SDGsを概ね理解できても、自分や地域とのつなげ方が分からないというも人もいるだろう。そこで、リトケイ読者に向けて、地域づくりの実践にSDGsの考え方を用いる手法をまとめた一冊『持続可能な地域のつくり方』を紹介したい。
※この記事は『季刊ritokei』31号(2020年02月28日発行)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。
持続可能な地域づくりの現場で実践できるSDGsの使い方
SDGsはその主語が地球規模である分、自分とは関係のない、どこか遠い世界の話をしているように聞こえる人も少なくないだろう。そんなSDGsを「持続可能な地域づくりに使える」と考え、実践方法を紹介するのが『持続可能な地域のつくり方』である。
持続可能な地域のつくり方未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン』
(著・筧裕介/英治出版/2,400円+税)
デザイナーやコンサルタントとして全国各地の地域課題解決に携わる著者の筧裕介さんは、ここ数年、地域づくりの現場でSDGsを活用してきた。
例えば「人口減少」という課題は「産業衰退」「地域内消費の減少」などとつながっているが、個別に対処されることが多い。しかし本来、地域は「多くの生命体がつながり連鎖している生態系」。課題も解決策もつながっている。
持続可能な地域づくりには「住民、事業者、農家、行政、NPO、自治会、商工会、農協、学校などの個別の立場や組織を超えて、産業・環境・教育・医療・福祉・防災・まちづくりなどの領域を超えて、持続可能な地域の未来を実現するための活動」が必要となるが、実際の現場では、行政VS民間、若者VS年配者、地元住民VS移住者など、さまざまな「分断」が起きている。
そこで筧さんは組織やセクターを超えて話し合える「共通言語」や、目指す方向性を共有できる「未来地図」としてSDGsを活用している。
島々にはすでにSDGsと呼べる取り組みも見られるが、あらゆる問題や解決策のつながりを可視化するSDGsアプローチを取り入れることで、その持続可能性はさらに広がっていくだろう。