つくろう、島の未来

2024年11月25日 月曜日

つくろう、島の未来

有人離島専門フリーペーパー『季刊ritokei』44号「シマ育のススメ」発行

11月14日に有人離島専門フリーペーパー『季刊ritokei』44号「シマ育のススメ」を発行しました。11月下旬より全国約1,300カ所の公式設置ポイントに設置され、配布閲覧がスタート、リトケイの姉妹メディア『シマ育コミュニティ』でも順次記事を公開していきます。44号の目次や見どころを紹介します。

リトケイではこの秋、姉妹メディア『シマ育コミュニティ』をスタートしました。

「シマ育」とは、互いに支え合える地域共生社会=シマの人・自然・文化の中で人間力を育むという意味の造語です。

都市部で育つ多くの子どもたちが、自然とも地域とも交わりにくい環境で育つ一方、海に隔てられ固有の文化が残りやすい離島地域では、今も「シマ育」が珍しいものではありません。

豊かな自然・文化・地域社会に囲まれた環境が拓く、子どもたちの可能性とは?この特集では、島での子育てについて有識者・地域・子ども・親の視点から考えます。

特集冒頭は、保育学や教育学の研究者として知られる汐見稔幸先生と、甑島(こしきしま|鹿児島県)で生まれ育ち「森のようちえん」などの活動を通して子どもの自然体験を支えてきた中能孝則先生による対談「人が育つ環境としての島という可能性」。

汐見先生は、チーム力やリーダーシップ、上手に失敗する力など、人間が社会を営むために必要とされる「非認知能力」に着目。自然があり、文化があり、人がいる離島地域の環境は、人間が育つ場として大きな可能性を秘めているのではないか?甑島出身の中能先生からは、島で育ったご経験を交えながら意見をいただきました。

本特集では、2020年発行の『季刊ritokei』特集「子どもは島で育てたい」にもご登場いただいた、早稲田大学名誉教授・根ヶ山光一先生に改めて取材しました。

多良間島(たらまじま|沖縄県)の共同養育文化やアロマザリング(※)の研究者である根ヶ山先生が考える、子育て環境としての島の価値「島と都会の親子はクマノミとイソギンチャクのように」をお届けします。

※親以外の人が子育てに積極的に関わる事

島に限らず、子どもたちの日常ではデジタル環境が身近になっています。スマートフォンやオンラインコンテンツと、どのように付き合えばいいのでしょうか?

「精神科医の視点で見るこの国の子どもたち」では、子どもの問題に詳しい精神科医・松本俊彦先生に話を聞きました。

リトケイ編集部では、本特集制作にあたり、リアルな島の声を届けるためのアンケートを実施しました。

「読者に聞いた島の子育ての魅力と課題」では、実際に島で子どもを育てる親が、日頃感じている島の課題や魅力をコメント。

「島での子ども時代に楽しかったこと」では、かつて島の子どもだった読者に、自身の体験を寄せていただきました。

島は人が育つ環境として大きな可能性を秘めていますが、子どもたちの数は2010年から現在までに2万人近く減少しています。「どう考える?子どもが減りゆく島とその未来」では、島の現状をどう捉え、どう切り拓いていくのか、リトケイ読者の意見を紹介します。

「子どもを育む島々のいろとりどりのシマ育」では、トカラ列島(鹿児島県)、高島(たかしま|佐賀県)、口永良部島(くちのえらぶじま|鹿児島県、知夫里島(ちぶりしま|島根県)、天売島(てうりとう|北海道)5島の離島留学を紹介。

それぞれに特長ある離島留学の詳細は、ウェブメディア『シマ育コミュニティ』にて順次掲載します。

学校は、子どもたちが1日の中で一番長い時間を過ごす環境。魅力的な学校を求めたいものですが、島外から赴任する先生が集まる離島地域では「島をネガティブに思っている先生もいる」「先生の声が子どもたちに直接影響してしまう」などの問題も。

「子どもの学びと地域の未来のために。学校を支える工夫」では、屋久島(やくしま|鹿児島県)で生まれ育ち、環境教育や親子の自然体験に取り組む福本豪士さん、海士町(あまちょう)中ノ島(なかのしま)で学校経営補佐官を務める大野圭介さんと水谷智之さんに、学校を支える地域の取り組みについて伺いました。

11月上旬、リトケイは離島留学に関心を持つ読者と共に佐渡島(さどがしま|新潟県)へ行ってきました。「リトケイ読者と行ってきました!シマ育モニターツアー in 佐渡島」では、3家族が体験した佐渡島のシマ育環境をレポート。

「『シマ育』を深める島Books」では、子育て教育環境を魅力化するための具体策や、魅力化の先に起こる地域の変化など、「シマ育」をより深く知り、考えるためのおすすめ図書を紹介します。

インタビューページは、お笑いコンビ・ガレッジセールの川田広樹さんの「子どもたちに伝えたい命という宝」。

川田さんは、1972年、沖縄県が日本復帰を果たした年に生まれた「復帰っ子」のひとり。同級生らと共に制作に携わった、伊江島(いえじま|沖縄県)を舞台にしたドキュメンタリー映画『にげるは生きる〜結どぅ宝』への想いを聞きました。

島々に携わる仕事人の想いを紹介する「島々仕事人」は、北九州市を拠点に石ケン素地100パーセントの「無添加石けん」にこだわる「シャボン玉せっけん」の松永康志さんが登場。

2021年、地島(じのしま|福岡県)で全島民が3カ月間石けん製品を使い環境調査を行った実証実験の結果や、2022年に開発した小値賀島(おぢかじま|長崎県)の海洋プラスチックを使った石けんケースなど、離島地域での取り組みについて聞きました。

島にまつわる本や映画などを紹介する「島Books & Culture」は、リトケイの公式設置ポイントより東京・浅草橋の書店「書肆(しょし)スーベニア」の酒井隆さんが選書を担当。「小さな経済圏と居場所づくりを考える」をテーマに5冊を紹介します。

400島あれば400通りある島の文化を島に暮らす文化人にご紹介いただく「島から島へ紹介したい島文化」、今回は「石を投げればミュージシャンに当たる」といわれる石垣島(いしがきじま|沖縄県)の岩倉千花さんの「ミュージシャンだらけのこの島で、今宵も酒を飲む。」をお届けします。

島に暮らす人の想いを届ける「島人コラム」は、新島(にいじま|東京都)出身で「アイランダー高校生サミット」の実行委員を務める菊池琉生さんや、佐渡島と答志島(とうしじま|三重県)で離島留学をサポートする石井沙耶さん、三好美咲さんの3名に寄稿していただきました。

2021年より「島の魚食」を盛り上げるプロジェクトに取り組むリトケイは、これまでの活動を発展させた新企画をスタートしました。

豊かな海と日本の魚食文化を未来につなぐことをミッションに活動するChefs for the blue(シェフスフォーザブルー)と協力し、島々の未利用魚や低利用魚などを活用したサステナブルなお魚商品の開発に取り組んでいます。

第一弾は、対馬島(つしまじま|長崎県)で海が砂漠化する「磯焼け」の一因となっている魚「アイゴ」を使った、おいしく食べて海を元気にするスープ。

「豊かな海と島の魚食文化を未来へつなぐサステナブルなお魚商品開発レポ」では、島の生産者に聞いた島ぐるみの磯焼け対策や、300食が完売した「海のごちそうフェスティバル」出展の反響をレポートします。

現在、瀬戸内海・弓削島(ゆげじま|愛媛県)のチヌや、奄美群島・与論島(よろんじま|鹿児島県)のテングハギを活用したメニューも開発中。今後も本プロジェクトにご注目ください。

9月30日、トカラ列島の7島をめぐる「トカラ列島マラソン」が開催されました。

「リトケイ西田の\完走しました!/トカラ列島マラソン日記」ではトカラマラソンを完走したリトケイの西田が、船で島々を巡りながら走るマラソン大会の様子を、写真たっぷりでお届けします。

「有人離島の人口変動」ページでは、平成27年・令和2年の国勢調査および、直近半年間の人口変動を3カ月ごとに掲載。離島留学や移住の参考にしていただける小学校・中学校・高校の設置状況も島ごとに掲載しています。ウェブ版『ritokei』有人離島一覧にも、同内容を掲載します。(12月中旬更新予定)

詳しくは『季刊ritokei』44号または、12月上旬よりウェブ版『ritokei』および姉妹メディア『シマ育コミュニティ』に掲載される記事をご覧ください。下記目次のリンクより、ウェブ版の記事をご覧いただけます(随時更新)。

ー シマ育のススメ ー

●人が育つ環境としての島という可能性(一般社団法人家族・保育デザイン研究所・汐見稔幸先生/NPO法人森のようちえん全国ネットワーク・中能孝則先生)前編後編
島での子ども時代に楽しかったこと(読者アンケート)
島と都会の親子はクマノミとイソギンチャクのように(早稲田大学名誉教授・根ヶ山光一先生)
読者に聞いた島の子育ての魅力と課題(読者アンケート)
精神科医の視点で見るこの国の子どもたち(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・松本俊彦先生)
●7島すべてが育みの場。島への思いは世代を巡る(鹿児島・トカラ列島)
元・島っ子の寮母は児童教育30年。愛された経験があれば頑張れる(佐賀・高島)
●留学生も縁故者も留学制度が「帰ってくる」きっかけに(鹿児島・口永良部島)
●若きハウスマスターチームが留学生のチャレンジをサポート(島根・知夫里島)
●働きながら学べる小さな島の定時制高校(北海道・天売島)
どう考える?子どもが減りゆく島とその未来(読者アンケート)
●子どもの学びと地域の未来のために。学校を支える工夫(屋久島・福本豪士さん/海士町・大野圭介さん、水谷智之さん)
●リトケイ読者と行ってきました!シマ育モニターツアー in 佐渡島
●「シマ育」を深める島Books

ー インタビュー ー

「子どもたちに伝えたい命という宝」ガレッジセール・川田広樹さん
「島々仕事人」シャボン玉せっけん株式会社・松永康志さん

ー 定番企画 ー

●有人離島の人口動態|島々の人口を3カ月毎にチェック!
島Books & Culture|小さな経済圏と居場所づくりを考える(書肆スーベニア・酒井隆さん)
島から島へ紹介したい島文化(石垣島・岩倉千花さん)
●島人コラム|新島佐渡島答志島

ー 特別企画 ー

豊かな海と島の魚食文化を未来へつなぐサステナブルなお魚商品開発レポ
リトケイ西田の\完走しました!/トカラ列島マラソン日記

【お詫びと訂正】
以下、新聞内表記に誤りがありました。正しくは以下の通りです。

▼P2「豊かな海と島の魚食文化を未来へつなぐサステナブルなお魚商品開発レポ」内表記
[誤]「アイゴは初めて食べたました。おいしいですね」
[正]「アイゴは初めて食べました。おいしいですね」

▼P10「島と都会の親子はクマノミとイソギンチャクのように」内表記
[誤]※2 以外の人が子育てに積極的に関わること
[正]※2 親以外の人が子育てに積極的に関わること


『季刊ritokei』は全国の公式設置ポイントにて配布・閲覧を行なっています。お近くの公式設置ポイントは一覧からご確認ください。

>>『季刊ritokei』公式設置ポイント一覧

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