リトケイ編集部の島酒担当記者、石原です。「島酒日記」では、取材をしながら出会った島酒や島酒の造り手さんたちのことを徒然にお話ししています。
2月下旬に東京・千代田区の「カフェ&和酒 N3331」(※現在は閉店)で催された、沖縄離島泡盛フェアのイベント「沖縄離島・久米島の泡盛と島の魅力を語る会 〜スペシャルトーク米島酒造〜」に遊びに行ってきました。
今回伺ったのは沖縄の沖縄観光コンベンションビューローが2月上旬から末まで実施した「OKINAWA離島泡盛フェア 〜沖縄離島の酔い心地〜」の一環で催されたトークイベント。
久米島(くめじま|沖縄県)には、株式会社久米島の久米仙(代表銘柄「久米仙」)と、米島酒造株式会社(代表銘柄「久米島」)2つの泡盛蔵がありますが、そのうちの一つ、米島酒造さんがいらっしゃると伺い、島酒の造り手さんにお会いするのを楽しみに、いそいそと会場へ向かいました。
写真は田場俊之さん。久米島で1948年から続く米島酒造株式会社の4代目です。2000年から蔵入りし、先代とともに親子で酒造りに取り組んできた田場さんが、久米島で造られる琉球泡盛のおいしさの秘密や、楽しみ方の流儀を語ってくださいました。
久米島は昔から豊かな森を擁し水に恵まれた島で、かつては水稲栽培が盛んな米どころでした。蔵の名前は、泡盛の原料でもある米が豊かに稔る島をイメージし、「米島酒造」と名付けられたそうです。蔵のロゴマークは、「米」の字をベースに、蔵の周辺にもよく現れるクメジマボタルを清流の象徴としてあしらっています。
久米島は水が豊富なだけでなく、多様な地質が密集した地層がフィルターになり、水質にも恵まれているのだとか。「焼酎・泡盛は仕込み水と同じ地元のお水で割るのが最高」といいます。久米島へ行ったら、島のお水で泡盛を割って飲むべし。
右から「久米島」43度、「久米島」30度、「星の灯」25度、「美ら波」40度、「美ら蛍」30度
田場さんのトークに続く立食パーティーでは、米島酒造が造る泡盛が飲み放題でした!提供された銘柄はこちら。瓶やラベルのデザインに、久米島の美しさを表現しようとの蔵元の心意気を感じます。
そんな田場さんが推奨する泡盛の楽しみ方は、まず度数の高いものから始め、次に度数の低いものや水割りなどに移る飲み方。「酔ってしまう前の味覚がはっきりしているうちに、濃いお酒をしっかり味わっておくのがオススメです」と田場さん。なるほど。
ストレートの「久米島」43度を口に含むと、トロリとして度数の高い割にアルコールの尖り感はなく、やわらかい飲み口。これは「仕次ぎ」(※)という泡盛の長期熟成技法のたまものです。凝縮した濃厚な香りも味わえました。
※貯蔵年数ごとに貯蔵タンクを分け、減った分だけ一つ若いタンクから原酒を注ぎ足す貯蔵法。揮発による風味のボケを補いながら長期熟成を可能にする泡盛の知恵
久米島で養殖された車エビや、海ぶどう、島らっきょうなど、久米島産の食材を使った料理も提供されました。以前こちらの記事で書きましたが、久米島では低温で雑菌が少なくミネラルが豊富な深層水が水産業や農業、特産品開発などに活用されています。海洋深層水関連産業で年間20億円超もの売り上げを出しているというから、すごい。
そんなことを思いつつ、絶品の「島らっきょう味噌」を舐めながら泡盛の杯を進めていると、「面白いものがありますよ」と薄グリーンのグラスを勧められました。
「58KACHASEA」(ゴーヤーカチャーシー)という泡盛ベースのカクテル。緑色に見えるのは「ゴーヤー」(にがうり)のフレークでした。
沖縄でポピュラーな野菜ゴーヤーと沖縄本島を縦断する国道58号線をかけ、グラスの中に浮かぶゴーヤーの粒を「カチャーシー」(かき混ぜる)することから名付けられたそうです。苦味はわずかで、ライムとトニックウォーターの酸味と炭酸で、爽やかに楽しめました。
沖縄県酒造組合と、沖縄で飲食に携わる8団体によって結成された「The泡盛カクテル推進協議会」が泡盛を盛り上げるために考案したカクテルで、那覇市内のいろいろなお店で提供されているそうですよ。
蔵元の話を聞いて島酒への想いが高まったところで、おいしいお酒とお料理を堪能し、ほろ酔い上機嫌で会場を後にしました。
米島酒造では蔵見学(※)も受け入れているそうなので、機会をつくって行ってみたいと思います。そのときは、この「島酒日記」でご報告しますね。
それではまた、良い酒を。
※要予約・日曜定休 受付時間10:00〜12:00、14:00〜17:00
電話098-985-2326/FAX098-985-2328(米島酒造株式会社)