【4つの島からやってきた中学生たち】日本最南端の波照間島に、沖縄最東端の北大東島、石垣島に久高島。4つの島から東京へやってきた4人は「ダヴィンチ」が待つ渋谷へ。
[2]4つの島からやってきた中学生たち
「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想展」は
東京・渋谷東急本店にある「Bunkamuraザ・ミュージアム」で開催されている。
JR山手線で渋谷駅に降り立ち、
ダ・ヴィンチが待つ展覧会場へ向かう道すがら、
「ハチ公がみたい」というリクエストにより、
ハチ公前でパチリと一枚。
南城市立久高中学校3年生の安里豊規くん(写真右)の暮らす、
沖縄本島東南に浮かぶ久高島の人口は300人弱。
中学生8名のなかで安里くんは生徒会長。
石垣市立伊原間中学校2年生の黒澤にこさん(写真中央右)は、
前回登場した、美術が大好きな女の子だ。
北大東村立北大東中学校2年生の宮里凌奈さん(写真中央左)は、
沖縄本島から東に360kmの北大東島在住。
竹富町立波照間中学校の中学1年生、新城慧悟くん(写真左)は、
日本最南端の有人島、人口は600名の波照間島からやってきた。
人、人、人の渋谷の街に、
「すげー!」と好奇心のかたまりの一行は、
ビルと人の間をくぐり抜け、渋谷東急本店へ。
会場に到着すると、
「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想展」を主催する
毎日新聞の記者さんが一行を出迎えた。
彼らの訪問は、翌朝の毎日新聞に掲載されるという。
東京の街にすでに目を輝かせていた彼らだが、
ダ・ヴィンチの絵を前に、次は何を想うだろう。
絵を描く多くの人間にとって、
レオナルド・ダ・ヴィンチは尊敬される巨匠中の巨匠である。
今回の展覧会は、日本初公開の「みだれ髪の女」などをはじめ、
ダ・ヴィンチの弟子たちの作品が多数展示され、
タイトルの通り、ダ・ヴィンチの「美の理想」を紐解くものだ。
フィレンツェの郊外、ヴィンチ村で生まれ育ったダ・ヴィンチは、
正式な教育を受けたことはなく、ヴィンチ村の自然から学んだという。
波照間島の新城くんは、
「島は海がすごくキレイで、今の季節は南十字星が見えます」
と教えてくれた。ダ・ヴィンチが学んだように、
美しい海や森から学ぶことのできる自然の教室が、島にはある。
自然から学び、美を追求してさまざまな土地に暮らした
ダ・ヴィンチや彼の弟子の作品、またその生き方や考えは、
4人の中学生にとって、貴重な糧になったに違いない。
展覧会場を後にした一行は、休憩をはさみ同じく渋谷で開演されていた
沖縄うちな~の噺家(はなしか)藤木勇人さんの舞台を観覧。
日本復帰40年の沖縄の歴史を
歌を交えて語る笑話に、会場は笑いにつつまれていた。
藤木さんが笑話のなかで語っていた
「沖縄の人はなんでも受け入れる」ということの裏には、
多様性を認めるおおらかさが沖縄にあることを教えてくれる。
ひとえに沖縄いっても、東西1000キロ南北400キロの海域に島々が散らばる沖縄県は、
琉球王朝、米軍統治、日本復帰から現在に至る歴史やストーリーも
島ごとに少しずつ異なり、そこに紐づく生活文化も、
人が暮らす39島全島、それぞれ独自に発展しているはず。
個性豊かな4つの島から集まった彼らだが、
沖縄らしいおおらかさとのんびりとした空気感は
どことなく共通していた。
>>[3]に続く