笠岡諸島(岡山県笠岡市)の自立的発展、住民生活の安定、福祉向上を目的にした事業に取り組むNPO法人かさおか島づくり海社は、2013年から買物支援&見守り事業「島のきずな便」を行なっている。現在は北木島(きたぎしま)と六島(むしま)の住民宅や、白石島(しらいしじま)と真鍋島(まなべしま)の同法人関連施設を対象に、サポートを展開している。
顔をあわせる配達が高齢者独身世帯の見守りに
「島のきずな便」は、大手スーパーのインターネット販売サイトを利用した買物支援事業。インターネットのほか、ファックスやかさおか島づくり海社が地域に設置した独自のポストに注文用紙を投函する方式で住民から注文を取りまとめ、同社がイオン倉敷店に代行発注。配送拠点のある北木島に一括して届く商品を、同社のスタッフが各家庭に配達する。運営費をまかなうため利用者は、商品購入額のほか手数料(従量課金制)を支払う仕組みだ。
同社 事務局次長 東馬場洋さんは、同事業の課題を「海上輸送」と明かす。「輸送には海上タクシーや定期船を使っていますが、以前は弊社負担で輸送費を用意していたため、負担が大きかったです」。法人化以前、任意団体として2003年に買物支援を行なったが、2008年に地元スーパーが閉店したため中止に。2013年に再開した。「現在は輸送費をご利用者様の按分で工面しています。ただ海上輸送にかかる手配は弊社が行うため、輸送手段の確保並びに負担額の安定化が今の課題です」(東馬場さん)。
また、スーパーマーケットの配送エリアは、郵便や宅配の届く地域に限定される。「以前は地元のスーパーマーケットと提携していましたが、今はイオン倉敷店を利用するようになりました。イオンは北木島まで配達してくれるので、弊社の北木島事業所で一括して受け取れるようになり、『きずな便』を再開することができました。同社の事業として取り組んでいることではありますが、島の買物環境を維持するためのシステムなので、これからも継続しやすい形を住民の方々と一緒に考えていきたい」と話す。
少子高齢化により離島地域でも高齢者独身世帯が増えている。住民と顔をあわせる「島のきずな便」は、買物支援を通じて住民の健康や顔色を見る、地域の見守り活動にも一役買っている。
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