7月27日、東京都港区で「日本の国境に行こう!!」プロジェクトの記者発表会が開催され、「特定有人国境離島地域」に指定された25市町村の首長らや関係8都道県の担当者らが参加した。
「日本の国境に行こう!!」を合言葉に新たな離島振興がスタート
今年4月に施行された「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(以下「有人国境離島法」)は、人口減少が進む国境離島地域の無人化を防ぎ、国境離島を保全していくことを目的に制定された10年間の時限立法だ。
有人国境離島地域のうち、地域社会を維持するために早急な居住環境整備が必要と認められる29市町村71島が特定有人国境離島地域(※1)として指定される。
※1……北海道、東京、新潟、石川、島根、山口、長崎、鹿児島の8都道県29市町村の計71島。
有人国境離島法の施行に伴い「特定有人国境離島地域社会維持推進交付金(以下、地域社会維持推進交付金)」が創設され、特定有人国境離島地域に対する、離島住民の運賃や物資輸送コストの低廉化、雇用機会の拡充、滞在型観光の促進など、事業への交付金活用が始まっている。
離島活性化のカギは「交流人口」
「日本の国境に行こう!!」プロジェクトは海と島でできた島国日本の国境が離島地域にあることを改めて考え、そこにある原風景や食文化、独自の知恵や暮らしに触れ、学び、食べ、観光することで有人国境離島地域が盛り上がることが目的。
プロジェクトを推進するため、特定有人国境離島地域プロジェクト推進アドバイザー(※2)が配置され、 地域社会維持推進交付金を活用した事業支援のほか、国の実証実験としてシンボルプロジェクトが実施される。
※2……産品、観光、人材育成の分野の専門家を内閣府が委嘱し、交付金事業の支援やシンボルプロジェクトの現地調整などを行う人材。
シンボルプロジェクトとは、特定有人国境離島地域にて交付金活用が促進されるためのモデルとなる取り組みを指す。
現在、「鮮魚流通の開発と販路拡大」「活魚ネットワーク」「国境離島便 セレクトボックス」「アイランドホッピング・ツアー」「日本の国境に行こう!! ホームページ」を構築する5つのシンボルプロジェクトが進行中だ。
記者発表では、松本純海洋政策担当大臣が「これから、『日本の国境に行こう』を合言葉に市町村、都道府県、事業者そして住民など関係者が一丸となって国境の島を盛り上げ、それぞれが主体となって活性化の取り組みが進められることと思います」と期待を込めた。
また、UIターンの促進や産業振興など、独自の地域づくりで注目を集める隠岐諸島の離島、海士町の山内道雄町長は「離島というのは交流人口があってこそ、島の活性化、持続性がある」と述べ、現在、離島住民向けに実施されている運賃低廉化策を、島外から島を訪れる旅行者などにも拡大させたい考えを示した。
【関連サイト】
日本の国境に行こう!!ホームページ