つくろう、島の未来

2024年04月22日 月曜日

つくろう、島の未来

さまざまな仕組みによってその営みが支えられている島々。離島ならではの事情に配慮する上で欠かせない法律の一つに「離島振興法」があります。
令和5年4月1日から新たな離島振興法がスタートしました。今回は、日本島嶼学会の長嶋俊介さんに、離島振興法の改正ポイントや、島の産業を支える規制緩和について教えていただきました。

※この記事は『季刊ritokei』42号(2023年5月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

離島振興法は今回で7回目の延長となりました。1〜5次は「離島の後進性」をフォローするハード整備が中心で、6次からソフト支援が拡充されました。それから20年経った今回の改正に抜本的な変化は見られませんが、生活の質に関するフォローアップができるようになったと思います。

島には生活環境をバランスよく保てない事情があります。バランスを欠いてしまうと人がいなくなってしまうため、法律もその点に配慮しているのです。

注目は、基本理念に「都道府県の責務」が新設されたことです。従来から離島振興計画は都道府県が策定して国交省に提出していましたが、前回の改正で「市町村がつくりなさい」と改められました。

しかしながら、人材や専門性が乏しい市町村レベルでは、十分な計画がつくれなかったため、改めて「都道府県が支援しなさい」となった。実際、離島振興計画は離島振興法そのものを理解していないと書けない専門的な仕事なので、都道府県の協力は欠かせません。

法律は時代変化を後追いする形で改正されます。それにしても、この10年だけでも劇的な社会変化があったため、離島振興法にも今後は5年単位で見直しをしようという規定ができました。

配慮規定には、教育分野に「遠隔教育」「離島留学」「教職員の定数および配置」が明記されました。

これにより地方議会での承認が得られやすくなるため評価したいですね。「小規模離島の配慮」は、小規模離島も見放さないという意思の現れで、よく書き込まれています。

人口約50人の六島(岡山県)でつくられるクラフトビール。六島浜醸造所は地域おこし協力隊員制度を活用して祖母が暮らす六島に移り住んだ井関竜平さんが立ち上げた

対象となる人口規模は明記されていませんが、例えば100人以下にもなると維持は本当に大変で、この30年間で加速度的に人口が減っている状態です。

小規模離島でも産業の核がしっかりしていて、交通の便も良い島はそこまで危機的ではなく、笠岡諸島の六島(むしま|岡山県)(人口約50人)ではクラフトビールの醸造所が誕生するなど、明るい話題もあります。

島を支える仕組みには規制緩和もあります。佐渡島(さどがしま|新潟県)の学校蔵のような酒税特区もあれば、与論島(よろんじま|鹿児島県)のように医療目的でつくられた施設を教育目的の施設に転用した例もあります。

佐渡島の廃校を活用し2014年に誕生した「学校蔵」。(提供・尾畑酒造株式会社)

反対に守る規制もあり、奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島県)の黒糖焼酎や沖縄の泡盛などが、そこでしか製造できない理由もその一つです。

離島は良い意味で、必要性や切迫性が見えやすい。離島のように条件が厳しいところでは、仕組みを応用しないとできないことがたくさんあるので、島からどんどん提案していけると良いですね。

>>次回:「有識者に聞く 島のなりたいを叶える仕組みと活用ポイント(国土交通省 国土政策局 離島振興課)【特集|島を支える仕組みのキホン】」に続く

特集記事 目次

特集|島を支える仕組みのキホン

1万4,125の島からなる日本には421島の有人島があり、そのうち416島が有人離島と呼ばれています。 人の営みがある島のそれぞれに、自らが暮らす地域を支える人がいて、島の外から島を支える人や、島を支えるさまざまな法律や制度があります。 この特集では、離島特有の法律や制度を中心に、島を支える仕組みのキホンを紹介します。

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