つくろう、島の未来

2024年12月22日 日曜日

つくろう、島の未来

NPOリトケイ(特定非営利活動法人離島経済新聞社)は、2023年度、豊かな海と日本の魚食文化を未来につなぐことをミッションに活動するChefs for the Blue(シェフスフォーザブルー)と協力し、離島地域の未利用魚や低利用魚などを活用した、おいしく味わい、海を学べるサステナブルな商品開発に挑戦しています。

プロジェクトの第一弾は、対馬島(つしまじま|長崎県)で磯焼けの一因となっている「アイゴ」に着目。磯焼け対策の未利用魚活用で高評価を得る「丸徳水産」(長崎県対馬市)のアイゴを、恵比寿のフレンチ「アムール」の後藤祐輔シェフがアレンジした、スパイス香る「対馬島のアイゴと野菜の具沢山スープ」が完成しました。

同商品を、2023年10月21日(土)22日(日)、東京・二子玉川で催される「海のごちそうフェスティバル2023」で提供します。

本企画は、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

対馬島で進行する海の砂漠化「磯焼け」問題

対馬島は、九州と朝鮮半島の間に浮かぶ、日本で三番目に大きな離島。第一次産業の割合が19.9%と高く、特に漁業は15.5%で主要産業となっています(※)。

※平成27年国勢調査

漁業では、イカ、ブリ、サザエ、アワビ、ヒジキなど海藻類、マグロや真珠の養殖業のほか、アナゴの水揚げでは全国一を誇ります。

そんな対馬島では、近年、海藻が減少し海が砂漠のようになる「磯焼け」による魚の減少が問題となっており、漁業・水産業と自治体が連携し漁場の再生に取り組んでいます。

海藻が減少し海が砂漠化する「磯焼け」を起こした海底の様子

アイゴを食べて海の砂漠化を防ごう

海の中で海藻が密集して生息している場所を「藻場」といい、海水を浄化し、魚や貝のエサとなり、外敵から身を守る隠れ場になるなど、海の生き物を守り成長させるために大きな役割を果たしています。

対馬島で問題になっている磯焼けが起こる原因は、地球温暖化による水温の上昇や気候変動などにより、海藻が①植食動物に食べられる、②枯れる、③芽生えなくなる、④流失することにより発生すると言われています。

対馬島では、海藻をよく食べ磯焼けの一因とされるアイゴが近海に生息し、産卵期を迎える初夏に数多く網にかかります。従来、捕獲したアイゴは独特の磯臭さから食用されず、多くが廃棄処分されていました。そんな魚たちをおいしく食べられるようにすれば、海の磯焼けを防ぎ、新たな収入源として、漁業・水産業の振興に貢献することができます。

「アムール」後藤祐輔シェフより

「アイゴは身がしっかりして食べ応えがあり、加熱しても身崩れしないため煮込みに適した魚です。フランスの家庭料理『ガルビュール』をイメージして、魚の自然な味わいも楽しめるような味付けにしました。魚や豆、野菜、スパイスなどの風味を楽しんでいただけたらうれしいです」

後藤祐輔
1979年5月25日 東京都出身。『ミシュランガイド東京 2013』にて一つ星を獲得。以後7年連続で一つ星を獲得。2016年11月 シャンパーニュ騎士団より「シュバリエ・ドヌール」の称号を叙任。フランス料理の技術、精神をベースに『日本人の感性、感覚を大切にし、日本人でしか表現できないフランス料理』をテーマに、独自の世界観、理論に基づき、日々研鑽する。
https://gotoyusuke.jp/

「海のごちそうフェスティバル2023」NPOリトケイ出展概要(終了しました)

開催日時:2023年10月21日(土)11:00~20:00、 22日(日)10:00~16:00
会場:二子玉川ライズ(東京都世田谷区玉川1丁目14-1)
アクセス:東急田園都市線・大井町線「二子玉川駅」直結
https://www.rise.sc/access/
入場料:無料
出展内容:
・キッチンカーでのスープ提供(税込500円・300食)
・『季刊ritokei』配布(なくなり次第終了)
公式サイト:https://shoku.uminohi.jp/gochiso-fes/

     

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