つくろう、島の未来

2021年02月25日 木曜日

都会で暮らしている若者らが地方へ移住し、その地域での定住を視野に「まちおこし活動」に従事する国の「地域おこし協力隊」制度。創設当初、100人に満たなかった隊員数は、10年で5,000人以上にまで膨れ上り、都市部から地方へ人を呼び込むきっかけにもなっている。離島でも多くの「隊員」が活躍している、この制度の概要をまとめた。

(取材・文 竹内章)

「地域おこし協力隊」時代、筆者らが実施した長崎の特産品「かんころもち」づくりイベント(平成27年11月、長崎県新上五島町で)

離島をはじめ全国の地方で隊員がまちおこし活動に従事

「地域おこし協力隊」制度は、人口減や高齢化が著しい地方に都市地域から人を呼び込み、地域協力活動に従事してもらいながら、定住につなげることを目的として2009年度にスタートした。

隊員は地方自治体が受け皿となり、最長3年間の期限付きで、地域の魅力発信や特産品の開発といった地域おこし活動や農林水産業の支援、住民の生活サポート業務などに取り組んでいる。

初年度の2009年度は、全国の31自治体でわずか89人が活動するのみだったが、協力隊が登場するTVドラマが放映されるなどし、次第に認知度が高まり、2019年度には1,071自治体で約5,500人もの隊員が活動。地方移住への足掛かりとしても定着した感があり、有人離島数が全国一の長崎県をはじめ、全国の島々でも数多くの隊員が日々、活動に汗を流している。

2019年度ベースでみると、全国で最も隊員の受け入れ数が多いのは北海道で655人。長野県422人、高知県206人と続いている。

「地域おこし協力隊」といえば、若者が活動しているイメージが強いものの制度上、年齢制限は設けられていない。

2019年度ベースでみると、やはり20、30代が全体の7割近くを占めているものの、50代以上も約1割。若者だけでなく「ベテラン」も力を発揮する場がある。ただ、募集主体となる地方公共団体の判断で、年齢制限が設けられているケースもあり、注意する必要がある。ちなみに男女比は、男性:女性=6:4となっている。

隊員を受け入れる地方公共団体の財政負担はゼロ

協力隊事業の実施主体は地方公共団体だが、必要な経費は、国から地方公共団体へ特別交付税の形で措置されている。この基本的に地方公共団体側の財政負担がない「非常に使い勝手のいい仕組み」が、全国で隊員が増加してきた要因になっていると考えられる。

隊員の活動に要する経費は、1人当たり年440万円が上限。内訳は、隊員への報酬などに240万円(最大290万円まで弾力的に支給することも可能)、日々の活動に必要な経費として200万円がそれぞれ上限として認められている。

さらに、起業や事業承継(事業の経営を引き継ぐこと)に関する経費として隊員1人当たり100万円を上限に認めており、隊員が任期後も地域に残る選択肢を資金面で後押ししている。

隊員を受け入れる地方公共団体向けの直接的な支援策としては、隊員の募集に要する経費として1団体当たり200万円を、地域おこし協力隊として活動する前に一定期間、地域協力活動を体験し、受入地域とのマッチングを探る「おためし地域おこし協力隊」に必要な経費として100万円が、それぞれ国から交付されている。

制度の仕組み自体は素晴らしいが……

制度開始から10年を経て、順調に隊員数を伸ばしてきた協力隊制度。全国各地で実績を残す隊員を生んできた一方、力を発揮できず赴任地を去った隊員も多い。

筆者自身も2015年から3年間、長崎県の離島・五島列島(ごとうれっとう)の新上五島町(しんかみごとうちょう)で地域おこし協力隊として活動し、任期満了後も島に残りフリーランスのライター/コンサルタントとして起業した経緯がある。

個人的には、協力隊という制度自体は非常に素晴らしいと考えているが、受け入れる側の地方公共団体にも、応募する隊員側にもまだまだ課題があると感じている。次回以降、制度が抱える問題などにもスポットライトを当てていきたい。

離島経済新聞 目次

島×制度・法律

島で暮らしていくために知っておきたい法律や制度について、長崎県・五島列島在住の島ライター・竹内章が分かりやすく解説します。

竹内 章(たけうち・あきら)
1974年生まれ、富山県出身。元中日新聞社記者。フリーライター。

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