つくろう、島の未来

2022年09月28日 水曜日

つくろう、島の未来

「島酒を介して耳にする話はどれも面白い」そう語るリトケイ編集長はある時、希有な出版社さんより「島酒の本を書いてみないか」と有り難い話をいただきき、これまで溜めてきた島酒場の話や、島酒づくりの現場で見てきたことをひたすら綴ることにする。プロフィールに趣味はお酒と考え事とコミュニケーションと記す、編集長の島酒エッセイ。

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■ あこがれのヨロン島へ

36人乗りのプロペラ機の窓から眼下の島に目線をおとすと、サンゴ礁でできた小さな島が見えてくる。奄美群島のヨロン島(正式表記は「与論島」だが、公式ホームページや観光協会のスタッフが来ているシャツには「ヨロン」と表記。決まりがあるのか観光協会スタッフに聞くと、どうやら最近はフレンドリーさを優先して「ヨロン」と書くようにしているらしい)。行政区は鹿児島県だが、鹿児島空港からここまでおよそ600km、75分。鹿児島県内といえど東京〜大阪間とかわらない距離を移動したことになる。

飛行機を降りるとまず、与論空港の白い壁面でゆったり泳ぐ熱帯魚らしきレリーフが私たちを出迎えてくれる。愛嬌のある小さな空港ゲートをくぐりながら、私は思わず「来てしまった」と、ひとりつぶやく。
 
小さな手荷物受取所でスーツケースを受け取り、迎えの車に乗りこむ。はじめてヨロン島に降り立ったその日は「十五夜祭り」という行事が開かれる日で、一路ヨロン島で一番高い場所を目指した。車窓から見えるのは、のどかに広がるサトウキビ畑に子ヤギの姿など。ひたすら平和な時間にしばしうっとり・・・とする間はそれほどなく会場である「琴平神社」に到着した。さすが小さな島。

ヨロン島は、1972年に沖縄が日本に復帰するまでは日本最南端の離島として人気を集め、その後つづいた離島ブームでも旅好き島好きにモテモテだった人気離島。当時に比べると観光客は減ったというが、映画「めがね」のロケ地にもなったことで若い女性のひとり客など少なくないらしい。さらに「風景が似ている」という理由でギリシャのミコノス島と姉妹都市関係にあるというヨロン島。周囲に広がる真っ白な砂浜によりリゾート感もたっぷりな美しい島なのだ。

でも、私の目的は「ヨロンケンポウ」である。

かれこれ3年近くが経つが、離島経済新聞の取材ではじめて離島イベントに行ったとき、ヨロン島が属する奄美群島ブースに立ち寄ると、ずらりと並んだ黒糖焼酎を次から次に試飲させてくれた担当者さんがヨロン島出身だったことが私とヨロン島の出会いだった。その後、数名のヨロン島人に出逢ううちにいつのまにか「ヨロンケンポウ」という言葉がすり込まれたように思う。

知らない人が「ヨロンケンポウ」と聞けば「拳法」または「憲法」を思い浮かべるだろう。私も最初は「拳法」と思っていた。しかし、実態は「献奉」。「与論献奉」はヨロン島流のお酒の飲み方であることは、こっそり調べを進めるうちに知ったのだが、ヨロン島に降り立つ日まで「与論献奉」の場に出会う機会はなかった。だから、私はこの島に「来てしまった」のだった。

(次に続く)

離島経済新聞 目次

連載コラム「島酒見聞録」

「島酒を介して耳にする話はどれも面白い」そう語るリトケイ編集長はある時、希有な出版社さんより「島酒の本を書いてみないか」と有り難い話をいただきき、これまで溜めてきた島酒場の話や、島酒づくりの現場で見てきたことをひたすら綴ることにする。プロフィールに趣味はお酒と考え事とコミュニケーションと記す、編集長の島酒エッセイ。

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