つくろう、島の未来

2024年04月20日 土曜日

つくろう、島の未来

新聞づくりを通して海と島でできた日本を学ぶ学習プログラム『うみやまかわ新聞』の2015年度版が完成。新聞づくりに参加した、5地域の島々の記事と発表会の様子をご紹介。

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小学校高学年向けの総合学習プログラムとして、2014年度からスタートした『うみやまかわ新聞』は、「新聞づくり」を通して海と島でできた日本を学ぶプロジェクト。今年度も全国の小学生が参加し、2月1日に2015年度版が完成した。

新聞づくりを行った離島地域5カ所[利尻島(りしりとう|北海道利尻町)/家島(いえしま|兵庫県姫路市)/弓削島(ゆげじま)・生名島(いきなじま)・佐島(さしま)・岩城島(いわぎじま)・高井神島(たかいかみしま)・魚島(うおしま)など(愛媛県上島町)/対馬島(つしまじま|長崎県対馬市)/津堅島(つけんじま|沖縄県うるま市)]を含む全国12地域の子どもたちが東京に集まり、2月21日に発表会を行った。この連載ではプロジェクトに参加した離島地域を中心に、発表会の様子と実際の記事の内容を全5回にわたって紹介する。

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全国からスカイツリーに集結

「うみやまかわ新聞」プロジェクトは開始から2年目。1年目は離島3地域を含む5地域の参加だったが、今年度の参加は離島5地域を含む12地域に倍増した。

さらに、前年度は地域導入という形を取り、各地域で活動する団体・教育機関などの協力のもと、土日や放課後の課外活動としていたが、今年度は10地域が小学校の総合学習の時間を利用する授業として実施された。

テレビ電話会議システムを使って、離島経済新聞社スタッフが講師となり、半年以上をかけて新聞づくりについて学び、実際に地元の取材をし、原稿・イラスト制作、校正などを経て形になった「うみやまかわ新聞」。子どもたちの思い入れはひとしおである。

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2月20日、全国の人々に新聞をプレゼンするという使命を持ち、それぞれの地域から選ばれた代表児童や引率の先生、地域コーディネーターなど、総勢70名ほどの参加者が東京に集結した。翌日の発表会に備え、地域間交流や発表の練習を行った。

いよいよ当日。東京ソラマチ®のイベント会場では、開会する直前まで、あちこちから原稿を読む声が聞こえてくる。集まった児童の誰に尋ねても「緊張しています」の答え。会場には、子どもたち、その家族や取材陣含めて、100人以上が詰めかけて、発表を待ち構えている。いよいよ、鯨本あつこ統括編集長のあいさつの後、利尻島の発表からスタート。

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「利尻においでよ」と誘う紙面

利尻島は地域導入で、利尻町教育委員会が主催している利尻町青少年リーダーの会「若葉」のみなさんが参加。小学校1年生から6年生まで、幅広い年代の子どもたちが力を合わせて、新聞をつくりあげた。発表会当日は小学校6年生の8人が登壇し、揃いのりしりん(※)のはっぴを着て、それぞれが書いた記事を紹介。利尻の魅力をアピールした。

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利尻島の「うみやまかわ新聞」のテーマは「楽しい利尻」。一面記事は「利尻のシンボル利尻山」だ。

利尻島の中心に位置し、「利尻富士」とも呼ばれる利尻山は、島の住民にとって精神的主柱ともいうべき大事な山。記事では、情景が浮かんでくるような登山ルートの説明に心踊る。見どころやかかる時間の目安、コースごとの違いもしっかりと描写しているのだ。この記事を作成した動機について、「利尻山について知って、実際に登山してほしいから」と菅原実菜美さんはいう。

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ほかにも、利尻島の沼を地図とともに紹介した記事や、島内3箇所の湧き水について味の違いがあることに言及した記事…と、行ってみたい、確かめてみたいと思わせる記事が並ぶ。

それもそのはず、新聞を読んだ人に感じて欲しいこととして「利尻島内の有名な食べ物や場所について、観光客に楽しんでもらえるようなことを載せているので、利尻に来て欲しいです」と発表。

利尻島の子どもたちの身近にある「観光」への視点を持ちながら、新聞づくりに取り組んだことが、紙面と発表から伝わってきた。利尻島版の『うみやまかわ新聞』は、楽しくも学びの多いガイドマップとしても活躍しそうである。

※りしりん…利尻昆布から誕生した利尻町のゆるキャラ

[#02 家島(兵庫県姫路市)編へ続く]


【関連サイト】
うみやまかわ新聞公式ホームページ
※実際の紙面に掲載された記事はこちらから読むことができます。

離島経済新聞 目次

島と海でできた日本を学ぶ 『うみやまかわ新聞』プロジェクト

『うみやまかわ新聞』は小学校高学年向けの教育プログラムとして、「地域への愛着の醸成」「同年代児童とのコミュニケーション機会の提供」「情報の基本知識(メディアリテラシー)」などを目的に小学校の総合的な学習の時間や地域活動の一環として導入しています。2016年度は7つの離島地域を含む全国14地域の児童が「うみやまかわ新聞」を制作しました。


<2016年度参加離島地域>

利尻島(北海道利尻町)/沖島(滋賀県近江八幡市)/弓削島・生名島・佐島・岩城島・高井神島・魚島など(愛媛県上島町)/対馬島(長崎県対馬市)/口永良部島(鹿児島県屋久島町)/沖永良部島(鹿児島県和泊町)/津堅島(沖縄県うるま市)


<プログラム概要>

このプログラムでは1年間に20コマ(1コマ×45分)ほどを使い「メディアリテラシー」「地域情報のリサーチ」「取材」「原稿制作」「校正」などを学びながら、自らが暮らす地域を紹介する新聞を制作。離島経済新聞社が講師を担当し、学校の先生や地域コーディネーター(※1)と連携して授業を行います。

毎回の授業は「テレビ電話システム」も活用。関東や沖縄など各地にいる講師陣と小学校とを接続して実施。テレビ電話を使うことで、遠く離れた地域ともリアルタイムな授業ができ、参加地域同士を接続した交流授業も行います。

新聞完成後には、東京スカイツリーで「2016年度うみやまかわ新聞完成発表会」を開催。各地域の代表児童が東京に集まり、地域のことや制作した新聞について発表しました。

※1 地域コーディネーター……授業のファシリテーションやICT機材の接続など、小学校と離島経済新聞社をつなぐ役割として、実施地域に詳しい方や地域で活動している方にお願いしています。

詳細は『うみやまかわ新聞』公式サイトをご覧ください
http://umiyamakawashinbun.net/

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