11月21日、香川県高松市にあるシステム設計開発の株式会社かもめやは、2017年春より同市沖合の各島〜本土間で、陸・海・空の無人物資輸送機を組み合わせた次世代無人物流システムの実証実験を開始すると発表した。
他地域で実施されている、無人航空機(ドローン)だけを使用するものと異なり、陸・海・空の無人物流機を組み合わせて発送元〜配達先をつなぎ、島国特有の気象条件や地形などに適応した物資輸送網の実現を目指す。合わせて、内閣府地方創生推進事務局から「かがわ医療福祉総合特区」の指定を受け遠隔医療に力を入れる同県で医療分野のICT活用を進めるメロディ・インターナショナル株式会社とともに、各島に向けた遠隔医療と医薬品定期配送などの実証実験を開始する予定。
輸送路の航路図
気象条件や地形のほか住民のニーズに合う物流システムをつくる
株式会社かもめやは、2014年に各島〜本土間をドローンでつなぐ無人物流計画「KamomeAirプロジェクト」開始以降、島国型の物流網構築に取り組んできた。
2016年には、スロベニア共和国の機体メーカーairnamics d.o.o.と、次世代型物資輸送無人航空機「KAMOME COPTER 2.0」の共同開発。また、愛知県名古屋市の機器開発メーカー株式会社ゲートブリッジとの無人輸送船「Donbura.co(ドンブラコ)」のほか、小型無人物資輸送車「Smart.ONBA(スマートオンバ)」の開発にも取り組む。大阪府大阪市のソフトウエアメーカー株式会社ジーンとともに陸海空3種の無人輸送機を統合管理するシステム「”KAZAMIDORI” Integrated UTM」も構築中。
以前の実験を撮影した紹介動画
滑走路や離着陸スペースの有無、各島〜本土間の距離、港湾の数や立地など、各島には差があるほか、「吸いたい銘柄のたばこがほしい」「おはぎがほしい」「牛乳や納豆は日持ちしないから買う機会が少ないけど食べたい」など住民のニーズも異なる。
株式会社かもめやは、そのような該当区間の特徴に合わせて運用できる無人機物流網の構築に取り組む。
かもめや代表の小野正人さんは「地形や気象の予測、発着地の変更に合わせた柔軟な無人機の配置調整などを運用管理システムで自動化していきたい。将来的には、この物流網を誰もが日常的に利用できるプラットフォームにしていきたい」と話す。
実証実験は高松市近隣からスタート。ゆくゆくは各地の気候や生活を知る地区住民と協力しながら、日本全国の地域へと展開していく予定だ。
【関連サイト】
KamomeAirプロジェクト
http://www.kamome-air.com/