つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

6月30日、政府は日本再興戦略を閣議決定した。同戦略には、離島地域や本土側のへき地における服薬指導にテレビ電話を活用できる特例が盛り込まれる。離島の処方事情を、種子島の薬剤師に聞いた(※タブロイド紙『季刊リトケイ』14号掲載ニュース)。

■本土へのアクセスや交通時間の制限を軽減。処方鑑査に新たな課題

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2015年6月30日、政府は成長戦略の一部として「『日本再興戦略』改訂2015-未来への投資・生産性革命-」を閣議決定した。戦略には、「テレビ電話を活用した薬剤師による服薬指導の対面原則の特例」が盛り込まれ、今後、医療機関や薬局といった医療資源が乏しい離島やへき地における服薬指導で、テレビ電話を活用できるよう、法的措置が進む。

従来の服薬指導は「対面」が原則。薬剤師のいない島の住民は、処方薬を得るために本土の病院や薬局に通う必要がある。また、帰島に際し、フェリー等の出発時刻があるため、処方鑑査で薬剤師に相談する時間を十分に取れない場面も多かった。

種子島(鹿児島県西之表市)の「のぞみ薬局」に勤務する管理薬剤師・溝川友貴さんは、特例について「種子島のような大きな島には薬局があるため変化は少ないが、薬局のない島では、本土へのアクセスや交通時間の制限がなくなり、利便性が増すのではないか」と話す。一方、「対面での処方では、利用者のしぐさや声の雰囲気等を含めて薬への理解度を見ることができる。テレビ画面越しの顔や、機械を通した声によるコミュニケーションで、どこまで利用者の理解度を測ることができるか」と課題を挙げた。

「とはいえ、島では3カ月に1度、本土の薬局に通い、90日分の薬を処方してもらう住民もいる。月に1度、画面を通じて薬剤師とコミュニケーションを取ることができるようになるといい」(溝川さん)。テレビ電話での処方が可能になった場合、利便性を求めるあまりに病院や薬局に足を運ばなくなるなどの懸念もあるが、処方のために本土へ通う離島住民にとっては朗報となる今回の規制緩和。今後の行方に注目したい。

     

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