【石巻の幼稚園・ウクレレと園児の打楽器交流ライブ】東京から南に1000kmの小笠原諸島・父島で、ウクレレ弾き兼ポストマンとして活躍中のホマレさん 。連載コラムでもおなじみのホマレさんは年に1度は本土へライブツアーへ出掛けるのがライフワークです。今年3月、昨年の震災で甚大な被害をうけた石巻へライブツアーへ行ったホマレさんの特別ルポです。
[7]石巻の幼稚園・ウクレレと園児の打楽器交流ライブ
3日目の石巻は、少し冷え込んでいるように感じた。
しかし常駐ボランティアからすると、
昨日までがこの時期にしては暖かだったとのこと。
僕はバックパックからストールを取り出し首に巻く。
朝ミーティングでのフジコちゃんの説明では、
今日伺うのは幼稚園で、園児が津波で亡くなったという話を聞いた。
石巻に市立幼稚園は四つになり、私立は八つになり、
震災のため、その多くが経営が苦しい状態に追い込まれているそうだ。
BMWはボランティアベースを後に走り出す。
幼稚園の入り口で園長先生が出迎えてくれた。
気品溢れる女性。
だが、震災以降、心労は多いのではないか、とぼくは感じてしまう。
現在、この幼稚園には25名の園児が通う。
賑やかだったこの幼稚園も、震災で石巻を後にする家族のため、
閑散としてしまったとのこと。
園長先生が僕たちを二階の講堂へ案内してくれた。
僕たち!
そう今日は、園児との打楽器交流。
盛り上がれば当然、僕一人では太刀打ちできないだろう。
そこで助っ人「カナタ」をフジコちゃんは連れてきてくれたのだ。
彼は都会で子供向けのサッカーインストラクターをしていたが、
休暇願を出し単身で石巻へボランティアにやってきたそうだ。
そして僕の後ろには今日もノブさんがニッコリ微笑んでいてくれる。
さあ、かかって来い園児たち!
前半はスマイル・シードのジュンコちゃんの
「英語で動物探しゲーム」からスタート!
ルールはジュンコちゃんが英語で動物の名前を叫ぶと、
それぞれ違う動物のイラストを胸に貼り付けられた僕たち大人が、
それを捜す子供たちに追っかけられるのである。
カナタは乗っかられ、ノブさんは引っ張られ僕は逃げ惑う。
そしていよいよ僕の出番!
僕はまた日本地図を空に描き、小笠原の位置から話し始めるが
子供たちの元気な声は早くもそれを遮る。
「オレ仙台行ったことある!」
「オレ横浜に親戚いる!」
「あたし東京行った!」
と講堂に響き渡る。
そう、小笠原なんかどうでもイイくらい、気持ちよく元気なのである。
それでも「小笠原はもう泳げる日もある」という言葉だけは聞いてくれた。
さあ打楽器との全面対決だ。
先生が「みんな好きな楽器を持って」と、
ダンボール箱をみんなの中心に置く。
「ワーァ」っと子供たちが手に手に楽器を持つ。
僕が楽器別に子供たちに音を出してもらう。
準備は整った。僕が歌い始める
「お魚咥えたドラ猫~♪」
楽器は自由に鳴り響く。
園児、園長、そして素晴らしい笑顔の先生たちとも
お別れの時間がやってきた。
フジコちゃんが子供たちみんなに桜餅を配り
「みんなオテテ洗って食べるんだよ」と叫ぶ。
元気な「ハーイ!」の声を講堂に響かせながら、
園児たちは手を繋ぎ教室へと戻っていった。
>>[8]へ続く