つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

2015年9月、東京都新宿区の神楽坂に2店舗目となる「離島キッチン」が開店。島根県隠岐郡の海士町(中ノ島)が取り組む事業の代表者に、目的と展望を聞いた。

■目標は島の生産者から販路拡大の手段として認知してもらうこと

離島キッチン神楽坂店外観

島根県隠岐郡にある人口約2,400人の海士町(中ノ島|なかのしま)は1島1町の島。古くから「御食國」(みけつくに)として位置づけられ、奈良の都・平城京に干しアワビを献上していたほど水産業が盛んな地域であり、近年ではCAS(キャス)システムを導入して凍結した魚介類を流通させるなど、先進的な産業振興策が話題を呼んでいる。

海士町では、島の観光協会が運営組織となり、キッチンカーによる行商で食を通して島外の人々に島を伝える「離島キッチン」事業を2009年にスタート。2012年には茨城県水戸市に初の実店舗を構え、9月26日に2店舗となる神楽坂店(東京都新宿区)をオープンした。

離島キッチン神楽坂_中①

神楽坂店の店内

離島キッチンは海士町に限らず、日本各地の離島26島(※2015年7月時点)の産品生産者から食材を取り揃える。この中から神楽坂店では、古事記の国生み神話に出てくる島の内、隠岐島(おきのしま)、佐渡島(さどがしま)、淡路島(あわじしま)、対馬島(つしまじま)、壱岐島(いきのしま)、小豆島(しょうどしま)、周防大島(屋代島)の産品に焦点をあて、月替わりのメニューを構成する。また、飲食スペースに加え、保存食や土産品を購入できるスペースも導入予定だ。

離島キッチン代表の佐藤 喬(たかし)さんは事業目的を、「一番は島外に住む人々に島を知っていただくこと。二番目に島の一次、二次産業の生産者の所得を増やすこと。三番目は生産者と信頼を育み、各地の島々とネットワークを築くこと」と話す。また、神楽坂への出店理由を「海士町には16社の神社が建ち、島前神楽という祭事が残るため神楽坂にした」と明かす。

離島キッチン神楽坂_物販棚

島の物販コーナー

離島地域には島内消費量をまかなう小規模事業者が多い。佐藤さんは「産品を島外へ安定供給できる生産者に、販路拡大のための手段として離島キッチンを認知してもらえるようになりたい」と展望を語る。今後は提携先を拡大し、まずは50島を目指す。「いつか海外で離島キッチンを開くこと」が佐藤さんの夢だ。


【関連サイト】
「離島キッチン」ウェブサイト

     

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