つくろう、島の未来

2024年10月13日 日曜日

つくろう、島の未来

リトケイは、日本の魚食文化を未来につなぐことをミッションに活動するChefs for the Blue(シェフスフォーザブルー、以下C-BLUE)と協力し、島々の未利用魚・低利用魚を活用したレトルト食品「おいしく食べて海もよろこぶお魚スープ」を開発。

「毎日の食卓に感動と冒険を」をコンセプトに、離島も含めた全国の海産物を扱う魚屋sakana bacca(以下、サカナバッカ)の都内三店舗にて、一般流通を見据えたテスト販売を行いました。

2024年2月23日(金・祝)〜25日(日)の三連休に開催され、合計200食を販売した試食販売会の様子をレポートします。

2021年より「島の魚食」を盛り上げるプロジェクトを継続するリトケイは、豊かな海と日本の魚食文化を未来につなぐことをミッションに活動するC-BLUEと共に、島々の未利用魚や低利用魚を活用したサステナブルで海の学びにつながる商品づくりに取り組んでいます。

本企画は、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

3島3種の「おいしく食べて海もよろこぶお魚スープ」を開発

リトケイがC-BLUEと協力し商品開発に取り組んだのは、弓削島(ゆげじま|愛媛県)のチヌ、対馬島(つしまじま|長崎県)のアイゴ、与論島(よろんじま|鹿児島県)テングハギの3島3種の魚たち。

弓削島のチヌと対馬島のアイゴは、海藻をよく食べるため、藻場が消えて海が砂漠化する「磯焼け」の一因とされています。与論島のテングハギは、おいしく食べるための下処理に手間がかかるため、地元でもあまり食べられていない魚です。

これら未利用魚・低利用魚の需要をつくることは、これまで値が付かなかった魚の価値を高めて漁業関係者の新たな収入源をつくり、生態系のバランスを整えて島周辺の豊かな漁場を守ることにつながります。

アイゴやイスズミなど食害魚の活用による磯焼け対策に取り組む長崎県対馬島。新たな需要をつくることで島の取り組みの後押しに

商品開発にあたり、魚種によっては独特のクセが出やすいことが課題でした。そこで各産地の協力のもと、魚をおいしく味わえるよう、水揚げされた新鮮なうちに内蔵の除去などの処理を施し冷凍したものを使用。

C-BLUEのメンバーとして活動する恵比寿のフレンチレストラン「アムール」の後藤祐輔シェフの手で、それぞれの魚の魅力を引き出すスープのレシピを考案しました。

国産食材を活かすフランス料理に長年取り組み、海の社会課題への意識も高い後藤祐輔シェフが、島々の魚をおいしく味わうメニューを考案

離島の産品には、製造や保管、流通にかかるコストも悩みの種。今回は、保管流通のコストが抑えられ、かつおいしく食べられるレトルト食品を目指して開発を進めました。

そして2024年2月、つくりたてのおいしさを再現する高度なレトルト加工により、常温で半年間の保存性を備えた3島3種の「おいしく食べて海もよろこぶお魚スープ」がついに完成!一般流通を見据えたテスト販売を行うこととなりました。

後藤シェフのレシピをもとに試作を重ね、常温で半年間保存が可能なレトルトスープが完成

お魚好きが集まる「魚屋sakana bacca」で試食販売!さて反響は?

2024年2月23日(金・祝)朝、サカナバッカ中目黒・都立大学・中延の店頭に設けられた特設コーナーで、「おいしく食べて海もよろこぶお魚スープ」の試食販売会がスタートしました。

当日は雨で肌寒い天気の中、子どもから高齢者まで幅広い層の方が次々と来店。チヌ、アイゴ、テングハギのイラストをあしらったポスターに彩られた楽しい雰囲気の中、リトケイのスタッフが来店客に温めたスープを試食提供。商品開発の背景が書かれたチラシも配布しました。

試食中は、スタッフがスープの背景にある島や魚について紹介。海底の磯焼けや漁獲量の低下などの一方で、未利用魚が廃棄されていることなど島々の漁業を取り巻く課題も説明し、来店客はスタッフの説明に耳を傾けていました。

サカナバッカ中目黒
サカナバッカ都立大学
サカナバッカ中延

チヌ、アイゴ、テングハギは、ほとんどの方にとって馴染みのない魚種だったそうで「初めて食べたがおいしいですね」との声に、スタッフも笑顔に。「島々の海の課題は知らなかった」とのコメントも多く寄せられました。

サカナバッカ中目黒の販売コーナーには、大学で海洋政策を学ぶ学生も来店。「企画に興味がわいて来店。どのスープもおいしい!島々の海の課題は知らなかったので勉強になった」と話し、全種類を1点ずつ購入していました。

試食をした来店客への聞き取りとアンケート調査より、一部を抜粋してご紹介します。

・パッケージのデザインがかわいくて目を引きました。3種とも口に合いましたが家庭ではつくれないような味わいで、とても特別に感じました(40代女性)

・3種類とも違う食感が楽しめ美味しかった。珍しいお魚が食べられて良かったです(40代女性)

・魚の味がしっかり分かるフィッシュボールが良いですね。レトルトなら手軽に楽しめそう(40代ご夫婦)

・アイゴのスープはスパイスが効いていて美味しかったです。具沢山なのも良かった(40代女性)

・低利用魚とは思えないほど臭みなどなく美味しかったです。今後もぜひ買いたいと思いました(50代男性)

温めたスープを試食提供しながら商品開発の背景を記したチラシを配布、海の環境や島々の漁業をとりまく課題を発信

2月26日(日)まで3日間にわたり開催された試食販売会は、島々の未利用魚や低利用魚をおいしく味わい、海の環境や島々の漁業をとりまく課題に目を向けていただくきっかけとなりました。

最終日までに、3店舗で合計200食のスープを販売。2023年夏から商品開発に取り組んできたプロジェクトチームにとって、大いに手応えを感じられた販売会となりました。

サカナバッカを運営する株式会社フーディソンの開催報告も併せてご覧ください。

>>【開催報告】サカナバッカ、磯焼けを起こすアイゴとチヌ、低利用魚テングハギを活用した3種の新スープをテスト販売。海の課題改善につなげたい


【関連情報】
>>sakana bacca公式HP

     

関連する記事

ritokei特集