つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

離島活性化を目的に設立された飲食店型のアンテナショップ「離島キッチン」が、新たに東京六大学の学生らと企画する「IDEA KITCHEN(アイデアキッチン)」プロジェクトを開始した。大学生がプロデュースする店舗のオープンに向けて、8月31日に企画発表会が開かれた。

実験型店舗「アイデアキッチン」

離島キッチンは、島根県の島・海士町(中ノ島|なかのしま)の一般社団法人海士町観光協会が離島活性化を目的に設立した飲食店型アンテナショップ。海士町のみならず月替わりで全国の島々を特集し、郷土料理や食材の提供を通じて島々の文化や歴史などを発信している。2015年にオープンした東京・神楽坂店に続き、2016年には福岡店がオープン。9月下旬には札幌店のオープンも予定されている。

離島キッチンでは更なる地域貢献を目指すため、この秋、学生や社会人などと共に店舗の運営を企画し実践する実験型店舗「アイデアキッチン」を都内で新たにオープンさせる予定。同店の企画として、東京六大学と提携し「東京六大学プロジェクト」が始動した。

同プロジェクトでは、第1弾として立教大学の学生が五島列島の福江島(ふくえじま|長崎県)を、法政大学の学生が新潟県の佐渡島(さどがしま|新潟県)をテーマに「アイデアキッチン」をプロデュースする。

学生たちには島めぐりや、食材サンプルの仕入れ、内装費、宣伝広告費などとして活用できる100万円の予算の中で「アイデアキッチン」をプロデュースし、1カ月の売上目標額900万円を達成することが求められる。売上目標金額を超過することができれば、超過分の20%を報酬として受け取ることができる。

プロジェクトの財源は、全国商工会連合会中小企業や小規模事業者の商品展開力・販売力の向上等を図ることを目的に実施する、小規模事業者広域型販路開拓支援パッケージ事業「共同販売拠点(アンテナショップ)による地域産品等の販路開拓支援事業」の補助金を活用する。

大学生による店舗企画発表会

8月31日、東京都豊島区の立教大学池袋キャンパスで第1回の「アイデアキッチン」店舗企画発表会が開かれ、立教大学と法政大学の学生が、それぞれの企画をプレゼンテーションした。

五島列島の福江島がテーマの立教大学は、「都会で出会える島への旅」をコンセプトに、ランチタイムのビジネスマン向けに手軽に食べられる五島うどんを、休日のディナータイムは、多忙でなかなか旅行に行けないがSNSでの拡散力が高い20〜30代へ向けて「ツアー」と名付けた旅行気分を味わえるコースメニューを提案。店内ディスプレイで島の雰囲気を伝える動画を流すなど、企画案を発表した。

新潟県の佐渡島がテーマとなる法政大学は、「佐渡人と話して、知って、繋がるお店」をコンセプトにカメラ好きの人々へ向けて、フォトジェニックな佐渡島を訴求するほか、店舗周辺の飲食業の調査をもとに、平日にすぐに提供できる丼物のランチなどを提案。夜のメニューは、佐渡島の人の温かさや思いを伝えるために島の生産者からの手紙を料理に添えて提供し、佐渡を深く知ってもらうために竹細工などの文化体験も実施する案を発表した。

会場には、広告代理店や、起業家を育成するビジネススクールの担当者、IT企業社員など約20名の社会人らが集まり、企画への講評やディスカッションも行われた。

「店舗だけで完結してしまう印象。島へ実際行きたくなるような工夫も必要では」などの意見や、「平日夜に宴会で利用していただけるよう、近隣のオフィスに営業をかけるとよい」など、売上をつくるための具体的な提言などもなされ、学生たちは「考えの浅かった点を指摘していただいた。企画をブラッシュアップしたい」などと話した。

新店舗「アイデアキッチン」のオープンは2018年1月を予定。福江島をテーマに立教大学の学生がプロデュースした後、続く2月には、法政大学による佐渡島の企画が予定される。

「アイデアキッチン」を担当する離島キッチンの担当者は「あまり島に縁のなかったような学生や社会人など、様々な立場の方に離島地域について考えていただく機会をつくりたいと思い、企画しました。学生の皆さんには人脈を広げ社会経験を深めるOJT(※)の機会としていただき、離島キッチンを拠点に島々を盛り上げていただければ」と期待を語った。

※OJT……On-the-Job Trainingの略で、実務をさせることで行う職業訓練

     

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