つくろう、島の未来

2022年08月12日 金曜日

つくろう、島の未来

IT技術の進歩にコロナ禍のあおりが加わり、テレワークを推進する企業が増える一方、全国各地でコワーキングスペースやシェアオフィスを整備する動きが活発になっています。そんな中、企業で働く人にとって、島でのテレワークにどんなメリットがあるのか? 北海道は利尻島にある「利尻町定住移住支援センターツギノバ」(利尻町)を拠点にテレワークを行う3人と、その魅力について語り合いました。

利尻島×テレワーク(1)皆がハマっていく利尻島とツギノバ
利尻島×テレワーク(2)利尻島でテレワークできるのはどんな人?
利尻島×テレワーク(3)極端な環境だからこそ得られるものがある

利尻島にハマった3人

 
ハセタクさん
長谷川琢也(はせがわ・たくや)。ヤフー株式会社所属。SDGsメディア『Yahoo JAPAN SDGs』編集長や企業版ふるさと納税関連事業を担当する他、漁業振興を手がけるFISHERMAN JAPANの事務局長も務める

 
たまさん
玉城伸太朗(たまき・しんたろう)。東京・上野でウェブ制作やコワーキング施設の運営等を行う株式会社LIGに所属するウェブディレクター。コーヒー焙煎の趣味が縁となり、いつの間にか利尻島リピーターに

 
大久保
大久保昌宏(おおくぼ・まさひろ)。NPO法人離島経済新聞社理事。2010年に鯨本と共に離島経済新聞社を創業。利尻島での事業運営を機に縁が深まりいつのまにか半移住。利尻島を拠点に東京や全国の島々を行き交う

聞き手

 
鯨本
鯨本あつこ(いさもと・あつこ)2010年に離島経済新聞社を創業。NPO法人離島経済新聞社代表。『ritokei』統括編集長。子育てを機に2014年よりテレワークを開始。九州を生活拠点に東京はじめ全国の島々を飛びまわる

皆がハマっていく利尻島とツギノバ

利尻島(りしりとう|北海道)といえば北国の島の代表格。今日はそんな利尻島がワーケーションをはじめとしたテレワークの拠点としてどうなのか? という点について、実際に利尻島でテレワークを経験されている皆さんと話したいと思います。みなさん、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

まずは、ハセタクさんと利尻島の出会いはどのようなものだったのでしょう?

本職はヤフーという会社のサラリーマンですが、東日本大震災の支援をきっかけに、東北の漁師たちと立ち上げたフィシャーマンズジャパンという団体の事務局長をやっている関係で、利尻町の勉強会に呼んでもらったのが最初です。めちゃくちゃ寒い2月に、日が沈んだ時間に到着して吹雪で何も見えず……。そのまま役場でセミナーをして次の日帰るみたいな……。

北海道最北端の稚内市から西へ約52km、「洋上のアルプス」利尻岳が中心にそびえる利尻島は、漁業と観光が盛んな島です

すごいスタートでしたね……。

利尻島って、5,000人未満の人口で漁師が10パーセント以上いて、その家族を含めたら島の全員が漁業関係者と言っても過言ではない島なんです。それで、利尻町の漁師たちからフィッシャーマンジャパンと同様のことをしたいという話が挙がり、ノースフラッカーズという団体を立ち上げたことで縁ができました。

なるほど。ハセタクさんがノースフラッガーズを立ち上げられた話などはリトケイの「島々仕事人」でもお話しいただきました。たまさんも、同じく島々仕事人企画に登場いただいたことのあるLIGにお勤めですが、利尻島にはここ2年ほど年に1カ月間ほど滞在されていらっしゃるとのこと。そもそもの始まりは何だったのでしょう?

僕は7〜8年前に札幌に住んでいて、北海道移住ドラフト会議(※)というイベントの手伝いをしていました。僕はウェブの仕事を15〜16年していて、趣味で10年くらいコーヒーの焙煎や味づくりをしているんですが、そのイベントで自分ややっていることを話した時に、利尻町のみなさんに興味を持っていただいたのがきっかけです。

※ 移住やUターンを検討している人材をプロ野球の「選手」に見立て、自治体や企業が誘致したい人材を指名できるマッチングイベント
 

イベントで指名されたわけですね。ちなみに、利尻町のどんなところに惹かれているのでしょう?

もともとそんなに旅行する人間ではなかったんですが、吸う空気、飲む水、浴びる太陽、目に飛び込んでくる景色、全部が自分の過ごしている空間と違っているので、毎回利尻から東京に帰った時に放心状態になるというか……。戻ってきたこの世界は現実なのか? どっちが現実なのか?となっている体験をしていて、それでハマってしまいました。

分かる気がします。

去年は鮭釣りに狂ってしまい、毎朝5時に出発できるように4時30分に起きて毎朝釣りに行くという……。今思えばよくやっていたなと思いますが、本当に狂っていて色々ご迷惑をかけたりとかしたのですけれども……。

本当に!鮭を無駄に釣るのよ。

今、日本は鮭が減っちゃって関係者は本当に困っているんだから!

釣りを楽しむLIGメンバー(左手がたまさん)。たまさんとの縁をきっかけに島を訪れました

本当に狂っていたなと。冷蔵庫に切り身を詰めこんで翌朝も釣りに行って……。

それでツギノバの冷蔵庫がいっぱいになって、リトケイスタッフの八木橋が激怒したという話は聞いたことがあります。

申し訳なかったです。

でもスタッフがおいしくいただきましたよ。

ロスさせなくてよかったです。……と、そんなツギノバは手前味噌ながら、リトケイも場づくりと運営に関わっています。

大久保くんは私と共にリトケイを立ち上げた張本人でもありますが、私にとっては今や「利尻島から帰ってこなくなった人」でもあります(笑)。大久保くんは利尻島にほぼ住んでいる状態ですが、改めてその経緯を紹介ください。

僕が初めて利尻に来た頃から数えると8年目くらいになります。最初は子どもたちに新聞づくりを教える事業を利尻町で行うところから縁が深まったんですが、フィーリングがあったのか、役場や地域の人たちとご一緒することが徐々に増えて、そのうちに閉校になった旧沓形中学校を利尻町の定住移住相談の窓口として活用できないか? という取り組みが始まり、ツギノバをつくるうちにコロナ禍になり……。緊急事態宣言で島内外を頻繁に移動できない状況になった頃、ちょうど家を借りることができたので、今は利尻町を拠点に動いています。

ツギノバではどんな風に働いているんですか?

朝、ツギノバに来て、施設内でずっと仕事をしている感じです。たまにツギノバに来る島の人としゃべったり、最近は小中学生向けの塾を受け入れていたり、利尻町の公営塾がツギノバを間借りして使っているので、小学生や中学生、高校生も多くて、島の子と一緒に卓球したり。そういう感じで仕事をしています。

……リトケイの東京オフィスにいる頃よりも充実した雰囲気じゃないですか。ハセタクさんはツギノバを利用されましたか?

(ツギノバでは)快適に仕事をさせていただきました。ヤフー社員がどこでも仕事をしてもいい(※)ことを踏まえても、全く問題ないなと思いました。

田舎だとネットが遅い地域もまだまだありますが、そこは問題ないんですね。

ですね。ネットは早いし、電源もあるし、暖かくて雰囲気もいいですし。時間の流れが穏やかだから、穏やかに仕事をできる場所だなと思いました。

LIG本社もそうですが、東京にあってもネット環境がめちゃくちゃ良いというわけではないんです。でも、ツギノバはめちゃくちゃ良かったです。オンラインミーティングをやってる途中でネットが繋がりにくくなることも全然なかったですね。

(ツギノバをつくる段階で)Wi-Fiを入れる時に島で仕事をすることがマイナスにならないように、「一番安定するやつ」とオーダーしたら、100人同時に YouTube を視聴してもサクサクいけるやつが導入できました(笑)。

下手な都市部よりもむしろ強いということですね。

東京ではマンションなど時間帯によってWi-fiが繋がりにくくなる時間帯があると思いますが、利尻島は人口4,000人台ですし。皆が同時に繋いだって大したことにはなりません。

インフラの整っている島の強みですね。

島にハマった3人と語る北国の島。利尻島×テレワーク(2)に続く

みんなの未来と利尻島内外をつなぐ交流スペース「ツギノバ」

利尻町定住移住支援センターツギノバ
北海道利尻郡利尻町沓形字日出町55

お問い合わせ
TEL:050-8880-6920
info★tsuginoba.com(★を@に変えてお送りください)

営業時間:9:30〜16:30
定休日:無休(年末年始等を除く)
https://tsuginoba.com/

\2022.3.15にオンラインイベントを開催します!/

テレワークを推進する企業や多拠点居住で働ける「場」を探している個人事業主の皆さんに向けて、3/15(火)に島×テレワークの魅力や、「利尻町定住移住支援センターツギノバ」(利尻町)に新しく誕生するシェアオフィス(月額賃料1.5万円〜)の物件案内を行うオンラインイベントを開催します。

当日はこの記事に登場した4人が登場し、記事のなかで語りきれなかった「島×テレワーク」の魅力はもちろん、働く人にとってのメリットやオフィス環境、賃料、住環境などの疑問に直接お答えします。

詳細・お申し込みはこちらから >> https://teleworkrishiri.peatix.com/view

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