つくろう、島の未来

2024年11月23日 土曜日

つくろう、島の未来

2016年1月、壱岐島(いきのしま|長崎県壱岐市)でWEBとアプリの開発者を育成する「壱岐アプリ塾」(運営:壱岐ビジョン株式会社)が始まった。同塾は、島内で技術者を育成し、新たな雇用創出と定住促進を目標に計画。2016年度、2回目の開校が計画されている。

ph001

壱岐アプリ塾の授業風景

会社員、主婦らが受講。多様な就業形態の創出を目指す

「壱岐アプリ塾」は、2015年11月に内閣府地方創生推進室より発表された「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)先駆的事業分(タイプI)」の交付を受けた「WEB・アプリ開発技能者育成・教育事業 ~離島で収入が得られるWEB・アプリ開発事業の創生のために~」の一環で実施された。

壱岐市政策企画課の担当者は「離島というハンディキャップがあり、企業誘致など雇用の場の創出が進まない状況が続いており、島内で新たな産業を創出していく必要性を感じたためこの事業を実施した。壱岐市はICT環境が整備されており、WEB・アプリの開発技術者を育成すれば、市外に頼らず市内のニーズに応え、更には市外からも受注することができ、雇用の創出と所得の向上が期待できる」と話す。

1回目の同塾は受講料無料で実施され、島外から2名の講師をIターンで招致。開催期間は2016年1月から3月の3カ月。計50時間のHTMLコース、計100時間のiOSコースとAndroidコース、計160時間のLAMPコースの4コースが設けられ、定員20名を上回る30名からの応募があり、これに対し定員枠を広げ応募者全員の受講を実現した。島内の会社員、定年退職前の年配、30〜40代の主婦などが開発技術を学んだ。

「多様な人が技術を身につけて、クラウドサービスから副業として仕事を受注したり、定年後のご自宅でSOHOとして開発に従事したり、家事の合間にテレワークで働くなど、いろんな就業形態を生み出すことにつながって欲しい」(壱岐市担当者)。

壱岐市は高校卒業後、生徒の9割を占める200〜300名が島外に転出する。

「島外への憧れもあり、減少は続いていますが、壱岐市でも働きたい仕事に就けるようになれば、Uターンしてくれる若者が出てきてくれるんじゃないか。そういう気持ちもあって技術者育成と雇用創出を進めている」(壱岐市担当者)。

2016年4月には、壱岐ビジョン株式会社と「壱岐アプリ塾」講師2名が協力して開発会社を創業。アプリ塾卒業生の技術力に応じて雇用先としても役立てられる。

壱岐市担当者は「島外からの開発事業を請け負えるようにして、島に元気を取り戻す一助になっていってほしい」と話す。

【関連サイト】
壱岐アプリ塾

     

離島経済新聞 目次

島×地方創生

「島×地方創生」では離島地域の自治体による地方創生の取り組みを特集しています。

関連する記事

ritokei特集