し、出店するというもの。

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そして、そのイベントのビジュアルイメージをトウオンデザインに作って欲しい、という依頼でした。また、kichiのお料理部門である“つばきッチン”も出店依頼があり、参加を決めました。

そこで、kichiの仲間のつながりで伊豆大島に何度も訪れていたイラストレーターの青木さんに今回のイベントのイラスト制作をお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。青木さんは発砲スチロールを素材に使ったイラストレーションが特徴で、そのオリジナリティの高さに惹かれました。

やがて完成したイラストは今までになかった新しい伊豆大島のイメージ。なんとも愛らしい素敵な作品でした。取り掛かっていた来年のカレンダーのイラストにもぜひ採用したいと考え、青木さんに相談したところ、またまた快く承諾。カレンダー用に新たに作品を書き下ろしてくれることに。

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しかし、カレンダー制作や、ナポリまつりの企画等、ワクワクする作業に充実の日々を送っていたときに突如起こった今回の災害。10月27日(日)に予定していたナポリまつりの開催は見送りとなりました。他の島内の各種イベントについても開催中止の決定が次々と入ってきました。

カレンダー展への出展もどうしようか……。

メディアでは行方不明者の懸命な捜索の様子が伝えられる中、災害発生前後の行政の判断を責めるかのような報道や、火山島である伊豆大島の防災上での弱点等が報道されました。

沈みきった伊豆大島の空気。暗く悲しい日々。

そんな中、青木さんからカレンダー用のイラストが送られてきました。

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そこにはピュアで愛らしい島の世界が広がっていました。

自然とやさしい気持ちでほっこり笑顔になれる素敵な作品たち。

これはとても小さいものだけど、みんなにほんの僅かでも勇気や希望を与えられるものになるのではないだろうか。伊豆大島の魅力をほんのわずかでも伝えることができるのではないだろうか。そして、売り上げから義援金にあてることで、伊豆大島の復興に役立てることができるのではないだろうか。

きっと良い方向に動いていくはず。

というわけで、伊豆大島カレンダーの制作を再開。

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カレンダー展への展示・販売を通じて売り上げの一部は義援金や復興支援に充てることに決めました。また、カレンダー展以外にもより多くの方々に手にとっていただきたいので、他にも販売方法等を検討しているところです。

今回の災害によって島の基幹産業である観光業への影響が心配されています。

被害を受けている方々からお話を伺うと皆さん口を揃えて今後の見通しがたたず将来の展望がまったく描けないとおっしゃっています。山肌が大きく抉れた三原山を目の前に、がれきや土砂の撤去に明け暮れていると、以前のように観光客の方々が戻ってくるのか?

とっても不安になります。

そんな状況の中だからこそ、僕らは引き続き伊豆大島の魅力を伝え続けていきたいと思います。そして、今回の災害を乗り越えることで、伊豆大島に暮らす人々はより強く、より魅力的になっていくものと信じています。

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『クリエーターオリジナルカレンダー展』開催場所は以下のとおりです。

〈イベントのスケジュール〉

[東京・神田]

Cafe Respiro(カフェ レスピーロ)

11/8(金) 17:00〜20:30

>> http://respiro.blog97.fc2.com/

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[東京・吉祥寺]

横丁ギャラリー

11/8(金)〜17(日)・12/26(木)〜12/29(日)

13:00〜19:00(会期中無休)

>> http://yokocho-gallery.com/

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[東京・市ヶ谷]

CAFE KATY(カフェ ケイティ)

11/9(土) 16:00〜19:00

>> https://www.facebook.com/cafekaty

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[東京・江東区]

ROCKETIIDA(ロケッティーダ)

11/28(木)〜12/1(日)・12/5(木)〜12/8(日)

14:00〜21:00

>> http://rocketiida.com/

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[東京・伊豆大島]

kichi(キチ)

日程調整中

>> http://kichi.to-on.info/

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皆様、伊豆大島を応援してください。よろしくお願いします。

 

〈 次回へつづく 〉

     

離島経済新聞 目次

【連載】伊豆大島「kichi」で繰り広げられる日々のモノコト

伊豆諸島北部に位置する伊豆諸島最大の島、伊豆大島。移住から5年経つ今も、島の魅力発掘の冒険にいそがしいデザインユニット「トウオンデザイン」。彼らが運営しているコミュニティースペース『kichi』での活動や日々の出来事をつれづれに。

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