つくろう、島の未来

2024年12月09日 月曜日

つくろう、島の未来

長崎県内の離島地域で利用できる地域通貨「しまとく通貨」。2013年度の導入開始から3年目を迎える現在までの成果と課題を、発売元のしま共通地域通貨発行委員会に伺った。

■地域通貨をきっかけに小売店の連携に兆し

「しまとく通貨」は有人離島数では47都道府県のうち全国一を誇る、長崎県の離島地域で利用できる地域通貨。2013年度に導入をスタートし、島外から訪れる旅行者向けに販売されている。2014年度の販売実績は、当初目標であった60万セットを上回る、87万セットに上った。

販売元は、長崎県と有人離島を有する7市町(対馬市、壱岐市、新上五島町、五島市、小値賀町、佐世保市宇久町、長崎市高島町)で構成される、しま共通地域通貨発行委員会。1セット5,000円で購入すると6,000円分の利用ができる「しまとく通貨」は、約1,200店舗の加盟店で利用できる。加盟店には宿泊施設、飲食店、交通機関、土産物店、レジャー施設などが含まれ、島外から訪れる観光客のほか、学生のサークル合宿、修学旅行などでも活用されている。

導入のきっかけは、2011年に行われた県内の離島地域における「交流人口の低下」や「少子高齢化」の対策として発足した検討会で、県の職員が地域通貨の導入を提案したことにはじまる。

2013年度の導入以来、加盟店では顧客単価が増加するという成果が出ている一方、各店のキャッシュフローの安定確保や、交流人口増加に向けた施策の必要性など、課題も挙がっている。同委員会主事の久保雄策さんは「地域通貨は誘客の補助ツールのため、交流人口の増加を直接促す手段になっていない。今後は離島地域に行きたいと感じてもらえるように観光産業を磨くことが必要」と話す。

導入から3年目を迎え、最近では各地で協議会が発足され、加盟店同士で助け合う動きも出てきている。「高齢になり自身の民宿で食事を提供できなくなった加盟店の方に対して、飲食店を経営する別の加盟店の方が『うちで食事を提供する』と言って助ける姿が見えてきた」(久保さん)。

離島地域の交流人口増加や、少子高齢化対策の一手として期待される「しまとく通貨」。久保さんは「離島地域の人口課題は瞬間的に改善できることではないため、じっくり取り組んでいきたい」と展望を語った。


【関連サイト】
しまとく通貨ウェブサイト

     

関連する記事

ritokei特集