つくろう、島の未来

2019年12月07日 土曜日

山口県周防大島出身の民俗学者 宮本常一氏の著書に導かれて、2013年2月より瀬戸内海の島、屋代島で周防大島町地域おこし協力隊として活動を始めた、島記者 三浦の島歩きコラム。

#07 笠佐島未来図

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[宮本常一撮影(昭和39年10月) / 周防大島文化交流センター所蔵]

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“宮本常一が撮った景色を探そう”という趣旨のツアー企画などを見かけますが、港付近の300メートル足らずで完結する笠佐島の集落では、簡単に見つけることができます。

周防大島の離島をちょっと旅してみようと思う時、ネックになるのが帰りの船です。行けば数時間帰れないし、島内を散策するにしても小さな島ではそんなに長い時間はかかりません。都会暮らしの中では地下の喫茶店に入ると仕事の電話が掛かってこなくていいなんて話がありますが、離島に来ていると、たかだか5分、10分の船旅なのに「今、笠佐島に来ちょってから、5時間帰れんのよ。明日でもええかね?」ということになります。

僕からしたら、囚われた何かから完全にエスケープできる贅沢な時間を過ごせるんですが、遊びに行くなら、やっぱりたっぷり楽しみたいですよね。そこで笠佐島5時間滞在を楽しむ術を考えてみます。

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まずは、漁家民宿かささのランチです。いきなり行っても「なんやねん!」て怒られますので、事前に予約の電話をしてください。人数、予算、どんなものを食べたいか?アバウトにコリアンなのか、お魚なのか、その中でアバウトにお任せしてもいいでしょうし、細かく品目までお願いしてもいいでしょう。たっぷり1時間~1時間半くらい楽しめると思います。

続いては、笠佐の集落にある神社「八幡宮」へ。港から歩いて5分程度です。ランチを食べる前に、まずは島の神様にご挨拶からはじめるのもいいですね。かなり急な石段の登り降りは、食前、食後、どちらの運動にも適していると思われます。急な石段を登りきって、小さなお社があって、「以上。」です。

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あとは、「干潮時限定」ですが、島の周囲4キロの砂浜や岩場を歩いて回ることができます。引ききってなくても大丈夫なので、歩ける確率は2分の1程度でしょうか。浜も水もめちゃきれいです。遠くに浮かぶ船、対岸の街並み、何もない笠佐から見えるJR山陽本線の電車が走る姿はリアリティがあるような無いような、平尾町の丘の上で回る風力発での風車は人工物でありながら自然の力を感じさせてくれます。

水遊びを楽しみながらの1時間強のウォーキングも悪くはない。悪くないけれど、他に何かないものか?そこはやっぱり地元の人に聞け!ということで、漁家民宿かかさに戻って大将・河村さんの話を聞くことにしました。

「なんもないよ。なんもないけど、なんか気持ちええやろ?それでええ」

たしかに。1時間ちょっと歩いても不思議と疲れていないような気がします。

「でも、笠佐島の七不思議ゆうんがあったんよ。なんや忘れたけど、マムシがいない。墓が無い。寺が無い。専業漁師がいない。無いもんばっかで見せられんのよ。」

この他を調べてみたら「日柄・方角のタブーがない。戸数の変化がない。水が枯れない」以上7件、すべて無いないづくしでした。

「でもなぁ、わし考えてることがあんねん」と河村さんの話が盛り上がりました。

「ひとつは、フィッシュマーケット、市場やな。船着き場のすぐ横に潰れかけた家あるやろ?あそこに市場を作る。この辺の漁師からええ魚集めて売んねん。漁師じゃなくてもええ、遊漁で釣って持って帰れん魚も買い取ったりとか。そこいらのスーパーよりもちいと安くしてな。ここでしか買えん魚がようけおったら、みんな買いに来るやろ!活きた魚は生簀に入れてな。」

確かに、周防大島全体を見渡しても消費者が直接手に取れるような魚市場みたいなものはありません。漁業が盛んな島なのに…。地元の新鮮な魚が買えるなら、観光客だけでなく、地元の人間も足を運びたくなると思います。

「もうひとつはな、フィッシングパーク、釣り公園や。釣り客もよう来るけど、あんま釣れんからな、その辺の波止じゃ。そこのテトラの沖にデッキ作ったら釣れるようになるよ。ここは潮と潮がぶつかるええ漁場や。フローチングヤなしにデッキを常設してやな、あの沖に100メートルくらいバァーっとな。あそこに釣り客が並んで釣りすんのよ。ええやろぉ?」

夕方の雰囲気につつまれた笠佐の浜で語られた大将の夢、人生の楽園みたいな島の未来が想像できました。

「これだけあったら10人は雇用できるやろ?この島で育った奴らに帰って来て欲しいんよ。」

(イラスト 砂田みどり)

 


 

〈笠佐島データ〉

面積:0.94k㎡/外周:4.10km/人口:13人(7世帯)/高齢者比率:61.54%

※平成25年4月1日現在

 

〈周防大島~笠佐島 町営渡船〉

一般旅客運賃:大人100円/小児50円

便 小松港発 笠佐島着 笠佐島着 小松港着
1 8:00 8:07 8:10 8:17
水曜のみ 10:00 10:07 10:10 10:17
2 12:00 12:07 12:10 12:17
3 17:00 17:07 17:10 17:17

問い合わせ先:0820-74-1007(周防大島町役場

離島経済新聞 目次

【連載】周防大島、宮本常一の島をあるく

山口県周防大島出身の民俗学者 宮本常一氏の著書に導かれて、2013年2月より瀬戸内海の島、屋代島で周防大島町地域おこし協力隊として活動を始めた、島記者 三浦の島歩きコラム。

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