つくろう、島の未来

2024年11月10日 日曜日

つくろう、島の未来

SDGsを概ね理解できても、自分や地域とのつなげ方が分からないというも人もいるだろう。そこで、リトケイ読者に向けて、地域づくりの実践にSDGsの考え方を用いる手法をまとめた一冊『持続可能な地域のつくり方』を紹介したい。

※この記事は『季刊ritokei』31号(2020年02月28日発行)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

持続可能な地域づくりの現場で実践できるSDGsの使い方

SDGsはその主語が地球規模である分、自分とは関係のない、どこか遠い世界の話をしているように聞こえる人も少なくないだろう。そんなSDGsを「持続可能な地域づくりに使える」と考え、実践方法を紹介するのが『持続可能な地域のつくり方』である。

持続可能な地域のつくり方未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン』 
(著・筧裕介/英治出版/2,400円+税)

デザイナーやコンサルタントとして全国各地の地域課題解決に携わる著者の筧裕介さんは、ここ数年、地域づくりの現場でSDGsを活用してきた。

例えば「人口減少」という課題は「産業衰退」「地域内消費の減少」などとつながっているが、個別に対処されることが多い。しかし本来、地域は「多くの生命体がつながり連鎖している生態系」。課題も解決策もつながっている。

持続可能な地域づくりには「住民、事業者、農家、行政、NPO、自治会、商工会、農協、学校などの個別の立場や組織を超えて、産業・環境・教育・医療・福祉・防災・まちづくりなどの領域を超えて、持続可能な地域の未来を実現するための活動」が必要となるが、実際の現場では、行政VS民間、若者VS年配者、地元住民VS移住者など、さまざまな「分断」が起きている。

そこで筧さんは組織やセクターを超えて話し合える「共通言語」や、目指す方向性を共有できる「未来地図」としてSDGsを活用している。

島々にはすでにSDGsと呼べる取り組みも見られるが、あらゆる問題や解決策のつながりを可視化するSDGsアプローチを取り入れることで、その持続可能性はさらに広がっていくだろう。

特集記事 目次

特集|島と世界とSDGs

SDGsという言葉がよく耳にはいるようになった。 この言葉の意味は、地球環境の問題、人間社会の問題、社会を支える経済の問題に対して地球規模で呼びかける「持続可能な開発目標」である。 島に住む人も、大都会に住む人も、老いも若きも、どんな人も、どんな生物も、皆、同じ地球の上で暮らしている。 SDGs は、そんな地球で起きている問題を地球規模で考え、行動しようとする運動とも捉えられるが、地球上で起きている問題は複雑に絡み合っているため、「持続可能な開発目標」も複雑に絡み合っている。 故に、とても分かりにくい。 しかしである。 リトケイが調べに調べ、感じたのはSDGs が「島の未来づくりに使えるツールかもしれない」ことだ。 そこで31号特集では、島の未来が健やかに続くことを願う人にこそ知ってもらいたい島と、世界と、SDGs の話をお届けする。 この特集は有人離島専門フリーペーパー『季刊リトケイ』31号「島と世界とSDGs」特集(2020年2月28日発行)と連動しています。

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