「リトルコミュニティの経済学」ゲスト講師② 海士町・巡の環 信岡良亮さん。人口2,331人の島根県海士町で信岡良亮さんは5年前にベンチャー企業「巡の環(めぐりのわ)」を起業。各講師の紹介と、注目理由についてお1人ずつご紹介します。
【第2回】海士町・巡の環 信岡良亮さん
人口2,331人の島根県海士町は、年間に生まれる子どもは約10人で人口の4割が65歳。超少子高齢化の過疎地域で信岡良亮さんは5年前にベンチャー企業「巡の環(めぐりのわ)」を起業しました。
最近、信岡さんは巡の環代表取締役の阿部裕志さんと、移住〜起業〜現在までに起きてきたことを『僕たちは島で、未来を見ることにした(木楽舎)』という本にまとめました。この本には「土地の流儀との出会い」「島とともにある会社へ」「海士から見えた、僕たちの未来」といった章だてで、離島暮らしから学び、考えてきたことが記されています。
お二人は「くらし」とは「人と自然のバランス」、「しごと」とは「人と人のバランス」、「かせぎ」とは「働きバランス」とし、「この3つのバランスを保とうと意識しているから、風習や文化を未来に残し、地域コミュニティを良好に保つことができる」と言います。
離島は本土との間に「海」があるため何を運ぶにもお金と時間がかかる場所。経済の中心から遠く離れた離島地域は、世界の課題先進国とされる日本の中にある「日本の縮図」と言われています。
「海士を縮図として見たとき、社会を地域の『しごと』が維持しているように、地球規模でも、こうした維持管理をしていく目線を持つ企業が生まれていかなければ、地球は未来において、今の状態を保てないでしょう」(著書内、信岡さんの言葉より)
超高齢化地域ではIターン者が待望される一方、昔から暮らしてきた人間と、外から入ってくる人間との折り合いが課題となる地域も少なくありません。海士町で生まれの島人はこう言われています。
「産業創出の観点からすれば、地域の土着民とよそ者が共存しているほうがうまくいく。世の中に何かを発信して、経済の歯車を動かして稼ぎを得ていくというのは土着民だけだ」(著書内、島人の言葉より)
小さな離島で「未来をみることにした」信岡さんに、小規模・離島地域が経済的に成り立つにはどうしたらよいか?と投げかけると「友達をつくること」と教えてくれました。信岡さんの講義では「よそ者」として地域にはいり、地域とともに実行されているファン作りを中心にお話を伺いたいと思います。
【第2回】2013年3月2日(土)15:00~17:30
「人口 2000人台の海士町で取り組まれているファンの作り方」
巡の環 取締役 信岡良亮氏
1982年生まれ。大阪府出身。同志社大学卒業。ベンチャー企業に勤めた 後、2007年11月に海士町へ移住。株式会社 巡の環を仲間とともに設立。隠 岐諸島の海士町にある「まちづくり会社」。海士町の魅力化を行い、島に根付く「地域づくり事業」をはじめ、イオングループなどが参加する企業研 修・五感塾などの島から学ぶ「教育事業」、特産品販売やweb制作などの島 を伝える「メディア事業」の3つを基幹事業とし、リアルとWebを問わず 様々なイベントを企画運営する。著書「僕たちは島で、未来をみることに した』(木楽社) 巡の環 >>
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