つくろう、島の未来

2024年11月23日 土曜日

つくろう、島の未来

さまざまな仕組みによってその営みが支えられている島々。離島ならではの事情に配慮する上で欠かせない法律の一つに「離島振興法」があります。今回は、国土交通省の方に、国の支援メニューを活用するポイントや離島活性化交付金の活用事例を教えていただきました。

※この記事は『季刊ritokei』42号(2023年5月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

国による地域振興メニューは基本的に自治体を支援する仕組みになっているので、都道府県または市町村に予算をつけ、各島に支援がおりていきます。

そのため、うまく活用するためには「仕組みやメニューを自治体担当者が把握していること」や「支援事業予算の議会の承認がとれること」がポイントになります。

国の支援メニューを活用するには自治体側の費用負担があるため、市町村の全域が島となる全部離島の方が住民の理解を得やすいですが、市町村に本土〜離島が含まれている一部離島では、離島に特別の支援をすることについて本土側住民の理解を得ていくこともポイントとなります。

今年、沖永良部島(おきのえらぶじま|鹿児島県)に開所したサテライトオフィスの開所式風景。同施設の立ち上げには国のデジタル田園都市国家構想交付金が活用された

離島振興法に基づく離島活性化交付金は、輸送費の補助、冷蔵倉庫の整備などの産業を活性化する事業に加え、情報提供のためのホームページ整備、デジタル技術を活用した地域課題の解消事業、小規模離島の買い物支援事業、モニターツアー・スポーツイベント・修学旅行や研修旅行の誘致・地域ガイドの養成などの交流を促進する事業に使われており、令和5年4月の改正によって、更に幅広く使用できるものとなっています。

このほか、島の事業者が設備投資をした際に法人税の負担が軽減される税制優遇制度がありますが、まだ活用実績が多くありませんので、もっと活用をいただければと思います。

住民から出てくる知恵やアイデアを実現するための支援メニューは多様にそろえているため、さまざまなことができる状況です。

必要なのは住民側から声があがること。小規模な一部離島や二次離島(※)など、自治体に対してどうしても声を届けにくい島については、他の島の声と合わせて届けていけるとよいですね。

※本土から直接つながる航路がない島

うちの島はどうなの?都道県や市町村の「離島振興計画」をチェックしよう

法律や制度のプラットフォームとして機能する離島振興法の改正に伴い、有人離島を有する都道県や市町村では、各地域の「離島振興計画」を改正する作業が進められています。

2023年5月現在、新たな離島振興計画を公表する都道県は11県(北海道山形県宮城県新潟県愛知県三重県兵庫県島根県徳島県香川県沖縄県 ※)。それぞれの離島振興計画は県のホームページより閲覧できます。

※沖縄県の振興計画は令和4年3月31日に成立した沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律に基づく

もっと知りたい方には離島振興法と共に歩む広報誌・季刊『しま』

記事の一部は日本離島センターのホームページより閲覧できます

公益財団法人日本離島センターの季刊『しま』は、一九五三年に産声をあげた離島振興法と時を同じくして創刊された歴史ある広報誌です。

現在までに二七三号が発行され、二〇二三年三月発行の「離島振興法改正」特集には、離島振興法の改正ポイントや関連情報がたっぷり。

新法に対する離島関係市町村長(屋久島町、大崎上島町、八丈町、五島市、佐渡市、上島町、隠岐の島町)の期待や専門家による読み解きなど、基本から一歩踏み込んだ離島振興法を知ることができます。

>>次回:「島の暮らしを裏から支える!仕組みと制度【特集|島を支える仕組みのキホン】」に続く

特集記事 目次

特集|島を支える仕組みのキホン

1万4,125の島からなる日本には421島の有人島があり、そのうち416島が有人離島と呼ばれています。 人の営みがある島のそれぞれに、自らが暮らす地域を支える人がいて、島の外から島を支える人や、島を支えるさまざまな法律や制度があります。 この特集では、離島特有の法律や制度を中心に、島を支える仕組みのキホンを紹介します。

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